満月の夜は、動物たちが隠れちゃうんだ
休学中に参加した、アジアゾウ保護のボランティア。ゾウの保護以外に、村周辺に生息する生き物の調査もやっていました。
中でも楽しみな調査は「ナイトハイク」。夜の森へ動物を探しに出かけます。
危険なナイトハイクを先導してくれるのは、村のハンター "ルーツ" です。
初めて彼に出会ったときは、ちょっとこわい人に見えました。
猟銃を持ち、大柄で、日に焼けてて、髭もじゃ。おまけに鶏を小脇に抱えています。逆さま…、もしかして死んでる?
※生きてました。逃げ出した鶏を連れ戻していたそうです。
黄色人種のタイ人というより、どちらかと黒人のような風貌。何にせよ、他の村の人とはちょっと違う雰囲気を醸し出していました。
そんなルーツは話してみると、陽気なお兄さん。夜の森でもとっても頼りになります。
そんなルーツを先頭に、夜の森へと入っていきます。
入ってはいけないところに入っていくようなこの感覚。不安とドキドキが入り混じります。
しばらくすると、怖さも薄らいで、生き物探しが楽しくなってきます。
ルーツが見つけ出す生き物たちを目で追いかけます。
たくさん鳴いていたカエル。
ルーツが水たまりに近づいたかと思うと、ひょいと捕まえて見せてくれました。
カワセミを見つけたりと、レアな体験もできました。
うごめくザトウムシも、暗闇で見るとまた違う風に見えてきます。
色んな生き物の気配を感じていたところ、思い出す。
そうだ、今日は哺乳類を探しに来たんだったと。
しかしその話をしてみたら、満月の日はあんまり出てこない。とのこと。
そうだったんだ。残念。
哺乳類は見つけられなかったけれど、大満足のナイトハイク。この思い出は、私の記憶の大事な引き出しに残っています。
つゆに濡れた休耕田にねっころがって見た夜空と、蜘蛛の目が地面にぴかぴかと無数に輝き広がっていた光景は、神秘的で。それだけでどれだけの価値があったことか、そう思うのでした。
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