「やることレイアウト」を工夫する 【ユタカジン】
かめりんです。
どんよりとした天気の日が多くなってきてしまいましたね。
1日は24時間、1440分です。誰にとっても当たり前の事実です。
1日という時間は延びるはずないのに、やるべきことは際限なく増えていく。
私たちは、この事実を目の当たりにして「時間がない」と口々に発します。
そんな事実を前に私たちがどうするかというと、やるべきことの効率化です。
一つ一つのやるべきことにかかる時間を短縮して、1日にできることを増やそう、というわけですね。
たとえば、ショートカットキーをたくさん覚えて、作業の効率化を図ろうとしたりします。
あなたもやったことありませんか?僕は何度もあります。
やるべきことの効率化によって、時間の余白、隙間時間を生み出そうとします。
そして、いつの間にかたくさんのやるべきことによって隅に追いやられてしまっていた「やりたいこと」を、効率化によって生まれた余白に入れ込もうとするわけです。
たとえば、英語の勉強をしたいとしたら、
「いつも仕事が20時までかかっているけど、仕事を効率化して19時までに仕事を終わらせて、毎日空いた1時間でカフェに行って英語の勉強をしよう」
といったことを考えたりするでしょう。
おそらく、最初のうちはうまくいくことも少なくないかもしれません。
しかし、だんだんと終業時間が元々の20時に戻っていき「今日はいっか…」ということが増え、いつの間にか「仕事終わりにカフェに行って勉強する」習慣は消え去ってしまったりします。
場合によっては、そんな自分を「怠惰な人間だ」と自責してしまうこともあるでしょう。
何度もこういうことにトライして失敗してきたのは僕だけでしょうか。
何度やってみても上手くいかないということは、こういうやり方にはどこか無理があるということかもしれません。
なぜ無理があるかということを「部屋のレイアウトを考える」ことと対比させながら考えてみようと思います。
なぜ「部屋のレイアウトを考える」ことと対比してみるかというと、時間と空間は並列で語られることも多く、似ている要素もいくらかあったりすると思うからです。
時間は目には見えないので、目にみえる空間の使い方に関して考えを巡らせ、時間の使い方についても理解を深められないか、ということですね。
無理なくやるべきこと・やりたいことに取り組むコツは、効率化などではなく「やることレイアウト」を工夫するところにあるのかもしれません。
机を1つ買うだけで部屋が一気に快適に
部屋という限られたスペースを有効活用しようとするとき、いろんな工夫を巡らせると思います。
部屋の広さや形は簡単には変えられないので、物を増やしたり減らしたり、1つの物を他の用途と組み合わせたりして、心地よく生活できるように整えるわけですね。
僕は最近、ちょっとした部屋の工夫で生活が一気に快適になるということを実感しました。
何をしたかというと、パソコンやディスプレイを置くための机を買いました。1つ物を増やしてみたわけですね。
我が家は結構狭いので、いわゆる仕事部屋や作業スペースのようなものがなく、ディスプレイやパソコンの置き場所が固定されていませんでした。
使わないときは棚に追いやっておいて、使うときだけテーブルの上に出して使うようなスタイルを取っていました。
最近僕は、タスクシュート認定トレーナーとしての活動量が増えてきて、パソコンの前にいることが多くなりました。
その都度パソコンやディスプレイを出して作業を開始するのは面倒なので、次第にパソコンやディスプレイがテーブルの上に置きっぱなし、となってしまっていました(ズボラです)。
部屋の見た目も悪いし、テーブルの上のスペースも狭まってしまうので、あまり満足いくものではありませんでした(特にパートナーにとって)。
そこで、いっそのこと1つ机を買ってリビングの隅に設置し、机の上をディスプレイやパソコンのデフォルトの置き場兼作業空間としつつ、机の下の空間も(足の邪魔にならない範囲で)収納として活かそう、ということになりました。
その結果は大満足でした。
作業はしやすいし、テーブルの上は常に綺麗に保たれるし、ディスプレイを置いていた棚の上もスッキリするしで、部屋の快適さと作業のしやすさの両方が一気にグッと上がりました。
今回の僕のケースは、1つ物を増やすことによって、空いていた空間をうまく活用でき、他の場所が綺麗になって快適さが増した、という工夫でした。
心地よさを生み出す部屋の工夫
上では最近の僕が生活の中で空間の工夫によって感じた心地よさですが、もう少し一般化した話にしてみましょう。
家の中を快適な空間にしようとするとき、以下のことを考えながら物のレイアウトを考えることになるのではないでしょうか。
同線や生活のしやすさを意識した物の配置にする
必要なものは必要な分・大きさだけ用意する
なんでも詰め込むのではなく、空間的なゆとりを作り圧迫感がないようにする
部屋の中を物の配置を工夫したり仕切りなどを使って
「仕事をするスペース」「リラックスするスペース」「ご飯を食べるスペース」などの区分けを設ける
快適さをもたらす上でのポイントになりそうなところを太字にしてみました。
これらは空間を快適にするためのポイントですが、時間にも同じような考え方が適用できそうではないでしょうか。
効率化は時間の工夫?
上に5つの工夫を、時間に関する内容に書き換えてみます。
同線や生活のしやすさを意識したやることの配置・順番にする
必要な時間は必要な分・長さだけ用意する
なんでも詰め込むのではなく、時間的なゆとりを作り圧迫感がないようにする
1日という時間を、やることの順番を工夫したり仕切りなどを使って
「仕事をする時間」「リラックスする時間」「生活のための時間」などの区分けを設ける
無理なく快適に時間を使うコツが見えてきた気がしませんか?
