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学校で英語が嫌いになる理由。

「英語?難しいからキライ」という中学生を、たくさん見てきました。「だって、単語はムズいし、文法はわかんないし」と。彼らが英語の勉強をどう感じているのか想像していたら、こんな「たとえ話」が頭に浮かびました。

想像してください。

あなたはどこかの運動場にいます。

誰かに、こう言われます。

「これから、とあるゲームをする。
前方から何かが飛んでくるので、ここにある道具を使って、打ち返すこと。
ただし、飛んでくるものに合った道具を使わなければ、ミスとしてノーカウントになる」

目の前には、野球のバット、テニス・卓球・バドミントンのラケットなどがずらりと並んでいます。

何が飛んでくるのだろうと、あなたは不安を感じながら運動場に立ちます。

「いいか、行くぞ!」さっきの指示役の声がして、何かが飛んできます。

わぁ、来た!
でも、何だろう?よく見えない…あ、そうだ、道具を選ばなきゃ…!

とりあえず、テニスのラケットをつかんで振ってみました。が、うまく打ち返せません。

「違う!今のは野球のボールだ!ちゃんと見ろ!」指示役に、そう怒られます。
そして、休む間もなく、次々にボールが飛んでくるのです。

ミスをして怒られてばかり。わけがわからない。
もうイヤだ。こんなゲーム、大っ嫌いだ。

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このたとえ話が伝えたかったこと

こんなゲームが、本当にあるわけではないんです。ただ、学校で英語を学ぶときに、これに近いことが起きている…私はそう感じています。

もし、ゲームを始める前に、こう言われていたらどうでしょう。

「実は、飛んでくるのは野球のボールかテニスのボール、どちらかだ。
野球のボールならバットで打て。テニスのボールならラケットで打て。
相手にうまく返せたらOKだ」

これなら、少しは対処がしやすいのではないでしょうか。

英語学習ビギナーが知るべきこと

英語を学ぶときに、「英語の文は、be動詞を使った文と一般動詞を使った文、ざっくり分けて2種類しかない。その2種類を見きわめて、それぞれのルールに従って考える」ということがとても重要です。

先ほどのたとえ話は、そうしたことを表したものです。be動詞と一般動詞との区別を、まず理解するのが最優先、ということ。

そこが身についていないと、簡単な会話すらできません。疑問文や否定文の作り方ひとつとっても、be動詞と一般動詞とでは違ってくるからです。

今のカリキュラムではそこにゆっくり時間がとれない

しかし、多くの学校の授業では、そこにていねいに時間を割くことはできません。学習指導要領には、やらなければいけない項目がたくさんあって、ゆっくりやっていたら終わらないのです。どうしても、丸暗記でつめこまざるを得なくなります。

「I am study English.」は間違っていると言われたけど、どうしてなのかわからない…と悩んだことはないですか?

be動詞も一般動詞も、1人称も3人称も何がなんだかよくわからないまま、基本例文をひたすら暗記させられませんでしたか?

「休む間もなく飛んでくるボール」のように、次から次へと暗記事項が押し寄せる…。げんなりするのも当然です。

それよりも、「まず野球のボールとテニスボールの違いだけに注目する」…つまり、be動詞の文なのか一般動詞の文なのか見きわめる。そうした課題を一歩一歩確実に乗り越えることが、英語学習には不可欠なのです。

本当に使える英語力をつけるには

中学3年までに習う英語というのは、これまでだって、きちんとマスターすれば、基礎固めとしては十分な内容でした。

でも「英語の基礎は大丈夫!」と自信を持って言える人が、今どれだけいるでしょう。

英語力UPを目論んで、文部科学省は、学校で学ぶ単語数や学習内容を増やしつつあります。しかし、大部分の人がしっかり消化しきれないなら、空回りに終わってしまいませんか?

だから、私は思うんです。中3までに習う学習事項は、もっと少なくていいんじゃないか、と。

高度な語彙と複雑な文構造の学習は、高校からにする。
そのかわり、基本の文法ルールと適切な発音の仕方を、頭と身体にたたきこむ。シンプルな基本フレーズを数多く、自由に使い回せるようにする。

そのほうが、英語力(とくに会話力)の底上げにつながると思うのです…。英語嫌いも、少しは減るのではないでしょうか。



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