聞いてほしい話があるよ
目次
▶︎初めての報酬
▶︎ドーナツ屋さんに行った理由
▶︎タイトルについて
▶︎初めての報酬
先方から連絡があった
「報酬振り込みました」と
ATMに行き記帳してみる
早々と外に出て一呼吸
止まらない鼓動
まだ入金された金額は見ていない
何だろう、この感覚
好きな人から届いた手紙の封を中々開けられない
そんな状況に似ているのかな
落ち着いてきたところで
通帳を開いてみる
先方からの連絡とおり
報酬分の金額が記載されていた
金額どうこうではなく
フリーランスになって初めて報酬が入ったことの喜びが大きかったのか
顔はニヤついて
右手で口元を隠し
左手は「ウォッシ」のポーズを控え目に
感情を心の中だけでは抑えることができなかった
10年前
公務員時代に入った初任給
ちょっといい買い物をした
そして、翌月から当たり前のように給料が入る
そう思っていた
10年後
フリーになって入った初めての報酬
ドーナツを買って食べた
次いつ報酬が入るのか、どんな仕事が生まれるのかわからない
だからこそ、ドーナツ1つ1つ、時間をかけて食べた
▶︎ドーナツ屋に行った理由
僕がドーナツ屋さんに行った理由は2つある
○1つ目
ドーナツを買ったお店がある場所は
僕が4月末まで住んでいた地区
最近オープンした『種(たね)』
お世話になったご夫婦が運営している
僕は地元の応援してくれている人に言いたかったのだろう
「俺、少しずつ仕事してるよ」「その仕事で報酬もらっているよ」って
新たな世界で歩みはじめた自分の近況について聞いてほしかったのだろう
何だか幼少期の自分のようだ
テストで良い点数とったり、スポーツ大会で良い結果出したり
そんな時は家族や近所の誰かに見せびらかしていた
笑ってしまうよな
33歳にもなって幼少期と同じことをしている
○2つ目
これも幼少期の話になる
よくお菓子を巡って兄弟喧嘩をしていた
気が弱くて気が弱かった僕はいつも負けて
食べたいお菓子が食べられず
泣いてばかり...
そんな状況でも食べれるお菓子
それはドーナツだった
丸くて、生地も柔らかく
1個でも程よく均等に分けられるドーナツは
僕にとってご馳走だった
涙を拭き、鼻水を垂らしながら、ブサイクな顔で頬張っていた
「お母さん、美味しいよ」
ドーナツの味を
近くにいた母に全力で叫んで伝えていた
初めての報酬をもらったこと
そのお金でドーナツを食べに行ったこと
2つの出来事は
幼少期に小さなことでも大袈裟に喜び、誰かにそれを伝えていた自分と重なる部分があったのだ
『誰かに聞いてほしい』
幼いわがままな欲求は
いくつになっても無くならないのだろう
でも
これでいいと思っている
小さなことでも喜べる自分でいられるから
▶︎タイトルについて
タイトルの『聞いてほしい話があるよ』
これは、いきものがかり『帰りたくなったよ』の歌詞から
※YOU TUBE より いきものがかり『帰りたくなったよ』(2008年4月26日発売)
帰りたくなったよ 君が待つ街へ
大きく手を振ってくれたら 何度でも振り返すから
帰りたくなったよ 君が待つ家に
聞いてほしい話があるよ 笑ってくれたら嬉しいな
この歌詞の部分と、今回思い出した懐かしい記憶が重なって…
これから、色々な人の声を“聞いていく”ことが多いけれど
自分のことを“聞いてほしい”の感覚は
編集者の仕事をしていく上で
必要なものなのかな
実践していく中で
少しずつ見出していくしかないな
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