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ペルソナとコンテンツの関係性

ペルソナの概要についてはお伝えしたので、ペルソナの具体的な活用方法を少しずつお伝えしていきましょう。まずは、ペルソナとコンテンツとの関係性、ペルソナを活用してコンテンツを考えるポイントを抑えていきましょう。

前回の講座でペルソナについてはお伝えしましたが、具体的な活用方法、特にコンテンツマーケティングにおける使い方を少しずつ抑えていくようにしましょう。なお、本講座も独自の解説が多くなるかと思いますので、是非コレまでの講座も踏まえた上でご覧いただければ幸いです。

■ コレまでの講座
0-1.自己紹介(講座向け)
0-2.本編へ入る前に、注意事項
1-1.そもそも、「マーケティング」とは何か
1-2.なぜ、「マーケティング」に取り組むのか
1-3.マーケティングの範囲と主な対象
1-4.マーケティングを取り巻く環境の変化について
2-1.「コンテンツ」とは何か
2-2.コンテンツマーケティングの類型について
2-3.なぜコンテンツマーケティングが必要なのか
3-1.コンテンツマーケティングが関係する範囲
3-2.コンテンツマーケティングに必要となる技術の範囲
3-3.中長期的に取り組むインパクト
4-1.何のためにコンテンツマーケティングをするのか (1/3)
4-2.何のためにコンテンツマーケティングをするのか (2/3)
4-3.何のためにコンテンツマーケティングをするのか (3/3)
5-1.伝え方の基本、人の理解について
5-2.相手を知る、ペルソナを考える重要性について
5-3.伝える時の基本的な考え方、独自に思う姿勢など
6-1.インパクトのある伝え方について
6-2.情報の出し方、並べ方
6-3.興味を引く伝え方について
7-1.ペルソナの作り方や生かし方

ペルソナが必要な理由

「シナリオ」を明確にするため

マーケティング、特にコンテンツマーケティングでわざわざ面倒臭いペルソナを作る理由、使う理由は、買い手と商品やサービスとの接点、そこに至るまでの流れを明確にして、関わる全員の狙いや意思を統一するため、です。

売り手が思ったように情報を発信してみたところで、必ずしも上手く受け取ってくれるとは限りません。お金や時間をかけたプロモーションであっても、買い手がきちんと受け止めてくれる内容になっていなければ、やっていないのとあまり変わらないでしょう。利益を上げるために取り組んでいるのであれば、買い手に沿うアプローチ、手立てを考えた方が賢明じゃないでしょうか。買い手側の目や立場になって、どんなアプローチ、プロモーションが有効なのかを見定める。それには、ペルソナを明確に打ち立てて、そこを起点に全てを考えた方が効率的、効果的です。

特に、ペルソナがどんな流れで商品やサービスと接点を持つのか、それをリアルに考えること、妥当性の高いシナリオを検討することが何より重要になって来ます。日常生活を送る買い手としっかり関係を結ぶためには、相手の生活や思考の中に入り込むこと、相手に負担をかけすぎない道のりを築くことが重要だからです。

どんなことが気になっていて、どんな優先順位を持っているのか。24時間をどんな風に使っているのか、どんなメディアによく接するのか、どんなコミュニティの中で口コミ情報をやり取りしているのかも検討しておかないと、マーケティングを活用するのは難しいでしょう。自己都合主体から、相手主導、ペルソナを見据えた考え方、取り組み方に切り替えていきましょう。

ペルソナの各段階

段階の区切り方はそれぞれの流儀がありますが、購買意欲が高い順に「今すぐ」「お悩み」「そのうち」「まだまだ」ぐらいの4段階ぐらいが一般的でしょうか。「今すぐ」は解説がいらないかと思いますが、もう、今すぐにでも買いたいという状態です。これまでの商品やサービスでは何かがピンと来ていないのか、値段が問題なのか、何か最後のひと押しが足りずに踏みとどまっている状態を指します。ペルソナの引っかかっているポイントを見極めて、それを解消するコンテンツや施策が用意できて、それがピッタリハマれば購買に至ってくれるでしょう。

お悩み」は買うつもりはあるんだけど、比較中。財布を開くには迷いがある状態。他の選択肢、他の競合も視野に入れながら、値段も含めて検討している段階を指します。売り手に対する信用不足や、「今買わなきゃいけない理由」などで踏みとどまっていることもあるでしょう。断る理由も幾らか握りしめている状態なので、強引に進めて押し切るとネガティブな反応に繋がる可能性もあります。

信用や信頼を高める情報、今買っておくべき理由、値段に対する交渉や保証策などが代表的なコンテンツ案、あるいはマーケティング施策でしょうか。効果があれば、次の段階へ進むか、このまま購買に至ってくれます。

