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240629_宗教とは何か?

イスラム教からユダヤ、キリストまで三大一神教について調べたついでに、宗教や信仰そのものについても調べてみる。

【ヒンドゥー教について】
・キリスト、イスラムに続いて教徒の多いヒンドゥー教は、紀元前2600年頃のインダス文明からインドや周辺住民の信仰が形を変えながら受け継がれてきたと言われているが、正確な起源はわかっていない、これはインダス文字が解読されていないことにも関係している。
・現代のヒンドゥー教は多神教でヴェーダや複数の神話を聖典に持つが、紀元前13世紀頃にアーリア人によるインド人の支配をきっかけに作られたバラモン教が元になっており、ヒンドゥー教として継承され出したのは4世紀頃。
・ヒンドゥー哲学の基本は因果応報、霊魂不滅、輪廻転生などの概念で、インドの古代哲学を受け継いでいるが、同じくインドで生まれた仏教にも共通する面がある。
・ヒンドゥー教の特殊性は教徒の9割以上がインドにいるインド人という点で、単なる宗教ではなくユダヤのような民族信仰なのである。

【仏教について】
・仏教の開祖ブッダ(釈迦)は、紀元前5世紀頃ネパール西南部釈迦族の王子として生まれ、ヒンドゥーの元となったバラモン教の出身であったが、バラモンの支配階級(カースト制度)を批判し、出身・出自を問わない質素禁欲的なサマナ(沙門)と呼ばれる運動を出発点にしている。
・ブッダの死後、弟子である僧(サンガ)達はブッダの言葉を集め伝承していった。
・インドは古代から今まで資源が豊富であることで有名だが、世界の著名な交易路と言えばシルクロード、これにより仏教は1世紀から2世紀頃アジア各地に伝搬し、少しずつ宗派が分かれ解釈が変わっていった。
・仏教が他の宗教と異なるのは絶対的な存在である神がいないという点で、個人が悟りを開くことが目的であるので、神が助けてくれたり罰を与えたりはせず、全ては因果の道理であり、運命は自分次第という、現代の思想と調和する非常に現実的で論理的で哲学的な宗教となっている。

【日本における宗教】
・日本に仏教が伝わったのは6世紀頃で、韓国や中国から別々のルート、バラバラの時期に伝承されている。
・その頃まだ古事記や日本書紀は作られていなかったが、大和政権から飛鳥時代への変遷の時期にあたり、日本(特に西側)の統治はすでに天皇が行なっていた。
・日本書紀によれば、欽明天皇は仏教が伝来した時その可否を群臣に問うたが、なんやかんや争いがあった末答えは出ず、息子の聖徳太子が四天王に願掛けして戦に勝利したことから四天王寺を建立し、以降神仏習合を前提として広まっていった。
・神道は、八百万の神を崇めアニミズムを基本とする民族信仰として日本の風土や生活習慣に根付いており、特に紀元前10世紀頃に弥生時代の農耕文化が盛んとなったことで神道の原型が形成されたと考えられており、現代の神道や神社に直接つながる祭祀遺跡が出土している。
・元々の仏教は厳しい戒律を含んでいたが、日本へは宣教師によってではなく交易とともに遊牧民なども介しながら伝わったことで、戒律を「心の問題」と捉えるようになり、自然を崇める神道と己を高める仏教とは喧嘩することなく受け入れられていった。
・604年に聖徳太子により制定された十七条の憲法には、儒教や仏教、法家を織り交ぜた、道徳的な規範が示されている。

【神話と宗教の違い】
・日本における神仏習合について考えると、神道は元々神話的なものであり、現代では、日本の歴史や天皇の権威を国民へ知らしめるために作られた古事記(建国の物語)や日本書紀(歴史書)を聖典に近い扱いとしている。
・一方仏教の聖典には天地創造神話などは含まれず、悟りを開き解脱するためにどうするのが良いか、という釈迦の説法がひたすら載っている。
・そのため両者はぶつかり合うことなく、いいとこ取りで神仏習合が進んでいったが、これはまさに神話と宗教の違いにあたるのかもしれない。
・神話は現実と伝承の歴史を織り交ぜたもので、そこには知恵や教訓が含まれているが、基本は過去の話である。
・宗教はそこから秩序や律法、ルールを定めて集団社会を統治していく狙いが含まれ、それらは未来に主眼を置いて作られている。
・多くの宗教には神話も含まれているので、例えば仏教と同時期にキリスト教やイスラム教が日本に伝わったとしても、日本固有の唯一の建国神話という最強ナショナリズムを語る神道とは相容れず、受け入れられることはなかったと思うが、仏教は神話を含まないので、いい感じに融合できた、という風に考えられる。
・戦国時代の日本にザビエルなどと共にようやくキリスト教が伝わったが、これには政治的な意図が大きく含まれ、日本の統治を揺らがせかねないと判断した幕府は厳しく弾圧したが、一部には隠れてキリストを信仰する者もいた。
・実際のところ日本人の中に、旧約聖書の天地創造を盲信的に信じた者がどれほどいたかは定かではなく、一種の哲学として信仰していた可能性もあるが、そうだとしても、因果応報の仏教に対し、神が運命を定めるキリスト教は対極の関係にあり、迫り来る海外列強を前に西方からの思想が広まることは危険だと、政治的に畏れられたのはやむを得ないことかもしれない。

【宗教と哲学の違い】
・仏教と同じく神を持たない宗教として、紀元前の中国で興った孔子を開祖とする、儒教が挙げられる。
・儒教は思考・信仰の体系であり、東アジア各国に強い影響を与えたが、学問的側面が強く、宗教ではなく哲学として捉えられていることも多い。
・哲学と宗教はかなり似ているにも関わらず同列で語られることはあまりないが、哲学の歴史も宗教と同じく紀元前から始まる。
・著名なものとしては、紀元前6,7世紀頃の古代ギリシャのソクラテスやプラトンから始まり、世界を普遍的な秩序において捉え、神話に寄らない論理的な思考から、この世の真理や本質を解き明かそうとしている学問である。
・なぜ世界は存在するのか?なぜ人生には苦難が待ち受けるのか?人間の生きる意味は?など、これらの問いは宗教や神話と共通するが、宗教では問いに対してなんらかの答えを出している。
・一方哲学は様々な論理の可能性を追いかけるが、必ずしも全てに答えを出そうとはせず、仮定して観測して検証していくという科学的な側面を持っている。

【現代に宗教は必要か?】
・近代以前、社会は宗教の勢力下に置かれ、国家や集団の統治、つまりは人身掌握の上で非常に便利で欠かせない道具とされてきた。
・宗教の目的は、人々に人生の目的と誇りを与え、共通の神話を共有することで仲間意識やナショナリズムを高め、病や死や災害など未知なるものへの恐怖を和らげること。
・現代社会において、多くの人間が最も信仰しているのは科学であり、これは神話と相対する存在でもある。
・宗教は今や多くの利権や権力欲と結び付き、争いの火種となり、現代においては無用の長物かもしれない…という考えもあるが、自殺率の高い現代において、科学の進歩はまだ人の精神を支えるまでには至ってないと言える。
・日本人女性が好む占いも、宗教的な信仰の一環であり、運命は定められていると思うことで現実を受け入れるための行為であるように感じる。
・科学の時代、人間の時代、今求められる宗教とは何か、人々は何に目的と誇りを持って生きていくべきなのか。

【参考サイト】
・https://corp-japanjobschool.com/divership/buddhism-hinduism-difference


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