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学びたいから教える

教師になって、人の前に立つ怖さを知った。

私が教わる立場だった時は、ただ楽しく話してくれる先生が好きだった。先生と過ごす時間が楽しくて、自分も将来こんな経験をしたいと思ったから教師という仕事を選んだ。

でも、いざ教える立場になってみると

子どもと楽しく話すことは想像以上に難しかった。


教師として子どもの前に立つこと。

子どもを指導すること。

教師のやるべき仕事なのだろうが、

それが一番プレッシャーのかかることで

私を臆病にさせるのだ。

私は勉強をしてこなかったという後悔がある。

だから知識がない。だから能力が低い。

こんな自分が子どもたちに教えられることなど何もない。

そんな自分を悟られてはいけない。

虚勢をはり、取り繕うことに必死な私が

子どもと温かな信頼関係を築けるわけがなかった。

一切楽しさを見出せず、

前に立つのが怖くなって休職した。


今の私は、復職に向けて歩みを進めている。

あんなに苦しくて、しんどかった教師という仕事を

私は辞めることができなかった。

調子が戻って、職場に通い出した今でも、

子どもの前に立つのは正直、怖い。

目の前で子どもがトラブルを起こしたら、

どう解決させたらいいだろう。

子どもたちが起こす問題に、

どう対処したらいいのか分からなくて

佇むしかなかったあの時の自分を思い出す。


わたしは何も知らない。

教えるべき学問のことも、

友達をつくる方法も、

なにもかも。分からないことだらけだ。

そんな私ができることは何か。

それは私が学ぶこと。

子どもたちに教えなければいけないのなら、

まずは私が学ばなければ。

勉強をしてこなかったのならいま勉強すればいい。

そして、

自分の知っていることを話してみればいいんだ。

子どもに伝えてみたら、

さらに分かることがあるかもしれない。


もう一度

教師になろうとしている私が、

この仕事を選ぶ理由はもっと学びたいからだ。

ずっと勉強してこなかったから、いま勉強したい。

だから、子どもたちの前に立つ。

教えるために学んで、教えて学ぶ。

わたしの知りたいって気持ちから、動き始める。