姉のすがたをした別人の幽霊と暮らして七年になる。それはミチの姉、カケルが死んでから七年…
勉強机に敷いた紺色の布の上で、ミホは念じながら、よくシャッフルしたタロットカードをひと…
1 渡された絵具には『ビリジャン ヒュー』と書かれていた。ばかにされているみたいだ、と…
自動販売機から二本の缶コーヒーが吐き出された。 遠目に『無糖』の二文字を見た菜穂は…
プロローグ 「あと何回会えるんだろう」 駅までの帰り道に長谷川新はそう言っていた。あま…
彼女はその犬のことが好きではない。 犬は彼女の手が好きで、撫でようとするとべろべろに舐め…