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ナマケモノ

【ナマケモノ】という動物がいます。
初めてそれを見たとき、名前からの先入観で、「怠けてるなぁ」と思いました。
とにかく動かないのです。

それから数年後、再びナマケモノを見る機会がありました。
そこで飼育係の人に説明されたとき、亀さんは最大級の衝撃を受けたことを今でもハッキリ覚えています。

結論からお話すると、ナマケモノは、まったく怠けていないのです。
むしろ、毎日、生きるか死ぬかの極限状態なのです。
そのときの説明をひとつずつ書いていきます。

・一分間に30㎝しか移動できない。それ以上の速さで移動すると、カロリー不足で死んでしまう。

・最低限しか食べない。たくさん食べてしまうと、消化するためにカロリーを使い切って死んでしまう。

・捕食動物に狙われるといった緊急事態でも俊敏に動くことができないため、安全な木の上でじっと息を殺して体を丸めて生きている。
木から降りるのは週に一回、トイレのときだけ。

亀さんはこれらの説明を聞いたとき、これは究極の生き方だと感じました。

つまり、このような体質で生まれてきたナマケモノは、生きるために不要なものをすべて手放しているのです。

実際のところ、【欲や煩悩】があるかも知れません。
けれども現実を受け入れるしかないのです。
もしかしたら、欲や煩悩、葛藤はもともと無いのかも知れません。
このことを確かめることはできませんが、ひとつ確かなことは、このような生活を続けているという【事実】です。

もちろん人間の亀さんには、このような生活は無理です。
けれども、この姿を目に焼きつけて、そして、これからはこのような生き方を軸にしようと決めたのです。

素朴、清楚、質素、これらの単語よりもさらに上の単語があるとするならば、【ナマケモノ】でいいのでは?とさえ思います。

ちなみにこれは、ナマケモノが日本語を話せるという前提ですが、全然怠けていないにも関わらず、「ナマケモノ」と呼ばれていることを否定しないところも立派です。

と、ここまで熱く語りながらも、今からカレーライスの大盛りを食べて、その後はゴロゴロする予定の亀さんでした。

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