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「ポジティブな組織」をつくりたいと思ったら、理解してほしいこと〜間違いだらけの「ポジティブ」!

突然ですが、皆さんの組織は「ポジティブ」ですか?それとも「ネガティブ」?
そもそも、「ポジティブ」ってどんな意味で使っていますか?

本記事では、VUCAの時代に成長を続ける「ポジティブな組織」づくりってどういうこと?を事例を交えてお伝えします。

「ポジティブ」の意味合い

ポジティブ心理学の考え方が、昨今日本でも関心を持たれています。

日本企業は「エンゲージメントが低い!」とか、「モチベーションも生産性も低い!」とか、「イノベーションが生まれない!」とか、トホホ(死語?)なことを色々言われて、周りを見ると自社の社員たちは疲れ切った顔。
「このままじゃまずい!」ということで、ポジティブという観念が注目されている側面もあると思います。

ですが、ポジティブって決してお花畑的に楽観的であるとか、単に楽しく生きるということとは違うんですね。

ポジティブってそれだけでなく、高い志、自利利他、徳、感謝、謙虚さ、優しさ、寛大さ、貢献、信頼、誠実さ。こうしたものを含む行動を指すというのが、ポジティブ心理学の考え方です。

こうした要素が、私たちが本来持っているポジティブなエネルギーを引き出し、困難な状況も受け止めて乗り越える力になります。(これは「向日性」といって、ヒマワリが太陽の方に向くのと同じ。つまり、ポジティブって太陽と同じエネルギーがあるのですね。)

だから、ポジティブとネガティブは決して相反するものではない。

例えば、私の身近な方の話。
辛かったご自身の病気の経験を活かして、同じ病気と今まさに闘っている人たちの支援に存在意義を見いだし尽力している方がいらっしゃいます。
そのあり方こそ、まさに「ポジティブ」!!だと思うんです。

志に向かってネガティブを乗り越えたり、はたまたネガティブを活かそうとするプロセスこそ「ポジティブ」なのだと、リスペクトとともに思い知らされます。

ポジティブな組織づくりの事例

ここで、ポジティブな組織の事例として東京都大田区にある株式会社玉子屋さんをご紹介します。
従業員600名、グループ年商90億円の、職域販売中心のお弁当屋さんです。
(ポジティブ組織開発の一つの事例として、スタンフォード大MBAのケースにもなっています。すごい!!)

玉子屋さんのすごいところは、1日当たりの平均廃棄ロス0.1%未満という数字。これは営業担当が顧客密着し、直前までその日の需要を確認し、生産部門との密接な連携により達成させています。
(ちなみにコンビニの廃棄ロスは2~3%はあるそうです)

ルーツは、現会長の菅原勇継氏が始めた小さなお弁当屋。創業当時は大卒社員を採用できず、会長曰く「近所の悪ガキを集めて会社を運営するしかなかった」そうです。

その会長は、「やるべきことを持つ元気な若者は、必ず成長し社会に貢献する」という信念のもと、褒めて育てるというやり方で彼ら(元悪ガキ)に接していきます。そして「元悪ガキ」は、お客さんから「ありがとう」と言われて感激し、更に主体的に成長していくというのです。

社員たちとの対話も好きで、お酒を酌み交わしながら社員の話をよく聞くそうです。そして「みんな楽しく働いて、家一軒持てて、夫婦仲睦まじく暮らしてもらうのが私の務め」と言います。

そのような玉子屋も、食中毒を発生させ一週間の営業停止になったことがあるそうです。そのとき昔は悪ガキだった社員がお客さんに土下座してお詫びして回ってくれた。自分も一緒に回ったがあの事件があって今の玉子屋がある。と菅原会長は仰っています。

営業を担当している中里誠氏は、元はスキンヘッドで札付きのワルだったと自認します。
「玉子屋は街中を走る車を見て知っていたが卵を配達している会社だと思った。面接にきてみたら弁当屋。もしかして弁当を食えるかもしれないと思って入社した」そうです。

そんな中里氏ですが、「この会社に入って初めて人に褒められた。今の会長に褒められ、お客さんに旨かったよと言われて感謝された」、「営業の仕事でも配達の仕事でも答えがないから仕事は面白い」と言っています。

2代目社長の息子の勇一郎氏は、新たに約21組の独立した「班」組織を作り、それぞれの班を1つの会社と考えた組織改革を実現させます。
班のトップに立つ者を班長とし、班長には、アルバイトの時給、社員の昇給、営業戦略を決める権限などが与えられています。

責任ある業務を任され、それらが結果につながる事で、「元悪ガキ」の社員達は、仕事へのやりがいを感じ、成長していくのです。

社員一人ひとりの向上心により、会社の業績もかつては1日1万5000食だったものが8万食の会社へと成長。
現社長は創業者の理念と企業文化を継承しつつ、それをもっと生かせる新しい仕組みを構築し業績を飛躍的に伸ばしました。

コロナ禍の業績は、大手企業のテレワークなどが進みあまり芳しくなかったようですが、ポジティブな組織づくりの意味を理解する上でとても参考になります。

皆さんは、どのようなことを感じましたか?

まとめ:ポジティブな組織づくりとは

前置きが長くなりましたが、弊社ではポジティブな組織づくりを「そこにいる人がベストな状態でいられる組織を目指していこうとするもの」と考えています。

その前提にあるのは、玉子屋さんが体現されているように、
「どのような個人であっても、そしてたとえ障害があったとしても、人は本来『より善くあろう』とする強い探求者であり、成長することができる」
「より善くあろうというのは決して個人のエゴではなく、人と人との関係性の中で成り立つ」

という信念・考え方です。

だから、「社員の中にある最も良いものを引き出し、高いパフォーマンスを育む関係性や器でありたいね」というのがポジティブな組織が目指す姿であり、変化が激しく複雑でこたえのないVUCAの時代に必要な組織のあり方だと私たちは考えています。

この「器」が、困難な状況でも人や組織が成長したり、イノベーションを生み出す後押しをするのではないでしょうか。

参考:組織の状態をみる視点

健康で活力あるポジティブな職場になっているかどうかは、ポジティブ心理学の「PERMA理論」に基づく以下6つの視点で考えることができます。

Positive Emotions:ポジティブな感情
ストレスがあったとしてもそれとうまく付き合い、エネルギーに変える。

Engagement:積極的な関わり
自分の活動や仕事に集中・没入できている。

Relationships:柔軟な相互関係
お互いを理解したコミュニケーションがなされ、チームメンバーの協働関係が成り立っている。

Meaning:仕事の意義
仕事の意味や意義を共有し、目指す方向に向かって着実に進んでいる。

Achievement:達成への活動
目標にコミットし、責任をもって活動の実践がなされている。

Wellness:身体的な健康
心身の健康が維持されている。

皆さんの組織の状態、そして皆さん自身の状態は、いかがですか?

ここまでお読み頂き、ありがとうございました!


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