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あなたにとって、「いい組織」って?〜組織研究の潮流や企業の事例から考える〜

こんにちは。
チームプロセスコーチ®の池田佳奈子です。

突然ですが、もしあなたが組織をより良くしようと日々奮闘されているとしたら。組織変革の推進者だとしたら。

あなたの組織で目指す「より良い組織」って、どんな状態ですか?
組織変革(づくり)において大切にしている価値観って、何ですか?

今日は、「いい組織ってなにか?」という問いを起点に、
今日の組織研究や企業の事例などを通して、より良い組織を目指す具体的アプローチ(特に「ポジティブ組織開発」)について皆さんと考えたいと思います。


「よい組織とは」についての組織研究の変化

まずは組織研究についての昨今の変化、潮流から。

従来は、ざっくりと言ってしまえば「大きくて強い組織をいかにつくるのか」が組織研究の大きな軸でした。
より具体的には、収益性とか競争優位、経済効率を高めることを追求していくことですね。

一方で、今日の組織研究では「人のベストな状態という、普遍的な価値の追求」が軸になってきています。
より具体的には、自分の仕事に意義を感じ、強みを発揮しながら活き活きと主体的に成長していく「ベストな状態」の人たちが活躍する組織。そして、そんな人たちが良い影響を与え合いながらより良い(善い)社会や組織をつくっていくこと。
そんな姿を探求・追求します。

そうした「人のベストな状態という普遍的価値」を追求する組織研究をリードしている、代表的なところは以下の通り。

・米ミシガン大学のPositive Organization Scholarship(POS):ポジティブな組織研究
・米ネブラスカ大学Fred Luthans教授のPositive Organization Behavior(POB):ポジティブ組織行動

こうした考え方をベースにした「組織開発」を、「ポジティブ組織開発」と呼んでいます。
当社「Being and Relation」がサポートさせて頂く組織づくりや人材育成も、軸にしているのはこの「ポジティブ組織開発」の考え方です。

ポジティブ組織開発の事例

当事者の方々が意図している訳ではないものの、ポジティブな組織開発のモデルとしてハーバードビジネススクールでケースにも取り上げられた日本企業の事例を1つご紹介します。

皆さんが新幹線に乗車する際に、すごくテキパキと清掃し発車時刻を決して遅らせない、清掃員さんたちの姿をご覧になったことがあるかと思います。

その方たちの所属する会社、株式会社JR東日本テクノハートTESSEIの事例です。(私はこの事例にいつも心打たれます..)

【企業DATA】
・創立:1952(昭和27)年10月20日
・資本金:3800万円 
・売上高:41億円(2022年度)
・814名(2023年7月1日現在)       
・1日あたりの車両清掃数: 列車 約170本 ・ 座席数 約144,000
※2023年3月ダイヤ改正データ(臨時列車を除く)


株式会社JR東日本テクノハートTESSEI HPより
http://www.tessei.co.jp/company1.html

JR東日本から移り、2005年に同社取締役に就任した矢部輝夫氏はある日、
子供連れの母親が「親の言うこと聞かないと、あんな仕事(清掃)をする人になるよ」と言ったのを聞いた。
当事者の社員たちも、この仕事がいわゆる「3K(きつい、汚い、危険)」と感じていたといいます。

そこで矢部氏は、「報われない仕事ではなく、意義のある仕事なんだ」と社員に感じてもらう組織にしよう!と決意したそうです。

私が最初に考えたことは、閉ざしてしまった皆の気持ちを、どうすれば開くことができるか、ということでした。パートさんや社員さんの研修で集まった際に、私は必ず伝えるようにしました。
「皆さんは、お掃除の世界という暗い場所で働いていると思っているかもしれないが、それは間違いだ」
「JR東日本の新幹線は、皆さんの掃除がないと動けない。皆さんはJR東日本の新幹線を、お掃除というメンテナンスで支えている技術者なんだ」

まるでアニメか何かで、主人公の目がキラっと光るように、働く人の目が変わるのを感じました。よし、という手応えがありました。「見られていない」と思っていた自分たちの仕事に光があたる感覚だったと思います。心が開きはじめました。そこから、ES(従業員満足)に繋がるような施策を次々と始めていったのです。
様々な施策を進める中で、ある女性の従業員が「私たちの仕事場は劇場です」と発表したのです。「お客さまが主役、私たちは脇役。新幹線劇場というステージの上で、お客さまと私たちが一緒になって素晴らしいシーンをつくっていこう」と。これは本当にびっくりしました。私の発想では絶対に浮かばなかった言葉です。従業員からこの言葉が出てきたということが大きかったと思います。いわゆる「リフレーミング」が行われたのだと思います。「清掃の時間」ではなく「新幹線劇場のショータイム」というふうに自分の仕事が再定義された瞬間でした。

『「7分間の奇跡」を実現する新幹線劇場誕生秘話』
https://lm-tmw.com/the-meaning-of-work/omotenashi-company/

ここから、「7分間の奇跡(7-minutes Miracle)」が生まれたのですね〜✨

矢部氏は他にも、社員の生い立ちやキャリアを理解するための対話や、はたまた制服を変えるといった施策を続け、
社員が誇りと生きがいを持つ→それが仕事の質を向上させる→社会に貢献している実感がより湧く
というポジティブな循環を創っていきました。

以前こちらの記事で紹介した「玉子屋」さんの事例にも共通することですが、「ポジティブ組織開発」では、
「現状を否定する」のではなくて、
「自分たちの誇れるところ、存在意義」
にフォーカスを当てるところからスタートする
こと。
そして、そこにはトップの「社員の力や成長を心から信じる」あり方(信念)が土台にあると言えるのではないでしょうか。

すぐに実践できる!始めの一歩

組織をより良くしていこう!とする1つのアプローチ、ポジティブ組織開発。
あなたの組織(チーム)の目指す姿に近いなと感じて頂けたとしたら、すぐに実践できるオススメの第一歩があります。

それは、
「私たちの組織(チーム)の誇れるところってなんだろう?」
「私たちがお客様に最も喜ばれているところってなに?」
について、当事者で話し合ってみる
ことです。
(一つのこたえに集約する必要はなく、様々な感じ方があってOKです)

そのプロセスの中で、自分たちの光るモノが改めて見出されたり、
一人でもいい、誰かの目が「キラッ」と輝きを増したとしたら。
きっとより良い組織(チーム)の実現に向けて歩みは進んでいくはずです。

一人でも多くの人が、今日も「ベストな状態」で輝けますように。
私も外部コーチの立場から、日々全力でサポートしていきたいと思っています。

本日もここまでお読み頂き、ありがとうございました。

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私たちが変革に伴走させて頂く際には、こうしたポジティブ組織開発の考え方を大切にします。

ご相談や壁打ち1on1は、ぜひ こちらよりお気軽にご予約ください。
私がお話させて頂きます(Zoomで50分前後です)。

▼当社HP👇
VUCAの時代に成長を続けるリーダーの育成とチームづくりを支援する
株式会社Being and Relation

▼1〜2月の体験セミナー👇
〜私たちは「違う」から最高のチームになれる〜お互いを最大限に活かし合うチームをつくる「ルミナスパーク研修」体験セミナー
https://www.being-relation.co.jp/seminar/ruminaspark_taiken/


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