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【基礎から学ぶ漢方④】気血水を知り健康を保つ

KAMPO MANIA 漢方薬剤師の西﨑れいなです。

今回のテーマは

『気・血・水(き・けつ・すい)』


漢方医学において重要な考え方、身体を構成する3つの要素【気・血・水】についてみなさんご存知ですか?

この3つの要素が身体を過不足なく滞りなく巡っていることで、健康が保たれると考えられています。

つまりいずれか(またはすべて)に、不足や滞りなどが生じてバランスが崩れると、不調や病気を招くということです。

身体を構成する3つの要素


さっそくそれぞれについて解説していきましょう。


気(き)

人の身体を動かすエネルギー、生命力そのもの


「気」は実体がない(目には見えない)ものなので、なかなか理解するには難しかったり、胡散臭いなーと感じる方も多いのではないでしょうか。


実は「気」は、日常の言葉や慣用句に頻繁に使われていて、とても身近な考え方なのです。


やる気、元気、気合い、気が晴れる、気が滅入る、気が合う……

このように言葉を並べてみると、心の状態と密接に関係していることが分かりますね。

「気」は心身の健康を保つために重要な考え方といえます。


さらに「気」の働きについて掘り下げていきましょう。

「気」には、大きく5つの作用があります。

・体を動かす、働かせる

・体を守る

・体を温める

・体に必要なものを留めておく

・「血」や「水」を巡らせる



「気」は、このように重要な働きを担っていますが、
現代のストレス社会では、「気」のトラブルを抱えている方がとても多いです。

日々のなんとなく不調の最たる原因といっても過言ではありません。


主な気のトラブルは3つ。おそらく誰もがいずれかに当てはまるのではないでしょうか?


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○気虚(ききょ)

エネルギーが不足している状態

主な症状:疲れやすい、だるい、やる気が出ない、食欲がない、朝起きるのが辛い、風邪をひきやすい、全身が冷える


○気滞(きたい)

「気」が巡らず、滞っている状態

主な症状:落ち込みやすい、イライラする、生理前に不調を感じる、喉が詰まる感じ、胸のあたりが苦しい(違和感)、頭が重い


○気逆(きぎゃく)

「気」の流れが逆行している、上昇している状態

主な症状:イライラする、のぼせる、めまい、動悸、息がしにくい、過度な緊張をする


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「気」のトラブルには、

「気」を補う漢方薬(ex.補中益気湯)や、気を巡らせる漢方薬(ex.加味逍遙散)が使われます。



血(けつ)

全身に栄養を与える赤い液体、精神を安定させる


「血」が十分かつスムーズに巡っていることで、健康が保たれます。

また、肌の血色や髪のツヤ・潤いなど、美容においても重要な概念です。


ところが悲しいことに、

特に女性は、過度なダイエットや毎月の生理、出産・授乳などで、人生において「血」を消耗しやすく「血」のトラブルを招きやすいといえます。


「血」のトラブルは大きく2つ。


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○血虚(けっきょ)

「血」が不足している状態

主な症状:四肢の冷え、貧血、めまい、立ちくらみ、肌や髪の乾燥、顔色が悪い、爪がもろい、夢をよくみる、目が疲れやすい


○瘀血(おけつ)

「血」の巡りが悪く、滞っている状態

主な症状:生理痛がひどい、生理不順、クマができやすい、下半身の冷え、のぼせる、肩こり、太りやすい、肌がくすむ


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「血」のトラブルには、

「血」を補う漢方薬(ex.四物湯)や血の流れをスムーズにする漢方薬(ex.桂枝茯苓丸)が使われます。



水(すい)

血液以外の体液、体を潤す


血液以外の体液とはすなわち、リンパ液や汗、涙、尿、唾液など。

「水」は津液(しんえき)とも呼ばれ、水分代謝を担うと同時に全身を潤す働きがあります。

「水」が必要な場所に適した量保たれていることが重要です。多ければ良いというわけではないんですね。


高温多湿の日本の風土では、水を溜め込みやすく、巡りの悪さを引き起こしやすいです。

梅雨時期はそれが顕著に現れ、梅雨時期になるときまって体調が悪くなる…なんて方も多いのではないでしょうか?


「水」のトラブルは大きく2つ。


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○水毒(すいどく)

余分な水分が溜まっている、水分代謝が悪い状態

主な症状:むくみ、冷える、頭が重い、下痢、めまい、お腹がチャポチャポする


○津液不足(しんえきぶそく)

「水」が足りていない状態

主な症状:喉の渇き、ほてり、肌の乾燥、尿量の減少、便秘


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「水」のトラブルには、

水はけをよくする漢方薬(ex.五苓散)や体に潤いを与える漢方薬(ex. 麦門冬湯)が使われます。


さて、今回は身体を構成する3つの要素【気・血・水】のそれぞれの働きとトラブル、主な症状について解説しました。


漢方医学の重要な概念から、

自分がどのタイプであり、不調の原因はどこにあるのかを把握しておくことは、日常生活を送る上でもとても重要です。


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