さて、ここで冒頭に挙げた冒頭で述べた時間の有効活用の例、
「やるべきことを効率化して隙間時間を生み出す」
「生まれた時間に自分のやりたいことをする」
を改めて考えてみます。
こういったやり方に関して、ぱっと見違和感を感じることはあまりないでしょう。
ここで、以下のような対比を考えてみます。
時間と空間はもちろん違うものなので完璧な対比は不可能ですが、似たような性質のもの同士並べてみることはできるでしょう。
対比させてみると、時間に関してやっていることの違和感が浮き彫りになってこないでしょうか。
まずは「効率化」について焦点を当ててみましょう。
空間において、必要な物というのは必要だからその大きさなわけです。
もしかしたら、物によっては無理やり圧縮したり、小さいものに置き換えたりすることもできるかもしれません。
しかし、そうしたら不足なところが出てきてしまったり、そもそも使い物にならなくなってしまいあること自体が無駄になってしまうこともあるはずです。
この棚は大きすぎて邪魔だから、左右から押して少し小さくしたり棚を一段切って捨てよう、などとは考えませんよね。
しかし、私たちは(少なくとも過去の僕は)やるべきことにかかる時間となると、こういった不思議なことをさも当たり前かのように試みるわけです。
やるべきことにはそれ相応の時間がかかる、ということをなんとなく分かっているはずなのに、
「この作業は効率化してやる気を出せばいつも1時間かかっているところが30分で終わるはず」
と考えて、実際かかった時間がむしろ2時間くらいになってしまい落ち込んだりします。
本当に大事なのは、無理やり時間を短縮しようと思うのではなく、「必要な時間は必要な分・長さだけ用意」した上で、そこにしっかりと集中することではないでしょうか。
1時間かかると思っていたものが30分で終わるとしたら、それはその集中の結果として生じるものなのではないかと思うのです。
ただ、一言付しておくと最近の生成AIの進化は目覚ましいので、場合によっては一週間かかっていた仕事が10分で終わったりすることもあります。
ちょっとした小物入れが4次元ポケットになるくらいのインパクトがあるので、そういった工夫のしがいがあることは見逃せないところではありますが、論点がズレるのでここでは割愛します。
また「空いた時間に自分のやりたいことをやる」ということに関してはどうでしょうか。
仮に、うまく工夫をして部屋の中に空間が生まれたとします。
さっきの僕の例だとテーブルの上がスッキリしたり棚の上が綺麗になることがそれに該当するでしょうか。
その空いた空間は、空いているからこその生まれる快適さがあったりするはずです。
何かを置くとしても、ちょっとした花や間接照明などといった小物くらいでしょう。
テーブルの上が空いたからといって、そこにずっと欲しかったソファを置こう、といったことはまず考えないはずです。
でも、時間に関してはそのようなことをしてしまいがちではないでしょうか。
「効率化」によって生まれる(と思ってしまう)仕事終わりの1時間に、無理やり英語の勉強を詰め込んだりしようとするわけです。
仕事終わりはへとへとでちょっと休む時間が必要かもしれないことはあまり考慮に入れることなく、ぎゅうぎゅうに「やりたいこと」を詰め込もうとするわけですね。
仕事終わりに英語の勉強がうまくいかなかったとしたら、それはきっと1日の中での配置が良くなかっただけかもしれません。
1日の流れを意識しながら、1日をいくつかの区分けで考えたときの適切なタイミングを見極めて、ぎゅうぎゅうに詰め込みすぎることなくゆとりのあるプランにするのが良さそうです。
「やることレイアウト」を工夫する
改めて、時間に関する5つの工夫を見てみましょう。ここでは一つひとつを少し具体的に書き下してみます。
同線や生活のしやすさを意識したやることの配置・順番にする
▶︎ どのような順番でやることをやれば無理なく流れるようにやることをこなしていけるか?を考える
必要な時間は必要な分・長さだけ用意する
▶︎「やること」一つひとつに対して「見積時間」もセットで考える
なんでも詰め込むのではなく、時間的なゆとりを作り圧迫感がないようにする
▶︎ 「見積時間」の合計が24時間を上回っていないか、24時間ミチミチに詰め込まれていないか確認する。
1日という時間を、やることの順番を工夫したり仕切りなどを使って「仕事をする時間」「リラックスする時間」「生活のための時間」などの区分けを設ける
▶︎ 1日という長い単位で考えるのではなく1日にいくつかの区分けを設けて、どの区分けで何をするかを考える
これが、無理なくやるべきこと・やりたいことを実践していくためのやることレイアウトの工夫だと僕は思うのです。
ただし、空間とは違って「時間」や「やること」は目には見えません。
だからこそ、今日1日のやることをリスト化することで、何にどれくらい時間がかかるのか、やるタイミングはいつなのか、そしてどのような順番で実行するのか、を考えやすくすることが大事です。
そして、まさにこういったことを実践していく時間術が、タスクシュートという手法(の一部)に他なりません。
タスクシュートという時間術は、見た目が「几帳面」で「ストイック」なものだと思われがちですが、実際はむしろ正反対のもので「無理なく、心地よく、納得のいくような」1日を過ごせるようになるためのものということがお分かりいただけたでしょうか。
もしもしかめよ かめりんでした。
本記事はタスクシュート協会メンバーが運営する「ユタカジン」への寄稿記事です。
ユタカジンとは「自分らしい時間的豊かさを追求する」をテーマとして、時間や習慣、タスクシュートなどなどにまつわるお話が連載されていくマガジンです。
自分なりの豊かな時間の使い方に関するヒントがたくさん詰まっています。
今後もたくさん更新されていくので「ユタカジン」をフォローして日々の楽しみにしてくれると嬉しいです。
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