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読書感想を呟くべきか呟かないべきか?

 半熟新米作家の深夜のたわごと「作家のぶっちゃけ話」
 第2回「読書感想を呟くべきか呟かないべきか?」を投稿します。

 まず始めのお約束です。作家の方法論に正解はありませんので(というか全てが正解とも言えるでしょう)、ここでのお話はあくまで私の手法であります。
 他の作家さんのやり方を否定するつもりも、非難するつもりもありませんので、あしからずご了承ください。
 と逃げを打ったところで、ゆるりと始めます。

 第1回「献本するべきかしないべきか?」はこちらです。

 今回は読書感想について!

 まずデビューして何が一番嬉しかったというと、自作について感想がもらえることです。
 どれくらい嬉しいかというと、妻と離婚寸前の大げんかをして、「ちきしょう! 離婚だ! この野郎!」と思っていても、「感動しました」とか、「目頭が熱くなりました」とかの感想を見た瞬間に、妻の元に走り、「うん、今回は俺が悪かった」と肩をもみもみするくらいです(笑)。

 新人賞の投稿時代、何が一番苦しかったかというと、箸棒のときには全く感想(評価)が分からないということなんですね。

 私は、5月末締め切りの『このミステリーがすごい!』大賞と、1月末締め切りの江戸川乱歩賞を中心に応募していたのですが、『このミス』大賞では1次通過でもコメント(それもかなり詳細な)をくださるのです。

 初めての私の著作に対する感想(というか選評ですが)は、『このミス』大賞予選選考委員の杉江松恋さんのものでした(下記リンクを参照してください)。

第13回『このミス』大賞 1次選考通過作品 神家正成

 むちゃくちゃ嬉しくて、もう100回以上読んでるはずです。暗記しているかもしれません。

 この後、お陰様で受賞してデビューできました。

 それからは猿の一つ覚えのようにエゴサーチの嵐です。
 アマゾンを始め、読書メーターブクログなどの感想サイトはもちろん、一般の方のブログまで読んで、喜んだり、ときには落ち込んだりもしました。
 中には辛辣な感想を書かれることもありますが、それでも反応がないよりは嬉しいものです。

 でようやく本題なのですが、それだけ嬉しい感想を、自分は書くのかどうか?

 デビュー後に作ったウェブサイトでは「創作日記」というページを作り、「好きな作家と本たち」という項目も作りました。
 Twitterも始め、読書メーターやブクログもアカウントを作り、せっせと読んだ作品をまずは登録しました。

 が、ここでふと思ったのです……。

 お前、他の作家に対して感想を書けんの?

 感想を書こうとしたとき、手が止まっていました。

 デビューして変わったことがありました……。
 それまで作家名は呼び捨てでした。私にとって作家というのは雲の上のような存在で、ある意味神様のようなものでした。敬意を込めた呼び捨てだったのです。

 それがデビューした後は○○さんと、さん付けになったのです。理由は分析すれば幾らでも後付けできると思うのですが、ともかくさん付けになった作家に対して気楽に感想を呟けなくなりました。

司馬遼太郎から司馬さんへ

 お酒の場や仲間内では、気楽に話せますし、「あの作品、むっちゃ面白いよね~」と語るのは大好きですし楽しいです。
 ただSNS上などで万人に対して神家正成として感想を発信するのが、ちと怖くなったのですね……。

 物語の感想というのは、ある意味自分をさらけ出すことです。
「面白かった! すごいよ!」という感想もありだとは思うのですが、なぜそう思ったかをうまく表現するのは、とても難しいです。
 感想を言語化する作業は、実はかなり労力を使いますし、技術も必要となります。また作家として発言するのであれば、自分にも刃を向ける覚悟がいります。
 書評家の方はものすごい高度な技術を持っているのです。

 ということで現状の私の結論としては

 読書感想を呟かない!

 を方針としております。

 まあ、それ以外にも、「献本するべきかしないべきか?」で書いたような、「え、俺の感想は書かないの?」という事態を避けたいというヘタレな気持ちもあるのが、正直な気持ちなんですよね~。
 この世の中に発売されている本は全て面白い本なのですが、読書というのは主観的でかつ個人的なものなので、やはり合う合わないはあります。

 また時間がなくなったという理由もあります。作家デビューしてからは読書(インプット)の時間が目に見えて減ってしまいました。また純粋に物語を楽しんでいたのに、作家の目で読み始めてしまう場合も増えました。
 まあ読書量が少ないというのが、バレるのが恥ずかしいちゅうことですがね……。

 あと知り合いの作家が増えてくると、その作家の作品の感想をどう伝えるのかという問題もあります。身内びいき的な仲間褒めの雰囲気が、私は生理的に駄目なので、お茶を濁して書くようなこともできません。

 直接会ったときに感想を伝えようといつも思っているのですが、なかなかじっくりと話す機会が取れなかったり、そのような雰囲気にならなかったりするので、いつも帰りの電車の中で落ち込みます。

 裏アカウントや匿名で好きなように言えばいいのかもしれませんが、まあ不器用なんですね。

 というわけで読書感想は現時点では呟きません。
 知り合いの作家の皆様、まことに申し訳ございません!

 自作の感想は最初に書いたように、とても嬉しくありがたいので、本当は皆様の作品もバンバン感想を呟きたいのですが……。

 皆様の作品は──ちゃんと読んでおります。たぶん読んでおります。読んでるんじゃないかな、ま、積ん読かもしれません──。

 前回もそうですが、今回の話も、どなたにも含むものはございませんよ!

 結論としては神家はヘタレということでございます

 ぶっちゃけなのか、ぶっちゃけじゃないのか、書いている本人もよく分からなくなっておりますが……。
「作家のぶっちゃけ話」次回第3回は、「先生を付ける付けない?」の予定です。

 ご期待ください!

第13回『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞を受賞して自衛隊ミステリー『深山の桜』で作家デビューしました。 プロフィールはウェブサイトにてご確認ください。 https://kamiya-masanari.com/Profile.html 皆様のご声援が何よりも励みになります!