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母の手作りマスクがほぼふんどしパンツだった

母の手作りマスクについての考察

実家の母から手作りマスクが届いた。その出来栄えに打ちのめされてしまった。酷いんだ、非常に酷い。今回で2回目なんだけど、1回目はまだよかった。しまい込んであった古い手ぬぐいを使ったとかで、若干シミがあったけど、見えなかったんだろうし、それは良いよ。少し大きかったけど、家で掃除するときにでも使おうかなってくらいで、「マスク届いたよ。サンキュー!」ってLINEした。

それで味をしめたのか、2回目がやってきた。。

(あ、初めに言っておくと、母をバカにしたい訳でもないし、一生懸命作ってくれたことにすごく感謝している。もう70を過ぎた母親を晒すつもりもないよ。ほんと、ありがとう。)

とりあえず、大きい。異様に大きい。ふんどしパンツって知ってる?まさにあれみたい。デザイン豊富で、長方形の定義はオリジナル。布もここまでバリエーションの幅広げるかってくらい異素材が並んでる。ゴムが売ってないから、長年溜め込んであるリボンとか紐を使ったらしい。

いや、詳細はこのくらいにしてこう。それが問題じゃない。

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まず、1回目と2回目の間に何が起きたのか?ということ。

カレーを作る時の水の量や麺の茹で時間も確認しない母にしては、ちゃんと作ったんだということが伺えた1回目。型紙とか使ったのかな?

2回目は、羽目を外し過ぎている。もう型紙とか全く意識してないだろうし、確実に雰囲気で作ってる。

そして、その点について無自覚っぽいところも気になる。

「今回は適当に作っちゃったけど、許してね!」的な言い訳もない。どうしてこんなに堂々としているの?!

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情熱・愛情とは。

太宰治の『人間失格』に「あるいは情熱とは相手の立場を無視することかもしれませんが。」という一文があるけれど、まさにそれに近い感覚を抱いた。

例え同じ状況になってもわたしにはできない行為だし、したくないと強く思った。

人の時間や行動に何かしら影響を与えるのなら、やっぱりもうひとつ考えを進めて判断したいと思う。(だって捨てられないじゃん、、いつか捨てるけどしばらく寝かせるしかないよ。気軽に捨ててもらってOKと思っている?いや母は、有事だからどんな物でもどうにか使ってねという純粋な気持ちかもしれない。いずれにしても…)

情熱、愛情。難しいね。

わたしが母を芸術家にしている?!

芸術家は、情熱でもって人の批判や立場なんか無視して突き進まなきゃいけない。その覚悟があってもなくても、それを上回るほど表現することへの欲求があるのだと思うし、そうすることでしか自分を燃焼できない。

それを発揮できるスケールが、世の中での評価になる。

(もしかして、人は、自分が芸術家として振舞える相手の前ではそうなるのか?わたしが母を芸術家にしているのかも。みんなが芸術家になれるのは誰の前?何人の前?どこまでの世界を相手にできる?)

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もうひとつ。

基本って大事だよねーって話

わたしは、世の中の役に立ちたいと思っているし、仕事としてお金をいただくレベルの提供者でありたい。

母はいい。売る目的でもないし、暇に任せて娘のために作っただけだし、クオリティとか気にする相手ではないと判断した相手に送っただけだから。

自戒として。自己流や雰囲気で突っ走る怖さに常に意識的でいたい。
恥を掻いたりや冷や汗ものの失敗をしながらも、どうにかクオリティを保ちたいし向上させる努力が絶対に必要だと肝に銘じた。

守破離という言葉の最もさよ。

わたしは美容師として時々働いている。ブランクもあったし、基礎を徹底的に学んだり修行した自覚がないので、たまに土台が揺らぐ。でもお金をいただく立場として(これではいけない)と、こっそり学び直すことがある。経験は積み重なってはいくけれど、それだけでは補いきれない部分があるからだ。

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お母さんありがとう

この出来事から、わたしは自分のこともまた知れたし、こうありたいっていう指針も見つけられたし、すべての出来事はそうやって納得して進んでいくことだと思ってるから大丈夫。何が大丈夫なのかはよく分からないけど、大丈夫。

お母さん、いつもたくさんの事に気づかせてくれてありがとう。

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(こぼれ話①)

母の手作りマスクを目の前に色々と複雑な気持ちになっているわたしを見ていた夫。「わかるよ」と言いつつ「パリコレなら、これでいいんだけどね。」って笑。やっぱり、ユーモアが世の中で一番必要だと思う。

(こぼれ話②)

これを書くにあたって、陰口にならぬよう、母に「マスクありがとう。ふんどしパンツかと思ったよ。笑」とLINEをしておいた。速攻返ってきた返事は「とにかくゴムがどこにもありません」だった。この人にはかなわねぇ。

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