[3]僕らは、何を作っていくのか|鳥井弘文×島田舜介「これからどう生きるか」レポート
2018年9月29日に、岡山県で行われた鳥井弘文さんと島田舜介さんによる対談のレポートです。
テーマは、「これからどう生きるか」。
[3]僕らは、何を作っていくのか
島田 自分の話になっちゃうんですけど。
3年前にものを作って売る側に回って、買い方もすごい変わるなって思いましたね。
だからどうって言うわけじゃないんですけど、これだけものを作るのって大変なんだ、とか細かい作業とか配送とか、そういうのが積み重なって手元に届いてるっていうの考えると、じゃあ実際どういう思いでこれって作られたのかなってものを選ぶようになりますし。
1回作って売ってみる側に回る体験っていいんじゃないかなと思いますね。
鳥井 それめっちゃ思うんですよね。
今って、何も作り出してない人ってこの世にいないと思うんですよ。昔はみんなが同じメディアに触れて、マスメディアに触れて得る情報とかスーパーに行って買うものとか、百貨店に行って買うものだったと思うんですけど。
今ってみんながメディアになっちゃってるじゃないですか、Twitter とか Instagram とか、みんな作る目線を持ってるんですよね。
昔は作り手と受け手ってスイッチしない関係だったんですけど、今ってすごい頻繁にスイッチしてるから、その感覚で ものづくりするとか売るタイミングを作っていった方が、共感されやすい。
鳥井 余白あるものが流行ってるってよく言うと思うんですけど、カスタマイズ性があるもの、作るときに自分がちょっとでも携われるもの。
料理でもカレーとか流行ってると思うんですけど、カレーってめちゃくちゃカスタマイズ性あるじゃないですか。作り手目線をあえて入れるっていうのは、1つの方法論としてアリなのかな。
島田 買い手が参加できるもの。
鳥井 そうそう、あえて完成品だけを目の前に出して「はい買ってください」じゃなくて。なんかみんなで作り上げていくもの。
「カメラを止めるな!」があんなに有名になったのって、作品自体もあるけどみんながTwitter で「見た方がいいよ」って言って。そうしたら全員がPR大使じゃないですか。
ああいうムーブメントというか、巻き込み力を発揮できるとどんどんどんどん、あれよあれよと高みに登っていけるのかなって。
島田 一緒にデニムを作ったのも、そういうところもありますもんね。鳥井さんの「灯台もと暮らし」と共催で20人くらいメンバー集めて。
でもみんなで作るって言ったときに難しいのが、みんなの意見を集約させたものを作るってわけじゃないとこで。賛否出る意見の中間を取るんじゃなくて。
鳥井 うん。
島田 「僕らの理想のデニムってなんだろう?」っていうオンラインサロンだったんですけど、何が理想なのかって考えたときに「こういうジーンズ履きたい」って具体的に出たわけじゃなくて。
作ってる人が自信満々で世の中に出したプロダクトを自分も履きたくて、さらにそれに自分たちが関わったものを身に付けたい、みたいな。
鳥井 さっき言ったことと矛盾するじゃないか、って思われるかもしれないけど、結局 1番面白いコンテンツとかイケてるプロダクトって、たった1人の熱狂からしか生まれないと思っていて。
「カメラを止めるな!」も監督がゾンビ映画大好きで、ゾンビ映画見まくった結果、自分の作りたいゾンビ映画作ったっていう。
その熱狂があってこその「みんなで作る」だと思うんですよね。
島田 うん。
鳥井 だから、みんなで作って、みんなの意見集約したもの作りましたっていうものほど、凡庸なものってできないじゃないですか。
デニム作ったときにEVERY DENIM の2人に口酸っぱく言ったのが、「徹底的に民主主義であって、最後は徹底的に独裁的であれ」 って話をずっとしていて。
実際に2人が作ってくれたものがそういうものだったので、本当にいいものできたなあと、自負はしているんですが。
そういうものづくりの仕方は、可能性があるというか必要ですよね。
(次に続きます)
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鳥井弘文 × 島田舜介 「これからどう生きるか」レポート
[1]僕らは、どうやってお金を集めるか
[2]何にお金を払うのか
[3]僕らは、何を作っていくのか
[4]誰と時間を過ごすのか
[5]所属するのか、独立するのか
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