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自作小説

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かわる

僕は眠るのが嫌いだ。目を閉じるという行為がどうしようもなく嫌いだ。なぜ人は眠るために目を閉じる必要があるのだろうか。事件、事故、天災。危険はどこにでも、いくらでもある。それなのに、なぜ周囲の状況を見えなくする必要があるのか。これまで無事だったからといって、今日も無事とは限らない。寝ている間は何もわからないのだから。

瞼を開くと、いつもの景色がある。モニターとしてのテレビ。サーキュレーターを兼ねた

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それは、誰のためのアヤメ

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島を間違った。
そう思った。

港には楽しげに会話をし、写真を撮る老若男女で溢れている。島民たちと思われる人々は出店の呼び込みをしたり、歓迎を示すホワイトボードを掲げ、商売に忙しい。中には動画投稿者なのだろう、自分でカメラを回して、レポーターのようなことをしている若者もいた。
そして歌。乳幼児向け番組で流れそうな、軽快で妙に韻を踏んだ歌が島のスピーカーから大音量で繰り返し流され、その音楽の切れ

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【書き出し小説部】2月14日

【書き出し小説部】2月14日

こんにちは。書き出し小説部です。
今日もあなたの人生に0.5秒の娯楽をお届けできれば幸いです。

【今日の書き出し小説】(その16)

「結局、恋はチーズナンなのよ」彼女はキラキラした瞳は、すでに僕ではなく目の前のダルカレーに向けられている。

(その17)

「ごめんな…好きになってごめんな…」流す涙は32.1℃。人間の体温にはわずかに足りない。

(その18)

麦茶に砂糖。それが彼と私の唯一

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【書き出し小説部】2月13日

【書き出し小説部】2月13日

こんにちは。書き出し小説部です。
今日もあなたの人生に0.5秒の娯楽をお届けできれば幸いです。

(参考)書き出し小説とは【今日の書き出し小説】(その11)

モコモコの服を着たいという気持ちが芽生えてから、もう3年が経つ。

(その12)

「SNSできないって、社会生活できてないってことじゃん!」彼の大声はドライヤーのように私の涙を乾かした。

(その13)

女子高生のヘッドフォンからはいつ

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【書き出し小説部】2月12日

【書き出し小説部】2月12日

こんにちは。書き出し小説部です。
今日もあなたの人生に0.5秒の娯楽をお届けできれば幸いです。

(参考)書き出し小説とは
【今日の書き出し小説】(その6)「そんなの薬物依存症と何が違うっていうのよ!」彼女の叫びを無視して、俺は今日もジムに向かう。パンプのためだ。

(その7)
ニンニクが嫌われるのは「立つ鳥跡を濁さず」ということを学ばなかったからだろう。

(その8)
僕の破壊衝動が向けられる先

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【創作しようぜ】書き出し小説部(2月11日)

【創作しようぜ】書き出し小説部(2月11日)

こんにちは。
みなさん、創作してますか?
創作は心のエネルギーを外に出して、新しいエネルギーを取り込むために必要だと、心理学でも言われています(今思いつきました)。

でも、創作って難しいですよね。
時間もないですよね。
根気も続かないですよね。

そんなあなたでも創作はできる方法がある!
ということで、最近こんな本を読みました。

一文の美学!こんな方法があるとは。
最近ちょこちょこと小説を書い

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君と一緒なら

君と一緒なら

「メアド、交換しよー!」

 そんなことを言われた時代もあったものだが、気がつけば、そのEメールは仕事以外では使うことがなくなり、アプリケーションソフトウェアでの短いやり取りが主流になった。仲の良い間柄ですらメールアドレスは知らないし、電話番号も知らない。このアプリを失うと、僕は一緒に人間関係の大半を失くすだろう。
 それは過去の清算に他ならず、「煩わしさを感じながらも最低限の人間関係を維持する」

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