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十月二十一日 2019/10/21 ──作家になりたい。 ガラス越しに流れゆく美しい風景を見な…
梅雨入り 2019/6/1 大雨の日は、心が落ち着く。 ただの小雨では駄目だ。大雨、それに嵐…
改元 2019/5/1 平成最後の夜は、雨だった。 俺は改元で浮かれる街の喧騒の中、救急車に…
入学式 2019/4/5 「──警部はその際、怪我をして病院に向かわれ、軽傷だから家族には知らせ…
卒業式 2019/3/14 「──諸君は、平成最後の卒業生と──」 自衛隊の最高指揮官である首相…
建国記念の日 2019/2/11 目の前の喧騒に嫌気がさし、俺は胸元からゴールデンバットを取り…
節分 2019/2/3 冷たい冬の風が、首筋をなでる。 俺はコートの襟を立てた。柏(かしわ)駅で電車を降り、バス乗り場に向かう途中のダブルデッキは、日曜日の人出で、にぎわっている。 二年前の大事件など、みな忘れたかのように、休日のひと時を満喫している。 まあ、それでいい。警察──特に公安の仕事は、表に出ない地味な任務だ。高校卒業後、俺は三十年近くその仕事に人生を捧げてきた。 バスを待つ間に、一服したかったが、柏市内は路上喫煙が禁止だ。警察官が条例とはいえ、法律を
成人の日 2019/1/14 「何で振袖じゃないのかな」 「さあ、面倒臭いからじゃないの」 「だっ…
終戦の日 2018/8/15 「──おい、ばあさん、そろそろ行くぞ」 夫が居間に入ってくるなり、…
山の日 2018/8/11 弟のことは嫌いじゃない。ただ、深夜まで彼氏と久しぶりの長電話を楽し…
海の日 2018/7/16 姉貴のことは嫌いじゃない。ただ、深夜まで試験勉強をしていた大学生の…
七夕 2018/7/7 先ほどから川の水位は、急激に高くなってきている。もう時間がない。俺は救…
父の日 2018/6/17 お父さん、父の日の手紙は、これで最後にします。なぜなら──。 「なぜ…
母の日 2018/5/13 また花が、無惨にへし折られていた。 数十本の白いカーネーションのつぼみが、朝日が射し込む温室の地面に落ちているのを見て、私は大きなため息をついた。 夫が脱サラをしてから十年が経つ。花卉(かき)園芸農家をやりたい、と相談された時は、目の前が真っ暗になり、大反対をした。しかし、始めてみると、花の栽培は思いのほか面白かった。最近は売上悪化に悩む夫を差し置いて、私は経営拡大を目論み、精を出している。 もちろん植物相手の仕事だ。天候や市場などの