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じっとしていると体に悪いわけ~運動しなくていい人などどこにもいない~

いくらスリムな体型を維持できていても、いくらヘルシーな食事を心がけていても、いくらエステやマッサージに通っていても、美と健康は保てない。

私たち人類には定期的な運動が必要不可欠だ。

※その根拠はこちら

人類の進化の歴史を辿れば、その理由がよくわかる。

では一日中じっとしているとどのようにして身体に不調や悪影響を及ぼすのだろうか?

普段、体をあまり動かさない人の体内ではいったい何が引き起こされるのか?

ここではこれらの具体的な過程を解説していくことにする。

誤解その①|フリーラジカル老化説の真実


運動が健康と美容にとって絶対的に必要だと主張するには、この業界にはびこる誤解と運動に対する否定的な意見にまずは対処しなければならないだろう。

その代表格が“フリーラジカル老化説”だ。

初めてこの説を聞いた人の為に簡単にその内容を説明していこう。

わかりやすく言えば、フリーラジカルとは暴れん坊のやんちゃ坊主でやたらと私たちの細胞を荒らしまわる厄介者の化学物質だと思ってくれればよい。

その厄介者のひとつが皆さんお馴染みの“活性酸素”である。

美容業界やサプリメント業者が常に悪者扱いをしてきたこの活性酸素が老化の原因になる過程は以下の通り。

すなわち、体内に活性酸素が大量発生すると細胞がダメージを受けると先ほど説明した。

そのダメージが蓄積すると細胞の機能低下と量の減少に繋がるか、あるいはがん細胞を抑制できなくなるのだ。

細胞の機能低下もがんもどちらもいわゆる老化現象の代表格だろう。

確かにこれは全くもって正解で、その通りだ。

だが一方で、活性酸素は細胞内で極めて重要な役割を果たしていることも知られている。

私たちの細胞は定期的に生まれ替わっていることをご存じだろうか。

その際、稀にではあるがDNAの変異によって、質の悪い細胞に入れ替わってしまうことがある。

そうした場合は、その悪い細胞を除去しなければならないのだが、ご想像の通り細胞はそれをうまく行っている。

これをアポトーシスというのだが、何を隠そう、アポトーシスの引き金を引くのがいつも悪者に押しやられる活性酸素なのだ。(いつも悪い面しか評価されない活性酸素が不憫でならない)

つまり誤解の一つ目として、活性酸素は多量に発生させなければ全く問題ないと覚えておこう。(むしろ過程自体がアンチエイジングの源である)

誤解その②|抗酸化物質とは?

しかしそんなことはどうでもよくて、活性酸素が何らかの理由で多量に発生した場合はどうするのか?

だから“抗酸化物質”が必要なのでは?考えたくなる。

その気持ちもよくわかるが、誤解の二つ目はこれだ。

その誤解を解く前に、抗酸化物質とは何か確認しておこう。

抗酸化物質とは、先ほどの活性酸素の悪影響から細胞を守ってくれる物質のことを言う。

ん...本当に?

よく聞いてほしい。

これまでの全ての信頼性の高い(美容系企業が絡んでいない)研究で、抗酸化物質が老化や病気の万能薬になると証明できたものは一つもない。

(図書:「生命、エネルギー、進化/ニック・レーン」参照)

美容健康業界、代替医療の世界ではよく見られる現象だが、科学的根拠が薄くても誇大に広告するやり口の典型だ。

抗酸化物質の抗酸化の効果は、記憶バイアスや知識バイアス、プラセボ効果の域を出ないのだろう。

しかし現在抗酸化物質として謳われてるものはがたとえ抗酸化に効果がなくても、栄養素としてはいたって身体にいいものばかりなので、そういった物質や商品を摂取することはいい選択である。

誤解その③|運動=活性酸素発生ではない

さて、今回の本題はここからである。

運動することの否定的な意見で最も多いのが、運動することで活性酸素が大量に発生するという考え方ではないだろうか。

先ほど説明した通り、多すぎる活性酸素は確かに悪となるがポイントはそこではない。

三つ目の誤解は、運動すると活性酸素が大量に発生するという事実無根の理論の方だ。

この理論は呼吸の回数によって説明されている。

つまり、呼吸で吸った酸素の2%は活性酸素となり、身体で悪さをしている。

だから呼吸の回数が増える運動は身体に良くないではないか?というわけだ。

これは一見筋が通って聞こえるが、少し考えるとおかしい。

数十億年前、二酸化炭素を栄養に酸素を生み出す生命体が誕生し、それによって酸素をエネルギー源とするよう進化してきた動物が、呼吸によって致命的なダメージを自分に与えるように進化してくるだろうか?

ダーウィンが発見した自然淘汰の力はそんなものなのだろうか?

ましてや私たち人類は、そのほとんどの世代を通して運動するように進化してきたはずではないのか?

そう、事実は違った。

やはりじっとしている方が体に悪かったのだ。

※現在では呼吸から摂取した酸素のうち2%が活性酸素になるという結果自体に疑問を呈する科学者もいる

じっとしてると体に悪いわけ


ではどうしてじっとしていると体に悪いのだろう?

ここでの話しは少々ややこしい。

主役は、ミトコンドリア、プロトン勾配、電子、ATP合成装置。

聞くだけで読むのをやめたくなるかもしれないが、かなり簡略化して解説していくので頑張って着いてきてほしい。

私たちの細胞にはエネルギーが必要なので、常にエネルギーを生産し続ける必要がある。

で、実際にあなたの体の中の細胞もそうしている真最中だ。

(食べ物から得た電子が、ミトコンドリア内の内膜にある呼吸鎖を、プロトン勾配を利用して移動した先にあるATP合成装置と結合することによって)

だが赤ワインをグラスに注いでいってもそれを誰も飲まなければ、グラス一杯になってもう注げなくなるのと全く同じで、エネルギーも使わなければ、細胞の中で(電子が)“詰まり”始める。

赤ワインの場合はグラスから溢れ返り、赤く染まったテーブルクロスを洗うのが少々面倒なだけだが、細胞の場合は違う。

※尚、テーブルにぶちまけた赤ワインに含まれるポリフェノールには、重要な腸内細菌(ラクトバチルス菌)の繁殖を助け、脂質のレベルを低下させたり、免疫系に指令を出したりするのを助ける効果があるとされる

エネルギーの流れが詰まると、(細胞内の還元状態が低下して)フリーラジカルが飛び出る可能性が高くなるのだ。

先ほどお伝えしたように、大量のフリーラジカルは細胞に悪影響を及ぼす。

だからエネルギーの詰まりを解消し、細胞内の流れを良くするには運動することによってエネルギーを消費しなければならないのである。

これがじっとしているとあなたの細胞はどんどん劣化していく紛れもない根拠だ。

私たちは運動をしてエネルギーを消費しなければ健康を維持できない!

まとめ|すぐさま運動を始めよう!


そろそろ運動を始めなければ!

健康と美容の為に運動は必要だ!

こんなことはもはや誰もがわかっていることだろう。

わかっているなら直ちに始めよう。

運動の種類は何だっていい。

(運動の理想の条件は、心拍数が上がり・動きの種類が豊富で・ダイナミックな動きが伴うもの)

運動しなくてもいい人などこの世に1人もいないのだ。

だが最後に一つだけ気になる問題を提起して終わりにしよう。

現在私たちが呼吸の度に吸っている空気は、私たちの祖先が吸っていた空気とは随分違うはずだ。

排気ガス、化学物質、汚染物質、放射能...

これらを吸いながら激しい運動をすることの被害がいったいどの程度あるのか?

今後の研究に期待したい。

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