マガジンのカバー画像

#記念日にショートショートを

30
記念日には、ショートショートを一緒に、楽しんでみませんか?  有志の作家が集まり、記念日に合わせて、一分で読めるショートショートを、Twitter上で公開しています。こちらにはそ… もっと読む
運営しているクリエイター

#小説

縁を切る寺 SS0030

紫陽花 2020/7/14  門前が、騒がしい。  尼僧に呼ばれ、私は色とりどりの紫陽花が咲く花…

ささやかな願い SS0027

十月二十一日 2019/10/21  ──作家になりたい。  ガラス越しに流れゆく美しい風景を見な…

それぞれの明日 SS0023

卒業式 2019/3/14 「──諸君は、平成最後の卒業生と──」  自衛隊の最高指揮官である首相…

トンビとカラス  SS0022

建国記念の日 2019/2/11  目の前の喧騒に嫌気がさし、俺は胸元からゴールデンバットを取り…

季節を分ける  SS0021

節分 2019/2/3  冷たい冬の風が、首筋をなでる。  俺はコートの襟を立てた。柏(かしわ)駅…

哀しみの序章  SS0020

成人の日 2019/1/14 「何で振袖じゃないのかな」 「さあ、面倒臭いからじゃないの」 「だっ…

青い空  SS0019

文化の日 201811/3 「──我々の護るべき文化とは一体、何なのであろう」  志願を終えてから、頭の中でずっと考えていた言葉を、ふと漏らしてしまったら、学校の室内が突如として騒がしくなった。 「俺は、文化とは社会や組織の一員として身につけるべき生活様式だと思う」 「先祖から引き継いできた有形、無形の成果の総体だな。身近で言えば、家族だ」 「いやいや、培ってきた精神的活動のことだ。俺は自分に恥じることはしたくない」 「みんな固いな。文化は芸術のことだろう。すばらしい小説

黒いとんがり帽子 SS0018

ハロウィン 2018/10/31  玄関のインターホンが、鳴った。  土曜の午後、和室でうつらうつ…

母の着物  SS0017

きつねの嫁入り 2018/10/23 「こーん」掛け声に合わせて、両手首を胸の高さまで上げ、きつね…

小さな手  SS0016

体育の日 2018/10/8  窓から運動会の練習の歓声が、聞こえてくる。  俺は枕元の耳栓を取り…

月に願いを  SS0015

中秋の名月 2018/9/24  ──月なんて、大っ嫌いだ。  特に中秋の名月なんて見たくもない。…

共に老いる  SS0014

敬老の日 2018/9/17  俺は年寄りじゃねえ──。全く、どいつもこいつも、俺をじじい扱いし…

せっかちな夫  SS0013

終戦の日 2018/8/15 「──おい、ばあさん、そろそろ行くぞ」  夫が居間に入ってくるなり、…

上を向いて  SS0012

山の日 2018/8/11  弟のことは嫌いじゃない。ただ、深夜まで彼氏と久しぶりの長電話を楽しんだ会社員の私を、祝日の早朝に叩き起こして、山に登るぞ、というのはさすがに如何なものかと思う。  栃木県のさくら市の実家から弟の運転する車の助手席に座って目的の山に向かう。退屈でひたすらあくびをかみ殺す。さっき大きなあくびをしたら、「不謹慎だぞ」と怒られた。 「しょうがないじゃないの。護(まも)ちゃん、航海中は連絡できないんだから」私の彼氏は、海上自衛官で護衛艦「ひゅうが」の乗