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【僕のパートナーは、ラーメンが嫌い】

オーガニック女子のE実

東京でオーガニック料理の店出すねん

高校の一つ上の先輩であるE実と10年ぶりに新橋の居酒屋で会った。

高校生の時に片思いしている時期があり、E実が出てくる下駄箱を待ち伏せしては、メールアドレスを書いた紙を渡し、日々E実と交換するメールを見ながら、掛け布団を抱きしめるようにして寝ていた。

その思いが実ることはなかった10年後、フェイスブック越しにE実から連絡が来た。

10年ぶりに会ったE実の美しさは磨きがかっており、宮崎あおいさんのようなおっとりした顔にキメの細かい肌がほんのりと日本酒で赤みがかっていた。

横浜にいる友達の元に帰るE実とJR新橋駅前で別れ、東京メトロ銀座線新橋駅へと向かう。

10年前には一切相手にされなかった過去、数分前にはカウンター席で一緒にお酒を飲んで笑っては酔っ払っている現在、ここで離れると一生会えないかもしれない、と思った瞬間、JR新橋駅の改札をくぐり抜け、横浜行きの電車が出るホームへの階段を駆け上がっていた。

新橋〜新橋〜

到着する電車のドアが開き、乗降客が入り乱れる中、E実を探しかき分けていく。

ほんのドアが閉まる寸前、適度に空いている車内の吊り革に手をかけて立っているE実を見つけ、目一杯手を伸ばして、E実の驚いた表情を車内に残し、ホームに連れ戻した。

思いっきり走って息切れしていること、いざE実を目の前にして何を言うべきか、2倍増しになった緊張感で心臓の音が聞こえるかの如くドクドクと鳴る。

何故かほとんど泣きそうになりながら、ここで離れると一生会えないと思ったと伝える。

数分間隔で来る都内の電車が来るまでの時間がとてつもなく長く感じられ、次の電車がホームに滑り込んで来てようやく二言目に、ありがとう、としか言葉を発することができずに、ハグをして別れた。

大阪に住むE実に電話で10年前の思いから、つい先日の出来事までを、ハッキリと言葉にして説明し、理由を聞き安心したE実と付き合うことになった。

遠距離恋愛で会う回数は少なくとも、家庭科の先生と料理教室の先生をしているE実に感化され、毎日自炊するようになり、写真を送ったり、充実した日々だった。

初めてのデートはスカイツリーに行き、展望台から見える東京の街の灯りだけを頼りにして、暗がりのスカイツリーの中で初めてキスをした。

21時の新幹線で大阪に帰るE実と焦るようにタクシーに乗り、錦糸町のラブホテルへと向かう。

アジアンリゾートを模した雰囲気のラブホテルで、年に一回しかラーメンを食べないE実の艶やかな身体を貪りつき、爪を立てた手で滑らかな曲線を描く腰線をなぞり、黒のレースから白い素肌がこちらを覗き込むようなパンティーに辿り着いた。

草木が生茂る部屋にマイナスイオンが蔓延し、すっかり火照ったE実の女芯は湿気を帯びて姿を現した。

その瞬間、部屋全体に自然発酵食品の如く、性の香りが広がり、密林に咲くラフレシアを生徒は丁寧に調理した。

ラーメン食べたい

新幹線に乗る前にそう発したE実との情熱的な一夜を超える日は後にも先にもこず、無理矢理引き止めた時間が徐々にそれぞれの時間を刻むように戻っていった。

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