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敬称から考える子どものジェンダーとアイデンティティ

以前、noteに『一人称から考える子どものジェンダー』を書いた。

その後も3歳は私から見るとオリジナルの性を生きている。

私の見立て「枠にはめられるのがいや?」

ある日、お父さんに「3歳くん」と呼ばれたとき、「3歳くんて呼ばないで!3歳だよ!」と声を荒げた。

どうやら“くん”づけで呼ばれることが嫌らしい。なら“ちゃん”ならいいのかと聞いてみると、それも嫌なようだ。

「3歳は3歳」だそうで、どうやら敬称をつけて呼ばれるのが嫌なようだ。
でも時々「3歳さん」と呼ぶと、それは嫌ではない様子だ。
もしかしたら、枠にはめられるのが嫌なのかもしれないな、と思っていた。

しかし別の日、ベッドに入ったときに「3歳はおとこのこなの?」と小声で私に聞いてきた。

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性別の認識

「そうなの?お母さんはわからないの。3歳は男の子なの?」と聞き返した。

それに対し3歳は答えることなく「3歳、おねえさんがいいの」と言った。

これまで、3歳の口から「男の子/女の子」という性別に関する言葉を聞いたことがなかったので、この日初めて「人には男の子か女の子がいることを知っている」ということが分かった。そしてたぶん、自分が男の子とみられているということにも気づいているようだ。
そのなかで自分では“お姉さん”を選ぼうとしている。
「枠にはめらるのが嫌」という私の見立は違っていたらしい。

「そうか。なんでお姉さんがいいの?」という私の質問に、その晩は明確な答えは返ってこなかった。

その日からことあるごとに3歳は「3歳くんってよばないで」や「おにいさんじゃないよ!おねえさん!」と言うようになった。

私にだけでなく、心をゆるした人にはそうやって主張する。
でも、あまり知らない人が「しばらく会わない間にお兄さんになったわね」などと言ってくれると、あとから私にこっそり「いま、おにいさんって言った?」と聞いてくる。

そして、夜ベッドに行くと、ときどき「おうちではわたしでいいの?」「ほいくえんでは3歳くんってよばれるの」とささやく。

「3歳がそう言いたければ、保育園でもわたしでいいんだよ」と教えると、「こんど◯◯ちゃん(仲のいい女の子で以前3歳にわたしはおかしいと伝えた子)にそういってくれる?」と聞いてきたので、「◯◯ちゃんが変だよって言ってきたら、3歳は自分のことを“わたし”って言うんだよ、変じゃないんだよ、ってちゃんと言ってあげる」と約束した。

目に映る姿

表に見える3歳はたぶん絵に描いたようなやんちゃな男の子だ。
泥だらけになって遊び、虫が好きで、調子に乗っては怒られ、ちんちんと連呼してよろこぶ。
最近は戦隊ものも好きだし、恐竜やサメも好きだ。

でも、そういうのが好きな女の子もいる。

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先日、もう一度「どうしてお兄さんじゃなくお姉さんがいいの?」と聞いてみた。
「うーん。だってかわいいから。きれいなあかいおリボンとかつけてるから」と教えてくれた。
そうだ、3歳はミッキーよりもミニーちゃんやデージーが好きなのだ。

かわいくてキレイなものが好きな男の子だっている。
男の子が赤いリボンを着けていたっていいのだ。女の子じゃなくたって、3歳の好きなものをいっぱい身につければいい。

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そんな3歳に、てんとう虫とカマキリと蜂がついたカーキの素敵なスポーツサンダルを買った。
ひとしきりよろこんだあと3歳が言ったのは「あと、ミニーちゃんとデージーのサンダル買ってね」。

ドンマイわたし。


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