首藤若菜『物流危機は終わらない』
送料無料が当然となる昨今、物流の労働環境に焦点を当ててその辛さを描き切った一冊。
業務の都合上ドライバーさんにすみませんと思いながら読んでいました。路線便も区域便も長距離も本当にドライバーさんは割りに合わない仕事だと思います。
荷主(顧客)に理解を求めるのが総合物流企業の一員として携わる自分の仕事。とはいえ上司からは業界の最低レベルでの運送料受注を求められることが正直なところ慢性化しています。そうでないと新規顧客が獲得できない。で、そのしわ寄せが運送業者に行く。運送業の魅力がなくなってドライバーが減る。我ながら最悪だ。
ドライバーさんの所得の上昇曲線が平坦すぎるとか手待ち時間(納入先での指定時間/順番待ち)が長すぎるとかそのくせ遅延に厳しいとかお願いしてる身で読んでいて辛いところがいっぱいあります。
若いドライバーさんには尊敬の念しかありません。あとは海上コンテナ輸送(ドレージ)にも言及してくれていたらこの本は最高でした。
官僚サイドも物流については危機感を募らせていて、国土交通省・厚生労働省・経済産業省・農林水産省まで巻き込んでガイドラインの策定を行なっています。(pdf注意)
このガイドライン、当該書籍が先かガイドラインが先かというくらい内容が共通しています。まあ、国土交通省をターゲットに全日本トラック協会(全ト協)とか業界でロビー活動なりしているんだと思います。
ともかくいま個人としての自分たちにできることといえば、再配達をなくしたり、送料無料が当然なわけないと自覚することから始めていくしかないのかな...。
トラック業界が健全な経営環境になることを願って、これからも業界関係者として邁進して参る次第です。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?