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コロナ禍におけるお正月をどう過ごす?神社に初詣へでかけたい皆様へ

今年も残すところ、あと1ヶ月と少しになりました。
日本では冬の訪れとともに、恐れられていた新型コロナウイルス感染症の「第3波」が、少しずつ広がり始めています。

神社と言えば、やはり「初詣」を真っ先に思い浮かべる方が、ほとんどなのではないでしょうか。
この特殊な年末年始を、どのように安全に、また神様への感謝と祈りの心を忘れることなく過ごすべきか……。

今回は、コロナ禍の真っ只中における「お正月」をどのように明るい気持ちで迎えることができるかについて――。
さまざまな神社の対応や案内の例をご紹介しながら、年末年始を迎える前に、一緒に考えていけたらと思います。


これまでに神社でみられた感染症対策

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コロナ禍以前には、神主や巫女がマスクをつけたまま参拝者の前に立つことは、あまりなかったように思います。
それが、今年は夏場でも関係なく、マスクを着用した状態でご参拝の皆様をお迎えすることが、当たり前のマナーになりました。

また、不特定多数の方が触れる可能性のあるもの――手水舎の柄杓(ひしゃく)や拝殿前の鈴尾(すずお)などは、一時的に撤去するという対応をする神社も多かったですね。

手水舎は、直接流れる水に手を差し伸べることでお清めができるように工夫がされていたり、代わりに消毒液が用意されているのを見かけることもありました。

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物のやり取りを通じた感染をなるべく避けるために、御朱印は御朱印帳に直接書かずに、紙での「書き置き」のみに留めるという神社も増えています。

また、これを機に、お金のやり取り(接触)をなるべく減らそうと、授与所で受け渡しをする御初穂料を電子マネーで対応できるように、専用の機械を導入したというお話もよく聞きました。

さらに遡って振り返ると、感染が広がり始めたばかりの頃は、「新型コロナウイルス感染症」について分からないことだらけでしたから、外出自粛の要請に伴って授与所を一時的に閉鎖するというところも多かったですね。

今年一年は、例年であれば賑わいを見せていたはずのお祭りや催し物も、本当に多くが中止や縮小となってしまい、残念な想いをされた方もいらしたことでしょう。

このように、多くの神社では「前例」や「これまでの常識」に縛られることなく、命を守るために必要な対策を講じてきたように思います。

神社は元々屋外にあり、自然と一体になっている場合がほとんどですから、通常はあまり「三密=密閉・密集・密接」に当てはまりません。
しかし、だからこそ……できる限り神社における感染者を出さないよう、皆様に安心して参拝していただけるように心掛けることが大切だと言えます。


お正月に向けた参拝者への呼びかけ

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早いもので、2020年もあっという間に「年末」になろうというところ……。
そんな中の「第3波」です。

どの神社でも知恵をふり絞り、頭を悩ませているのは「このお正月をどのように乗り切るか」ということ。
神社でコロナウイルス感染者を出さないよう、これまで以上に慎重に対策を施し、参拝者の皆様とも協力しながら「お正月」を迎える必要があります。

「初詣」と言ったら、やはり1月1日~3日にかけての「三が日」にと考える方が多いですよね。
少なくとも年末年始の休みのうちに、初詣に出かけておかないと、なんとなく今年が始まったような気がしない、といった想いもあるかもしれません。

しかし、政府からもすでに「年末年始の休暇延長」が提言されていますが、これを受けていくつかの神社は、社頭の張り紙やSNSなどを通じて初詣の「分散参拝」を呼びかけています。

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一例を挙げますと、三が日は200万人もの人が訪れるという福岡の太宰府天満宮では、WebサイトやSNSで下記のような案内がされていました。(※案内の一部を抜粋)

新年を迎えるにあたり、ご参拝の皆さま方の健康と安全を考慮し、令和3年3月末までの期間を「初参り」として安心してお参りいただけますよう、以下の新型コロナウイルス感染症拡大防止対策を実施してお迎えいたします。
〇正月期間の延長について
・安心安全に分散してご参拝いただけますよう、令和3年3月末までを「初参り」期間といたします。
・正月の神縁品(縁起物)を12月1日から3月末まで授与の期間を延長いたします。
※神縁品はなくなり次第終了となりますので、予めご了承ください。

このように、同じ時期に多くの方の参拝が集中しないように呼びかけながら、その他にもさまざまな対策を考えていることを発信していました。

次の年末年始はいつも以上に心にゆとりを持って、それぞれの人ができる限り参拝の時期や時間をずらすように心がけてみませんか?


旧暦では「立春」が一年の始まりの日

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太宰府天満宮では3月末までを「初参り」の期間と定めていましたが、実は、日本が明治以前に用いてきた旧暦の考え方では、2月4日の「立春」が一年の始まりの日とされていました。

つまり、2月3日の「節分」までが年末のようなものであり、その日に豆を撒くなどして厄を祓うことで、また幸せな新しい「春」を迎えていたわけです。
「鬼は外」の「鬼」というのは、「災厄」つまり疫病や災害の象徴的な存在。
そこで、新しい年を迎える前に厄払いをするという意味の文化が、「節分の豆まき」に表れているのですね。

それを考えれば、1月中――まして三が日のうちに、絶対に初詣をしなければならない、ということではないのが分かりますよね。

逆に、人の少ない早朝や平日などを狙って神社に足を運べば、丁寧にお詣りをすることができて、いつもより心静かに神様と向き合うことができるかもしれません。

こんな風に、物事は「形式」よりも「中身」を大切に考えましょう。
そして、どんな状況においても柔らかな心で日々を過ごすことが、神様が一番喜んでくださる私たちの姿なのではないでしょうか。


それぞれの「お正月」を大切に……

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「初詣」とはそもそも、神様に昨年大変お世話になったことの感謝を伝え、今年も良い年になるように、それぞれの願いを神様にお祈りすること。

人々の切なる想いが神社に集まり、清々しい気持ちで一年を過ごすための、神様へのご挨拶です。
おめでたいお正月だからこそ、せっかくの参拝で油断をして、体を壊すようなことがありませんよう、一人ひとりが十分に気を付けて過ごしましょう。

コロナ対策においては、神社に関わる皆様のご苦労も大変かと思います。
しかし最近は、ご参拝の皆様もマナーを守り感染対策に協力してくださっている光景が多くの神社で見受けられ、とても素晴らしいことだと感じています。

これから先、新型コロナウイルス感染症のことはもちろん、世の中がどんなに苦しく辛いときも、お互いに思いやりを忘れることなく神様に恥じない生き方をしたいものです。

そして、神社や神様の存在が皆様にとって心の拠り所となり、その場所で過ごすひとときが安らぎになりますように願っています。

それぞれの方に、それぞれのタイミングで、素敵な「お正月」が訪れますように……。


文/巫女ライター・紺野うみ


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