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コンテンツマーケティングに必要となる技術の範囲

関連する範囲、支えになる知識は前の記事でお伝えしましたが、より具体的に必要になるものを「技術」という観点からピックアップしてみましょう。コンテンツマーケティングの大変さ、難しさとともに、何に手をつければいいのかも、多少なりとも伝われば幸いです。

前回の話でもだいぶ絞り込んだ気になっていますが、まだまだ具体的というには粒度が大きいかと思うので、もう一段階具体的な話にまとめてみましょう。この記事も、過去の記事をご覧になられた方が理解しやすいかと思うので、これまでの記事も是非ご覧いただければ幸いです。

■ コレまでの講座
0-1.自己紹介(講座向け)
0-2.本編へ入る前に、注意事項
1-1.そもそも、「マーケティング」とは何か
1-2.なぜ、「マーケティング」に取り組むのか
1-3.マーケティングの範囲と主な対象
1-4.マーケティングを取り巻く環境の変化について
2-1.「コンテンツ」とは何か
2-2.コンテンツマーケティングの類型について
2-3.なぜコンテンツマーケティングが必要なのか
3-1.コンテンツマーケティングが関係する範囲

詳細を取り上げる前に、まずは大雑把に分類して見ましょう。

コンテンツマーケティングを構成する5つの技術

1.情報リテラシー、リサーチスキル
2.IT・Webマーケティングに関する技術
3.資料制作、プレゼンテーションスキル
4.コミュニケーションに関する技術
5.コンテンツ制作に関する技術

実際には「技術」といいながら、テクニックそのものではなく知識やリテラシーで賄えるものもあるかと思います。また、取り零していたり、重複していたりするものもあるかと思いますが、他の書籍や他の方の資料も参考に取捨選択いただければ幸いです。

1.情報リテラシー、リサーチスキル

情報を入手すること、吟味すること、情勢を把握すること

これからどんなコンテンツを中心に取り扱うかにもよりますが、基本的には、コンテンツ = 「何らかの情報(の塊)」になるでしょう。発信する際に検証するだけでなく、市場に流通している情報の真偽を確かめたり、情報を信じ込ませるためにどのような発信方法を活用しているのかなど、受信する際にも発信する際にもこの技術は必要になってくるかと思います。

また、一般的な市場は今どのようになっているのかを把握して、自社が時代や世情からどれぐらい乖離しているのかを掴んだり、表現のトレンドのみならず、技術のトレンドや、一般の方はどんな風に情報を取り入れているのか、メディアと接しているのかなどを仔細に掴み、どこがボトルネックになっているのかを見つける能力も重要になってくるでしょう。

具体的に自分で全てを賄うにはそれなりの研鑽が必要になりますが、専門家と連携するのであれば、良し悪しの判断ができれば十分でしょう。

上記に加えて、情報を受け取る相手のこと、これから情報を受け取って欲しい相手のことを推察するための情報収拾能力、情報構築技術も可能であれば身につけておいてほしいところです。相手や市場(=各種の調査結果等)の開示情報から、奥にある感情や想いを的確に拾うことができれば、接触を伴う情報収拾を行う前から、効果の高い情報発信が可能になるでしょう。

詳しい専門家がいれば、WebやSNSと「いわゆる人工知能」や「ビッグデータ分析」などを用いて、データの塊からより精度の高いインテリジェンスを取り出したり、インテリジェンスに繋がるヒントを入手することも可能でしょうが、最初のうちはそのレベルは不要かと思います。

2.IT・Webマーケティングに関する技術

特にSEOやアクセス解析は身につけておきたい

最初はデジタルなコンテンツマーケティング、ブログやSNS、Webサイトを利活用する取り組みが中心になるかと思いますが、それらを生かそうと思うと、やはりSEOやアクセス解析、SNSが提供している各種分析ツールの見方などはある程度身につけておいた方がいいでしょう。

近年定着しつつあるUXやカスタマージャーニー、AIDMAからAISAS、あるいはまた別の形へ変化しつつある購買行動モデルの流行り廃りなどもアンテナを張りながら、幾らかは実践できるように準備しておきたいですね。「IT」が関係する前からあるマーケティングの各種フレームワーク、ツールも使えるとなお良しです。

ITツールで取得した情報を、営業活動に生かす取り組みも試しておいてほしいところです。コンテンツマーケティングと親和性の高いマーケティングオートメーションや、メールを活用したマーケティング、蓄積した顧客情報を営業に活用するSFA、CRMといったものも多少は身につけておくと、コンテンツマーケティングの効果も高まります。

