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夫との戦い【6】

モラハラ夫にキレる!

私がメールを送った夜、
夫は非常に厳しい表情で帰って来た。
もう二度とこういう空気を醸し出す夫を見なくて済むのかと思うとほっとする。
気分が悪い時に気分が悪い顔になるは誰しもある事だが、自分はいいけど自分以外の人間の不快な態度は許せないというところがセコい。
それがまた、自分に取ってメリットのある相手や自分より上だと認める人間であれば許せるというのだから露骨過ぎて情けない。
そう、このヒトにとって私が外部の人間だった場合にはきっとこんな顔は見ないで済むのだ。
はぁ…やれやれ。
無駄に長居をしたものだ…。

子供達には自分の尊厳を守れない場所に長居はするなと言って来た。
我慢は美徳じゃないよ、しっかり伝えたい事は伝えないと!
黙ってて察してもらえると思ったら大間違い!とも言って来た。
…わりには自分が出来てなかった。

またやっちまった…と思っていた。
私はすごく面倒臭がりなのかも…。
嫌な気分になりたくないから喧嘩しないように流す。
いちいち注意されるのはイヤだろうからとまた流す。
つまりは揉めるのが面倒だから限界まで相手のニーズに応え、知恵を絞ってあれこれ試してみながら相手の嫌な部分を見ない振りをして流し続けていて、実はそれは全く流れてなどおらず、結構立派なダムが出来ていて、いざ放水~!!
「やってられっかー!」
とブチ切れて
「…じゃ、そういうコトで
さようなら~!」
と言い出す。

言われた方はポカーン…みたいな。
「えっ、そんなに辛かったの?知らなかった…」
となる。

私的にはもうじゅうぶんに表現したつもりで、試してもみた事なので気も済んでいるものだからそこから更に続くということはありえない。
気づいた時にはもう手遅れで、ギリギリの所に立っている感じ。
でもそれは、わざとやっているのかもしれない…とも思う。

がっかりしたり傷ついたりすると自分を守る為に即座に線を引き、爆発したいからわざと溜め込んで、相手がもう一切言い訳出来ない状況を作ってから
さぁ、もういいでしょう!と言い放つ為に。
…という話しをするとだいたい
「怖ーい、怖ーい、怖ーい、アンタって怖ーい!」
と言われる。
たしかに…と思う。
でも…と思い直す。
傷つきたく無いし、理解されないと寂しいから最初からひとりで居たがるのかもしれない。
一緒にいるのに一致出来ない寂しさや虚しさに絶えられないとか。
お互いを尊重し合えるパートナーが理想といいつつも、私は相手を尊重していないのだろう。
だって不都合な所は親切ぶって見ない振りしちゃうんだから。

うーむ…
どっちにしろ…
今回離婚したら、もう絶対に結婚するのはやめよう。
結婚には向いていない、色んな意味で。
だから、もうやめよう…とだけ心に決めた。

夫はリビングに座ると
「ちょっといい?」
と私も座らせ、自己愛性パーソナリティーについての内容を読み上げ始める。

は?なにが目的?
そんなん私は何度も読んだし、この無駄な時間はなんだ?
と軽くイラッとして
「今読み上げる意味あるの?」
と聞いたが、夫が最後まで聞いてくれと言うので黙った。

特徴を読み終えた夫は、
「これを読んで思ったのは、ほぼ全て自分に当てはまる。その自覚はある」
と言った。
…あ、なるほど、
私がどう思うのか知りたいとメールに書いたから感想を述べているらしい。

続けて夫は、
自分のせいで辛い思いをさせた事を謝りたい。そして、改善策に書いてある様にパートナーである私に、今後は我慢せず、どんどん指摘して貰いながら変わって行きたいと言った。

あーっ、そう…。
…ん?
えっ?!
変わりたいって?!

ここで、
「まぁ、あなた!分かってくれたのね!
ありがとう!これからはもう大丈夫!私たち幸せになりましょう♪」
と言えたなら、可愛い上に度量の大きな妻なのだろうが、可愛くない上に無駄な争いも努力も省きたい、すっかりやさぐれてケチ臭くなったワタクシとしては全く魅力のない解答だった。

今後も一緒に生活するつもりなのか?!
いやいやいや、やめときなって!
と慌てて夫に説明する。
「だってさ、アナタの問題点に気づいちゃったし、もう威張っていられないし、私に上から物を言われそうだし…大事なアナタのプライドが傷つくんじゃない?」
と。

みなさんもそう思いません?
プライドがチョモランマ男子にとって、
居たたまれない状況でございましょう?
いいじゃない、こっちが離婚を望んでるんだから同意しちゃえば。
無理に自分を変える必要もないし、なんにも知らない女性と
「僕はなんの問題もありませんよー、君を思いやれる夫ですよー」
っつって自分で気をつけながらシレッとやり直せば。

なにしろもう私は本当に疲れた。
幼い息子と次女の件でヘトヘトの中、支えるどころか更に厄介な事を言い出したり、もう本当に、本当に疲れた。
無駄に気を回したり、遠回しに注意したりはもう出来ない。
解放されたい、今後はオトナと関わって行きたいと言った。

自分の子供なら責任もとろうと思うがアナタは私の子供ではない。
オトナの男と結婚したはずなので、もう勘弁してくれという事ですよと…。

夫が言うには、私が夫に対してここが問題だと思って来た事を全て、本当に洗いざらい細かーく具体的に説明したのは今回初めてなコトなので、これが最後の警告というのでは厳し過ぎると。
やっと自分で自分の弱点(自己中心的で相手の気持ちを察する事が出来ない点)に気づいたのだからもう少し猶予をくれととおっしゃる。

