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【読書】ホントかウソか、素晴らしいジョーク

本日の一冊
「とうもろこし倉の幽霊」
R.A.ラファティ、井上央(編・訳)
早川書房、2022

あらゆる奇蹟の力の源は大地の底にあるのさ。地下は暗黒の闇の場所じゃない。丘の内側、地の深い底、山々の基には光が満ちているのだ。

「千の万の泉との情事」より

 七年に一度、脱穀の最終日の日にとうもろこし倉に現れて自らと同じ名前の人間の首をくくりに幽霊が現れるという話を少年二人が確かめに行く「とうもろこし倉の幽霊」

 日付が変わり、幽霊が現れるまでの刻一刻と迫りくる緊迫する状況を臨場感たっぷりに描いた短編です。

 人消しマジックのスペシャリストにして大魔術師チャールズ・チャーテルの公演中に箱からみすぼらしい小男が現れた。小さな彼は魔法のように姿を変え、すべてを復元することができたのだった。チャーテルがそのタネに気がついた時に歯車が狂い始める。いったい小男とは誰なのか。「下に隠れたあの人」

 文章中の仕掛けが読み終えた時にわかると驚嘆します。

 怪異的存在"高鳴きのヘラジカ"が高鳴くと気温が三十度下がり、鳥たちは南に渡る。鳥とともに渡りを行う人のようで人ならぬ"鳥使い"の存在を書籍、日誌からの引用という形で描き出していく「鳥使い」

 どの作品もどこか不穏な空気を湛えていて、私にはなかなか咀嚼しにくいような物語でしたが、通読をしてすぐもう一度読みたくなる一冊でした。


↓私の日々の読書記録がこちらにあります。
 この中で一冊、面白そうと思ってもらえたら嬉しいです。
 面白い本があったら教えてください🙇


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