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美姿勢についてとことん掘り下げた結果行き着いたのはヒトとしての在り方だった~姿勢改善の3つの階層~

突然だが、「インセプション」という映画を知っているだろうか?

監督は私がこよなく愛する、クリストファー・ノーラン監督。

内容は本編を見ることをお勧めするが、この映画では、脳内の無意識の領域に潜入していき、ターゲットとなる人物の思考と行動を操作するのがテーマのSF映画だ。

主演のレオナルドディカプリオは、目的を達成するために脳内の無意識レベルを、3階層目まで進まなくてはならない。

階層を成して複雑に絡み合う脳内での展開と、科学的な要素も組み込まれた愛の物語。

まだ見たことない人は是非。

さてこの記事で私はディカプリオのごとく、姿勢改善の為の方法について3つの階層まで掘り下げようと思っている。

第1階層目は筋・骨格系

第2階層目は脳・神経・感覚系

第3階層目は進化と文化

読み終えたあなたの思考と行動が、良い方向に変化するのを狙って。

ではまずは、最も表層にあたる筋・骨格系からスタートしよう。

姿勢改善|第1階層 筋・骨格系


初めにお伝えしておく。

ピンっと背筋が伸びた美しい姿勢を維持するために、筋力はあまり必要ない。

あまりと言ったのは、姿勢維持に必要な筋力は最大の10%程度でいいと言われているからである。

このことは、生後12カ月で直立し始める赤ちゃんを見ればおわかりいただけるだろう。

体幹トレーニングで筋力を鍛える必要などないのだ。

(体幹トレーニングの最も有意義な効果は、適切な身体の使い方の再学習である)

したがって、肩首がガチガチに力んだ状態や、表情がくしゃくしゃになってやる体幹トレーニングは、はっきり言って姿勢改善には繋がらない。

では姿勢を維持するには何が必要なのだろう?

答えは、体幹部の均一した空気圧である!と言ったら納得してもらえるだろうか。

要するに適切な呼吸だ。

私たちの身体は、適切な呼吸による空気圧によって、楽に姿勢を維持できるようにできている。

そして適切な呼吸を行う為には、肋骨と骨盤の正しいポジションが必須。

なぜなら、肋骨と骨盤に開きがあったり歪みがあれば、呼吸から得られるはずの“均一した”空気圧の恩恵を受けることができないからだ。

かくして私たちパーソナルトレーナーは、呼吸と骨格のポジションを評価して、改善すべきターゲットの筋肉を横隔膜や腹横筋、ハムストリングに。

あるいは骨格であれば肋骨と骨盤に定め、不良姿勢を改善しようと試みるのである。

しかしこれでは、全体のほんの一部分しか見ていない。

あなたは空の飛び方を知りたいのに、鳥の翼を一生懸命調べるだろうか?

それでは空の飛び方は一生理解できない。

理解するためには、階層をもう一段階深く進む必要がある。

姿勢改善|第2階層 脳・神経・感覚系

もし空を飛ぶ方法を知りたければ、鳥がどのように翼を扱っているのかを詳しく調べなければいけない。

それは人間にも当てはまる。

なぜなら、私たちの全ての動作(呼吸も姿勢も)は、感覚から得られた情報を脳がキャッチして、そこで作成されたプログラムを基に実行されているからだ。

したがって姿勢改善でまず必要なのは、自分の身体の声を正確に聞くことができるよう、感覚を研ぎ澄ますこと。

それと脳でイメージした動きを正確に実行できるように、運動神経のコントロール能力を鋭く磨くことである。

こういった脳・神経・感覚系が司る身体マップに乏しい人は、立ったり座ったりしているだけで筋肉が過度に緊張してしまう。

美しい姿勢とは、安定しているのと同時に、いい意味で脱力できていなければいけない。

この定義から鑑みれば、常に過緊張状態に陥っている人がどんなにエクササイズを行っても、美しい姿勢を手に入れることはできないだろう。

筋・骨格系に目を向ける以前に、自己の身体マップを敏感に感じ取れる感覚を養い、リラックスできる状態を取り戻さなければいけないのだ。

パベル・コラー氏が言うように『筋肉より脳を鍛えよ』であり、古代ギリシャの格言のように『汝自身を知れ』である。

しかし冒頭でも紹介したように、ここで終わりとはならない。

姿勢の問題を根本的に解決するには、もう一段、階層を下げる必要がある。

そもそもなぜ私たちは、過度に緊張した状態で日々過ごしているのだろうか?

姿勢が悪くなる究極の原因は何だろうか?

姿勢改善|第3階層 進化と文化

地球上に存在する、いや、絶滅した種も含め全ての生命体は、生存と繁殖の確率を最大限高めるよう生息する環境に合わせて己を進化させてきた。

最も適応した形質は残され、適応できなかった形質は排除されて。

何十億年も前から脈々と。

これが、ダーウィン主義的自然淘汰だ。

もしもこの先、意識と記憶をコンピューターにアップロードできるようになり、不老不死を手に入れる日が来れば、人類はついに生命の領域を超えるだろう。

だがそんな日がやってくるまでは、どんなに賢い脳を持っていようと、窓の外に咲く植物や空を飛ぶ鳥に散歩している犬、川で釣った魚に腸内にいる細菌と私たちの基本原則は何も変わらない。

では人類は、約600万年という月日を通していったいどういった環境に適応してきたのだろう?

正確にはなかなか答えられないが、現代の生活とはかけ離れているということはほぼ確実に言えるはずだ。

人類は、狭い空間で長時間椅子に座って、近くのディスプレイを見続ける生活を毎日繰り返すようには進化してこなかった。

こういった進化と文化のミスマッチが、現代人の身体を蝕まないはずがない。

これを21世紀病、あるいは慢性的現代病と呼ぶ。

そして21世紀病の上位に、不良姿勢がランクインするのに異論を唱える専門家はもはやいないだろう。

したがって、姿勢を悪化させる究極の原因はここ、最も深い3つ目の階層である、進化と文化のミスマッチに依拠しているのだ。

姿勢を改善しようと試みた場合に、筋・骨格系や脳・神経・感覚系にしかアプローチせず、進化と文化の問題を無視して満足するのは、外壁や内装はオシャレに造られているのに、内部の骨組みや設計は雑に行われた不良物件のごとく、幸せな未来は待っていない。

人間にとって自然ではない習慣は何か?

この答えの先に、本物の美姿勢を獲得する方法が眠っているはずなのだ。

まとめ~ヒトとして~

さて今回の記事では、美姿勢の獲得法を探り、より最深部まで掘り進めてきた。

そこで見つかったのは、私たちの本質であり、“ヒト”としての在り方だった。

そしてもうお気づきだとは思うが、この話は姿勢に限ったことではない。

健康的で美しい未来を手に入れるには、今をどう行動するかにかかっている。

それを選択するのはあなた自身だ。

未来の過去である現在を変えよう!

しかし、いつか私が本を出版した暁には、クリストファーノーラン監督みたいに読者を引き込む巧妙な仕掛けを駆使した内容に仕上げたいものだ。

この記事を書いた神尾健太という人物➤https://wp.me/P9oEaZ-41

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