こちらとしては、ここまで細かく言わないと分からない人間と関わったのは初めてだし、初めてながらも何年もの間、夫に合ったやり方で接して来たのだから本当にお疲れさま、ワタシ!と言いたい。
今後夫が変わるとして、その変わって行く段階にまた何年無駄に付き合わされるのか…と想像した場合、それが自分にとって必要な時間なのかが甚だ疑問だ。
ワタシって合理主義で無駄嫌いのケチなのだろうか?
と考える。
いやいやむしろ情に流されて、結構今までも面倒臭い人間の相手を長々続け、最終的にその面倒くさい人間て、なんでも人のせいにするから、
「あら?私が悪かったの?うわー相手しなきゃ良かったよー!」
って事も多かったりで、
「はいはい関わった私がアホでした!」
で終わる事多しだったという経験上、
もう今後は「ダメだこりゃ」な人とは関わらずに生きて行きたいというのがひとつ。
もうひとつは、このパターンが多いって事はそろそろこういう人間の攻略法を掴みなさい、優しいふりして自分をすり減らすのではなく、痛みが伴っても伝える事をする時期に来ましたよ!
って事なのか…。
うーん、でもだったらそういう人とは外で関わるのはどう?
家ではくつろぎたいじゃーん!
とか思ったりなんかして…。

そもそも男女の考え方や伝え方は丸っきり違うってのは分かっちゃいるけども、それを差し引いても夫の様なタイプの人間はもう面倒だなぁ。
リラックス出来ない。同じ空間に居ると。

私が夫の発言で
「それっていったい…」
と脳が凍り付いたのは一度や二度では無いワケで、その発想ってどういう思考から来るんだ?
性根が腐ってんのかなぁ…
いやいやそこまで悪いヤツでは無い様な…
と見直してからの~またガビーン!
が繰り返されて来たので、もういいすっかね?…になってしまった今、ここからのやり直しって結構シビれるね…違った意味で。

信用を失うとか人間性を疑うのは、一瞬や一言でじゅうぶんだったりする。

それを取り戻す為にどれだけの時間を費やすのだろう。
失った信頼関係を『今まで』という時間で中和したところでプラスに転じるものだろうか。

浮気したとか殴られたとか、そういう事ならもう瞬殺で縁を切るけれど
(そういうのは相手の顔を見ないで済む状況になりたい度が高いので)
性格、性質に関しては基本、自分基準で考えてしまいがちなので、客観的に判断したいと思うから難しい。

…でもさ、
腹に溜めずに言っていいっていうんだからもう言うか。
ズバリ言うわよ的に言っちゃうか?!
とは思うものの、
プライドチョモランマ男子って無駄に傷つきやすいんだものー!
自分はとんでもないコトをペラッと言うくせに、自分をちょこっと傷つけられると激落ちだもんね、超面倒!
その空気を察してしまう私が苦しい思いで注意する必要ある?
私が気の毒過ぎない?

とは言え、夫は自己愛性パーソナリティー障害に対して否定しなかった。
自分がこうだったと認めた事を評価すべきなのかもしれないね。
自分で変わると宣言するって大変だもんね。
しかも私の説明って具体的な上に正論過ぎて逃げ道が無いと思う。
なにしろ限界が来ると妙に冷静になって、相手が言い訳出来ないくらいの説明をしてしまう。

そうは言うけど出来ていなかったよね?という具体例を挙げ、夫が言った言葉を名詞を変えて同じトーンで言い、こう言われてどう感じた?
自分が言われても傷つかないのならいいけれど、言われて不快ならばそれは使っていい言葉では無いってことだよねと。

なんか…夫婦の会話じゃないよね?
なんじゃこりゃ!と思う。
私は長女なもので、無駄に揉めるのは嫌いだし、言わずに済むなら言わないで済ませたいし、たいてい自力で乗り切れるから人に頼らないしでワタシにパートナーって必要?って部分では、即答で「いらん!」と言えちゃいそうなんだけど、すごく自分の事だけを守ってる感も捨てきれない。

これがね、こう…もっと女子らしくて、なんていうか…感情でバーッと怒り出したり、泣いたり、機嫌が直ったら急にルンルンするとか…そういう感情に素直で可愛い感じならいいんだろうなぁと思うのだけど、残念ながらワタシの場合は『そうしたくても出来ない』というより、そういう状況を観察したり掘り下げて考えるのが大好きなもんだから、相手からしたら、
「その発言もせずにじーっと一点を見てる時は何を考えてんの?」
という不気味な状況だと思う。

逆に夫に、
「こういう私みたいな女と暮らして行きたいって本気で思ってんの?」
と聞きたいくらいだ。
アナタがバツ2になりたくないとか、息子と離れ難いだけなら、別居して息子とはまめに会ったらどうでしょうかと交渉しようかなと思ったり。
…で、ここでハタと気づく。
ワタシって…完全に家庭が会社になってる?!
って。

しかも自分が管理職で家族全員部下!
家族ひとりひとりを観察し、評価し、それでは世の中で通用せぬぞと判断するとそれぞれに合わせた伝え方を模索する。
それでダメなら相手が真剣に考えざるをえないところまで追い込む。
ダメじゃーん…。
なーんかやんなっちゃうなぁ…
家庭ってなんだろう…
やっぱり生い立ちって関係あるのかなー
自分の親と腹を割って話す事も無かった私は、夫婦とか親子とか近しい関係の結び方がさっぱり分からない。

分かる分からないではなく、自然とそうなってしまうもの…が家族なのだろうな、ほんとは。
真剣だから怒ったり喧嘩したり、折れたりしながらやって行くんだろうなぁ…。

やっとご機嫌取りから解放されるも、続ける意味については全く前向きになれなかった。

<続く>

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