3.資料制作、プレゼンテーションスキル

伝えるスキル、伝わりやすい資料作りが土台

どんなコンテンツを使ったとしても、個々のコンテンツで「何を伝えたいのか」がぼんやりしているようではコンテンツマーケティングを成立させるのは難しいでしょう。マーケティングに関するスキルと重なるところも多い部分かと思いますが、資料制作そのものや、資料制作を支えるフレームワークも十分な技術を身につけておきたいですね。

また、そのコンテンツをどう広げるか、どう見せるか。あるいはコンテンツ自体をどう作れば相手にインパクトを残せるのかという部分は、プレゼンテーション関係のスキルになるでしょうか。実演する際の演出やプレゼンする際の演技力、プレゼンまでの準備力や段取り力も、コンテンツマーケティングには重要なのではないでしょうか。

4.コミュニケーションに関する技術

相手の気持ちを察する技術、タイミングよく必要なやり取りをする技術など、「話す技術」よりはそれ以外のテクニックを主に身につけておいてほしいと思います。自己主張をするためではなく、相手や市場といい関係を築くためのコミュニケーションをしていかなくてはいけないので、一方的に言いたいことを伝える技術はそれほど高くなくていいです。

相手の嫌がるポイントはどこなのか、良質な関係を作っていくための関わり方はどういう形がいいのか、相手の立場や気持ちになって考えるなど、冷静に客観視できるスキルの方が重要でしょう。

また、上手に間合いを図るスキル、サプライズや大きな感動へ繋げるために必要な、相手の盲点や虚を衝く、あるいはその盲点や虚を作り出すスキル、情報を組み合わせて意識を逸らすテクニックも身につけられると、いいコンテンツ作りにも生かされるように思います。気を合わせる、空気を読む、そういった要素もコンテンツマーケティングには必要なんじゃないでしょうか。

周りに色んな人がいる中で、無理なく自分のポジション、存在感を発揮するテクニックもここに含んでおきます。市場の中で、あるいは近しいカテゴリーの中や買い手の記憶や意識の中で、一定の位置を占めつつ悪目立ちしない、変に悪い印象を残さないというのも一種の技術でしょう。これから作り上げようとするファンコミュニティの存立方法、自身のプレゼンスの高め方も理解しておいた方がベターかと思います。

5.コンテンツ制作に関する技術

これは取り組むコンテンツによって変わりますが、これが必須というのは説明はいらないでしょう。もっとも、制作を自分で担わない場合はこの限りではありません。その場合、そのコンテンツの良し悪しが判断できるリテラシーは身につけておくべきです。そのリテラシーは、とにかく受け取る(=読む、観るなど)他ありません。

また、全部作らないにしても、作る側の経験も多少あるかないかで、上記のリテラシーも変わってきます。どういう風に作られているのかといったフローやフレームワークを学んでみる、実際に一部だけ自分も作ってみる、練習の範囲で発信してみるといった経験もあった方が、リテラシーが向上するように思います。

明確に「コンテンツマーケティングだ」と思えないものであっても、身近なコンテンツがどのように宣伝やプロモーションをされて、鑑賞する人たちに受け入れられていくのか、あるいは流通の経路や多面展開はどうなっているのかなど、「コンテンツ産業」についてもしっかり学んで、転用できそうなものが少しでもあるのなら実践してスキルかリテラシーを磨いていただきたいと思います。

「いきなりコンテンツマーケティング」は難しい

技術の発展やマーケティング変化も掴むべし

一周回って普通のマーケティングだとどこかでお伝えしましたが、それでも、いきなり「コンテンツマーケティング」が出てきた訳ではありません。そこに至るまでの数々の変化、様々な技術の積み重ねの末に生み出された概念になります。

そして同時に、理屈や技術だけにとどまらず、アーティスティックな技術や感性も必要になる取り組みである、というのもお分かりいただけたかと思います。コンテンツマーケティングは、様々な分野、色々な技術の上に成り立つ総合芸術。ここでお伝えするものだけを学んでも、すぐに実践できるものではありません。

これまでに示した内容、これからお伝えしていく内容も虚心坦懐に学び、ひたすらに実践していただきたいと思います。いいコンテンツマーケティングで、お客様をより幸せに、市場や社会をよりよくしていくためにも、自分自身の技術、そして所属する企業や組織のマインドセットも高め続けてくださいね。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。少しでも楽しんでいただけたら幸いです。 ただ、まだまだ面白い作品、役に立つ記事を作る力、経験や取材が足りません。もっといい作品をお届けするためにも、サポートいただけますと助かります。 これからも、よろしくお願いいたします。