そのうち」は業界や商品、企業名などは認識しているけど、まだそこまで欲しい気持ちが湧いていない状態です。「気が向いたらいつか買おう」ぐらいの感覚で、遠くから眺めている状態であったり、「お金が貯まれば検討してみようかな」ぐらいの段階でしょう。興味は持ってくれているか、企業や商品名は認識してくれているので、多少の好感度も持ってくれている状態です。

興味を途切れさせないように情報を提供していったり、その商品やサービスを受ければどんな未来が待っているのかといった、購買意欲を刺激するようなコンテンツ、イメージを増幅させるようなコンテンツが主な候補でしょうか。「お悩み」よりも、もっと漠然とした不安やネガティブな要因を持っていて、次の段階へ進んでいない可能性もあるので、本当のボトルネックがどこにあるのか、どれぐらいのことまで通じているのかも、しっかり検討した方が効果的かと思います。

まだまだ」は、「そのうち」よりも心理的な距離感が遠い状態。機会があれば買おう、とも思っていない状態です。一応認知、認識はクリアしていることが多いかと思いますが、「欲しい」という気持ちは起こっていないので、積極的にアピールしてみても効果はそれほど高くないでしょう。

「そのうち」と同様に、欲しくなるイメージを増幅させてみたり、そもそも認知を高める努力をしてみたり、提供している企業や団体のイメージをよくするところから手をつけていくと、多少は効果的なのではないでしょうか。じっくり時間をかけて、「いつか振り向いてくれる」と思って取り組むぐらいがいいんじゃないでしょうか。

「まだまだ」も「今すぐ」も、「同じペルソナの違う段階」なので、何かがクリアできれば次の段階へ進みますし、何かが引っかかっていれば手前の段階で止まります。「まだまだ」に対して何が有効になるのかは、「今すぐ」に至ったケースから逆に向かって考えていくと、ヒントは掴みやすいのではないでしょうか。

ちなみに、「今すぐ」のあと、つまり購入した顧客の先も「既存顧客」「リピート客」「固定客」「ファン」ぐらいの段階があります。一回買ってくれたお客様、二回以上購入してくれたお客様、リピートが定着してきたお客様、ロイヤルカスタマーやそれ以上に熱狂的なお客様、と思っていただければ十分じゃないでしょうか。

買ってくれた後の顧客、ペルソナに対しても、フォローアップの施策や次の段階へ進んでもらえるようなコンテンツを用意するとより良いんじゃないでしょうか。

ペルソナとコンテンツの関係性

シナリオの節々でコンテンツを活用する

ペルソナが売り手の商品やサービスと関係を深めていく行程を、「カスタマージャーニー」といいます。この行程で、売り手や売り手の商品やサービスと接する場面を接点といい、そこでペルソナに対して何らかのコンテンツをお届けするのが、コンテンツマーケティングの基本的な形になります。

ペルソナと商品との接点、購買までのシナリオ = カスタマージャーニーの中でペルソナとの心理的な距離を近付けるため、あるいはネガティブな要素を一つずつ減らしていくためにコンテンツを使います。ということは、ペルソナを無視してコンテンツを作っても、効果が薄いということになります。

コンテンツだけを作ってみても、受け取るペルソナがいなければコンテンツマーケティングにはなりませんし、シナリオ、カスタマージャーニーのどの段階で活用されるコンテンツなのかもある程度明確になっていなければ、コンテンツマーケティングを構成するコンテンツとしては、不合格と言えるでしょう。

ペルソナ抜きにコンテンツを作らない。シナリオ抜きにコンテンツを考えない。ペルソナとコンテンツ、コンテンツとシナリオ、ペルソナとシナリオ。全部切り離してしまっては効果が弱いので、必ず繋がっている状態で考えるようにしてください。

コンテンツは、ペルソナのために作りましょう

自分たちが伝えたいことを好き勝手に発信しても、あまり意味はありません。一方で、ペルソナを楽しませるだけのコンテンツを作るのも、そのうち飽きられてくるでしょう。必ず、シナリオ、カスタマージャーニーと照らし合わせながら、ペルソナに向けてコンテンツを作るべきです。

どんなコンテンツを作ればいいのか、どこに向けてコンテンツを作ればいいのか。それを考える起点や軸も、全てはペルソナであり、その背後にあるカスタマージャーニーです。何のためにコンテンツを作るのか、何のためにカスタマージャーニーという面倒なものを考えるのか。全てはペルソナと良き隣人としての関係を築くため。そして、自社の商品やサービスを購入して、購入後も良き関係を築いていくため、です。それを忘れないようにして、コンテンツマーケティングに取り組んでいただければと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。少しでも楽しんでいただけたら幸いです。 ただ、まだまだ面白い作品、役に立つ記事を作る力、経験や取材が足りません。もっといい作品をお届けするためにも、サポートいただけますと助かります。 これからも、よろしくお願いいたします。