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【読書】だいぶ前から見失ってんねんけど

本日の一冊
「ほとんど記憶のない女」
リディア・デイヴィス(著)、岸本佐知子(訳)
白水社、2005

この本にかぎらず、リディア・デイヴィスの書くものには、いわゆる普通の形式の小説がほとんど存在しない。

あとがきより

 noteで読書記録について書く時、その本の中で引用したら、興味を持ってもらえるかなと思った面白い一文をはじめに書き出しているのですが、この本はそれがとても難しかったです。

 諦めました。
 
 一文を切り取ると、話の中であれほど魅力的だった文章が死んでしまうのです。

 無理やり引き抜こうとすると他の一文までつられて一緒に抜けてしまいます。まるでサツマイモみたいです。

 なので「普通の小説形式が存在しない」というのを紹介できればと思います。

 この本を読んでいてたびたびかまいたちさんの漫才が頭に浮かびました。

「逆の立場になって考えてみ? もし俺が謝ってこられてきたとしたら、絶対に認められてたと思うか?」というアレです。

 なんだか言葉がよくわからなくなって、最終的に濱家さんが「きゃー」とおかしくなってしまうのです。

 たとえば「くりかえす」という短編があるのですが、何度も見失って「きゃー」となりかけました。

ミシェル・ビュトールいわく、旅するということは書くことである、なぜなら旅することは読むことだからである。それを発展させるとこうなる——書くことは旅することであり、書くことは読むことであり、読むことは書くことであり、読むことは旅することである。いっぽうジョージ・スタイナーによれば、翻訳することもまた読むことであり、

「くりかえす」より

 とこのように話が続いていきます。

「きゃーですね、これはね」(トム・ブラウンさん風)

 他にも全く違ったテイストの話もあり、(なにしろ51編もあるのです)、とても不思議で思わず「きゃー」となってしまうような短編集です。

 ここまでお読みいただきありがとうごさいました。


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 この中で一冊、面白そうと思ってもらえたら嬉しいです。
 最近読んでおもしろかった本など教えてください。


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