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[1]僕らは、どうやってお金を集めるのか|鳥井弘文×島田舜介「これからどう生きるか」レポート

進む道に迷ったとき。選んだ道が正しいのか不安なとき。自分にとって大切なものを見失ってしまったとき。
拠り所となる本や音楽や、言葉がある。

2018年9月29日、Wasei 代表・鳥井弘文さんと、EVERY DENIM ・島田舜介さんによる対談が岡山県で行われた。記事にしたいと思って文字起こしをしてから、あっという間に2ヶ月が経ってしまったのだけど、その間、対談で出てきたフレーズを思い出すことが何度もあった。

変化の激しい時代に、これからの生き方を考えるブログ「隠居系男子」や、これからの暮らしを考える情報ウェブメディア「灯台もと暮らし」を運営する鳥井さんと、「ものを心地よく使ってほしい」 という願いを込めて「EVERY DENIM」というデニムブランドをつくっている島田さん。

「これからどう生きるか」という壮大なテーマに沿ってお二人が話してくれた内容は、まさにいまの私を支えてくれる言葉だった。

鳥井弘文 × 島田舜介 「これからどう生きるか」レポート
[1]僕らは、どうやってお金を集めるか 
[2]何にお金を払うのか
[3]僕らは、何を作っていくのか
[4]誰と時間を過ごすのか
[5]所属するのか、独立するのか


[1]僕らは、どうやってお金を集めるか 

島田 クラウドファンディングを通して、ちょっとや そっとのことで「辞めよう」って思わなくなったのは、けっこう勇気をもらったというか。お金以外でも、お金より、ある意味おっきい力をもらったというか。そういう気持ちがあって、ぼくは結構好き。

鳥井 そうですね、従来の資金集めって、やっぱりどうしても信用というか、例えば地銀に行くにしても担保とか保証人とかでしかお金集める手段ってなかったんですけど。   
今は別に金融だけがお金の出しどころじゃなくて。それぞれ個人のみなさんの、少しずつの思いを集めれば、何百万っていう形になるっていうことだと思うので。
本当にそのバリエーションというか、使えるものが増えただけだから、「クラウドファンディング絶対使えばいい!」とも思わないし、自分に合ったものを選んでいくのがベストだなとは思いますね。 


島田 よく比べられるのが、補助金ですよね。地方とかだと補助金をもらってよーいスタート!みたいな感じするんですけど、それに対してどっちがどう、とかあります?
僕は、トークイベントとかで「補助金=悪」の方に持っていかれることが多いんですけど(笑)

鳥井 なんかね、「補助金=悪」っていう印象は、補助金使ってできたものがつまんないものが多いから、っていうところだと思うんですね。

会場 (笑)

鳥井 でも、クラウドファンディングとか、個人でやってるカフェとか飲食店には めちゃくちゃ人が集まるみたいな状況が起きてしまってるから、「補助金使ってやってるやつダセェよな」っていう感じになってしまう。

島田 はい(笑)

鳥井 でもやっぱり、補助金に色は無いと思うんですね。
補助金は、無色透明。それが目的達成のために、補助金以上のメリットが出てるのであれば、何の問題もないと思っていて。

僕らも、自治体さんからの委託事業で その土地に住んでる方々の税金でPRに「灯台もと暮らし」っていう媒体を使っていただいてる状態なので。少しでもそのPR効果が出るように、その土地のためになるように、とは思って結果を出そうとしているので。

単純に「補助金を使うのが、いいか / 悪いか」ではなくて、そこの目的と効果が達成されているか。それが達成されていれば、どんどん胸張っていいんじゃないかと思います。


鳥井 補助金使いたくないとか、スポンサー入れたくない系の方々が口を揃えておっしゃるのが「口を出されたくない」っていうことですね。要は自分のやりたいようにやりたいっていうこと。

島田 あー、まぁそれはありますね。

鳥井 あとは最近の働き方とか価値観の変化の流れを見てて思うんですけど、遊ぶように仕事しようとすればするほど、うまく人を巻き込んでいける状況がある
だけどやっぱり企業さんとか、堅い自治体さんとかは、「遊んでる=遊んでる」って思われますよね。

会場 (笑)

鳥井 なかなか、遊びを理解してくれないというか。
で、すぐすぐ効果が出るわけでもないじゃないですか。その1回遊んだだけで人は巻き込めないから、お金に変わんない。ほらそんな遊んでるからだろってなっちゃって、どんどん口出されて、やりたいことできない、みたいな。

だからその、ちょっと遠くを見据えて、それがそういう大人の方々が理解できない範疇であれば自分たちでやりたいことをやれる環境を作るために、ダイレクトに、自分が「満足してほしい」と思ってるお客さんたちと一緒にやるのがベストかな、と思います。

島田 遊んでるかどうかって、めっちゃ難しいですよね。
僕らがキャンピングカーで日本回ってるのも、遊んでると言われてもしょうがないですもんね(笑)
僕からしたら めちゃめちゃインプットとアウトプット両方ちゃんとやってるつもりなんですけど。

鳥井 ね!
そこは、短期の視点しかない人には伝わらないから、そこで無理に議論して理解してもらおうとするのって、そっちの労力の方が大変だよね。
だったらその遊んでる様子を面白がってくれる人たちに向けて発信して、その人たちからちょっとずつお礼にもらった方が自分たちがやりたいことできて、到達したいポイントにも到達できるってなれば、そっちの方がいいよね。


島田 じゃあ、例えば今 自分がやりたいことがあって、それについて誰が理解してくれているのか、っていうのが大きいかもしれないですね。
それが1番大きいところからお金を集めた方が、今後スムーズに行くというか口出しもされにくいし、お金も集まりやすい。

鳥井 そうそう。なんですけど、何か自分で事業始めたいってなると、投資家とか地銀さんたちとか、そういう人たちばっかりに説明しようと資料作り始めるんですよね!
自分たちの事業モデルはこんな形で、3年後にはこうなってると思うから、お金出してください!みたいな。

島田 あーはい(笑)

鳥井 いや そんな説明してる暇あるんだったら、自分たちが楽しませたい人たちに 目一杯説明した方が
たぶん今だったらそれがクラウドファンディングとか月額の課金システムとかもあるから、そっちに説明の労力割こうよ!っていうことなんだと思うんですよね。

島田 鳥井さんは、事業計画とか立てられるんですか?

鳥井 いや、一切ない!
   うちの会社なんて、事業計画の「事」の字もない(笑)

(次に続きます)

鳥井弘文 × 島田舜介 「これからどう生きるか」レポート
[1]僕らは、どうやってお金を集めるか  
[2]何にお金を払うのか
[3]僕らは、何を作っていくのか
[4]誰と時間を過ごすのか
[5]所属するのか、独立するのか

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