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【育児】やらないのか、できないのか

私の英語教室では、
年に2回、保護者さんと個人面談を行う。

やらない教室もあるだろうけど、
私はとっても大事だと思っているから、
毎年、夏と冬、絶対やる。

そんな個人面談ウィークに保護者さんと話していて思い出した、私が普段気をつけていることについて書きたいと思う。


例えば、生徒さんの中で、
授業中にじっと座っていない子がいるとする。

そもそも生徒さんは小学生が多いし、男の子も女の子もいる。
50人以上もいると、いろんな子がいるから、みんながみんな真面目にレッスンを受けてくれる訳じゃないし、字をぐちゃぐちゃに書く子、大きい声を出す子、教室の文房具で遊んじゃう子、色々なタイプの子がいる。

個人面談では、もちろん出来るようになったことや褒めることを中心にたくさん良いことを伝えるけど、時に必要であれば、
「私は〇〇ちゃんのここが困っています。」
と伝える。言いにくいけど、ちゃんと伝える。

その際に、先生として普段の生徒さんを見て、
理解しておきたいことがある。

それはその子が、その行動を
「やらないのか」それとも
「できないのか」
ちゃんと判断してあげることだ。

それは当たり前のことだけど、
意外と私たちは意識してない気がするから。

例えば、アルファベットをなぞる時、
枠線から大きくはみ出してしまう子がいるとする。

そこで、ちょっと大袈裟に言ってみる。
「今日は〇〇ちゃんが書ける一番キレイな字で、書いてみて!先生、見てみたいな~!」
すると低学年の子は、
「いいよ!出来るよ!見ててー!」と
結構乗り気でキレイに書いてくれる。

それが、本当にキレイに書けてたら、本当は書けるのに普段は「やってない」のだということがわかる。

それでも「先生、書けたよ!見て!」という字も大いにはみ出していたら、それは書く気はあるけどまだ「できない」のだということがわかる。

これは、対処法がちょっと変わってくる。

「やらない」子なら、やりたくなるような声かけをしたり、上手に出来たときにとことん褒めて成功体験を積んでもらうことで、少しづつ改善するかもしれない。なんなら、
「もぉ、ちゃんと書きなさーい!」と叱っても、ちゃんと書いてくれるかもしれない。

でも「できない」場合は、叱ってはいけない。
具体的な対処方法を一緒に探る必要がある。

もう少し幅の広い枠線で練習してみる。
小文字が難しいなら大文字で練習してみる。
少しハードルを下げ、出来たら褒める。

なによりも「できない」場合は、
「もぉ、ちゃんと書きなさーい!」は
通用しない。

これが、最も理解すべきポイントである。
出来ないことを、叱ってはいけない。

ここで問題なのは、母になると、
なぜか私たちはこのことを忘れてしまう事だ。

たいていの大人は、当たり前だけど、枠内になぞり書きも出来るし、たぶん静かに座ってられるし、鉛筆で遊びたいのを我慢することも出来るだろう。
子供の頃から出来てたタイプの人もいれば、昔は出来なくても、大人になってから出来るようになった人もいるかもしれない。

どちらにせよ、私たちは子どもだった時の気持ちを忘れて、子育てをする。
なぜか皆そんなこと当たり前に出来るだろうと思ってしまうし、自分の子は出来るに違いないという無自覚な期待もあって、
「もぉ、ちゃんとやりなさーい!!」が日々家の中で連発してしまう。
しかも多分、頻繁に。結構、大きな声で。

いや、皆さんがどうかはわかりませんが、
私はめっちゃ怒ります。
「もぉ、早く起きてー!!」とか、
「もぉ、いい加減部屋片づけてよー!!」とか。
毎日「もぉ!!」の、大連発です。

でも、最近ふと思ったんです。こんな些細な日常の「もぉ、ちゃんとやってよ!」
という子どもたちのあれこれの中に、性質として実は「できない」も含まれているのではないかな、と。「気にならない」とか「見えてない」とかも大きく含めてね。

そして「やらない」「できない」どちらにしても、怒ってばかりじゃなくて、今まで以上に具体的な対処方法を探り、出来るような【仕組み】を作っていかないと、と思ったのです。

生徒にも、そう。
じっと座っていられない子には
「もぉ、すわってー!!」と言い続けても何も変わらない。
もし出来ないのなら、なんで出来ないのかを一緒に考え、仕組みを変える必要がある。

それはもしかしたら、その子に発達上の特性があるのかどうかという判断も含まれるかもしれない。でも、私は専門家ではない。英語の先生として出来ることは、診断名をつける事ではなく、あくまでも具体的対処法を、本人と、親御さんと、一緒に考えることだ。

体がまだ小さい子は、体幹が未熟だから椅子を変えてみようとか、踏み台を足においてみようとか、座ってられたらシールを貼る仕組みにしてみようとか色々試してみる。

文房具が気になってしまうなら、見えないところにしまえばいい。気が散るなら、なるべく窓の外が見えない席に座らせてみればいい。
何度もドライアンドエラーを繰り返しながら、その子にとっての最善策を見つける。

「人を責めずに、仕組みを変える。」

まさに。もう、ほんとそれです。
その一言に尽きます。


まずはお子さん自身が、
または周りにいる大人が、
本人も困っているその問題に対して
「やらないのか」
「できないのか」

をしっかり観察して判断し、その上で、具体的な対処法を探ってみませんか。
ポイントは、「できないなら」叱ってはダメ、そして、どちらにせよ、具体的に仕組みを作る事が、両方の解決法になるという事。

やらないんじゃなくて、わかってるのに本人も出来なくて困ってるってこと、意外とあるんじゃないかな、って思うんです。

大人になってからも出来ないことは、もうあきらめてそれと付き合っていってもいいけど、子どもの「できない」は、成長すれば「できる」に変わることも多いと思います。
それって、ホントうらやましい。その「出来るようになるかも」という可能性が、子どもたちにだけ与えられた特権と希望だと思うし。
40歳になりたての私には、たくさんの「できない」が山になって、いつも目の前にそびえ立ってるけどね。

でも、大丈夫。
がんばっても出来ない事とは、大人になれば意外と隠しながらうまく付き合っていける。
それが大人の経験値と知恵ってもんよ。

子どもを叱る前に、
我が家も、もう一回、色々考えてみようかな。

それでもたぶん、今日も私、怒るんだけどね。
まぁ、許してよ。
きっと全国一律、母ってそういう生き物だから。

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