声が聞きたいなら
昨日、母からの支援物資が送られてきた。
この荷物の到着時間を確認するため、数日前、母から電話がきていた。でも、出先でラーメンを食べようとしていたところだった私は電話には出ず、LINEで返事をした。
母からは頻繁に朝の挨拶がLINEで送られてくる。夕ご飯の報告もしてくる。
いつも私はLINEで返事をする。
私の体調を心配していた頃は電話してくることが多かった。しかし私が出られないことが増え、母からの電話は鳴る回数が減った。
近頃、母の声を聞いていない。
そう思っていたところで実家から仕送りが届いた。
受け取ってすぐ、私はLINEで感謝を伝えた。
すぐに既読がつき、母から返事がくる。
私もLINEを返し、また言葉が返ってくる。
お互いにスマホと向き合える時間があることはわかっていた。久しぶりに電話で話ができるチャンスだった。でも、私はLINEで母とやり取りをしていた。
母の声が聞きたい。そう思ったけど、自分から電話はかけられなかった。
なんでなんだろう。
こんなので気持ちが伝えられた気になるのは。
こんな文字だけのやり取りで、
実際の様子なんか分かるはずもないのに。
母と直接話をしたかった。
なのに、連絡手段にLINEを選んだのはなぜだろう。
ありがとうと電話をかけることだってできたのに。
きっと母も私の声を聞いて、
様子を知りたいと思っていただろう。
そう考えると、悲しくなって、悔いが残る。
そんな夜、職場の先輩から電話をもらった。
わたしの休職中、心の支えにしていた先輩で、復職したらまた一緒に働こうねと言ってくれていた。しかし、本当は異動が決まっていたようだったのだ。
情報が解禁になった今日、まず私に伝えておかなくちゃと思って電話をくれたらしい。
私は、大事な話を電話で伝えてくれる先輩の気持ちが嬉しかった。文字だけじゃなくて、電話で伝えなきゃと思ってくれることに、思いの深さを感じた。
まずは電話を。直接、声を。
そんな人ってあったかい。
私もそういう人でありたい。