トップが発信する大切さについて考えさせられた映画『スキャンダル』
土曜日ですね、今日は映画の話です。そろそろ、映画noteのマガジンを作りたいと思っています。前半は映画館でのマナーの話、後半からは感想です。
映画の食べログ
最近は、映画を観た後に「今日いくつ?」と聞いています。
これは映画の評価のことです。僕はいつも5点満点で考えています。今回観た『スキャンダル』だと3.0くらいかな。可もなく不可もなくといった印象でした。
ちなみに「フォードvsフェラーリ」は4.4、「チャーリーズ・エンジェル」は3.2くらいかな、「ナイブズ・アウト」は2.8ですかね。
こんなことばかり言っていたら友達がいなくなってしまいそうですが(笑)やっぱり数字で考えるのが好きですね。
ドリンクホルダー問題
映画館のシートには左右にドリンクホルダーがありますよね。どちらを使ったらいいのか、考えてしまいがちですが。今回は特に悩みの種でした。
僕は左のドリンクホルダーにポップコーンを、右には飲み物を置いていました。左側のシートは埋まっていましたが右側は空席だったからです。そこへ、右側のシートの方が遅れて来られたんです。
当然飲み物を移動させます。するとさっきまで僕が飲み物を置いていたホルダーへ、今度は右側のシートの方の飲み物が置かれました。これは一歩間違えると、その方の飲み物に口をつけてしまう状況です。非常に大変でした。
最後まで間違えることなくやり遂げましたが(笑)
映画館を利用する人に守ってほしいこと
そもそも来てほしかったですよね、映画が始まる前に。
そうすればドリンクホルダーを両方使ってしまうような浮かれポンチの気分を味わってしまうこともなかったはずです(笑)映画泥棒のCMがありますが、あれを観ていると
「誰が映画なんか録画するんだ!」
「そんな奴見たことないぞ!」
「それよりも、そもそも時間に来いよ!」
という気持ちが湧き上がってきます。これを広く世の中に主張したいです。そもそも時間に間に合うように映画館に来ましょう。
このnoteでも書きましたが、14:00上映開始だとしたら14:10までは予告編です。その後に来るなんてどれだけ遅刻しているんだと思ってしまうんです。もちろん売店が込み合うこともあると思います。それでも来ようよと。
ぼくは快適な環境で映画に集中したいです。
よくできているストーリーは検索される
冒頭は諸事情から集中できずに観始めた本作ですが、この映画は僕に刺さっているなと思ったポイントがありました。
それはストーリーが史実に基づいていることです。
「フォードvsフェラーリ」と同じで、本当はどうなの?というのが気になると観たくなります。ストーリーとしてはFOXニュースで実際に起きたセクシャルハラスメントの事件がもとになっているのですが「海外でいつも観ていた、あのFOXが!」という驚きがありました。
そしてメディア王マードックは誰でも知っています。その彼が出てくるんですよ!
かなり余談なんですけど、僕は英語が分からないです。なので海外に行くときにFOXスポーツを観ます、チャンネル47・48あたり。スポーツ観戦は言語に関係なく楽しめますよね。
結果、観た後に「どこまでが本当の話?」って検索するんです。本当にストーリーがよくできています。それから、もう1つ気になったことがありました。実在の人物への寄せ方がハンパじゃないです。
公式HPに上の画像があるのですが、「これは似てるわな」と思ってしまうクオリティの高さです。(それぞれ左が実在した方、右が本作の人物)
アカデミー賞メイクアップ&ヘアスタイリング賞を日本人として初めて受賞したカズ・ヒロ(辻一弘)さん。すごいです。
セクシャルハラスメントを訴えることの難しさ
ここで、あらすじを少しだけ。
FOXニュース・チャンネルCEOロジャーは、組織をどんどんどんどん大きく育てていましたが、その過程ではセクシャルハラスメントをしていたんです。ただ、それを誰も訴えることができなかった。
理由は、2つあります。
1つは本当に証拠があるのかということ。もう1つは、被害者たちが会社に有名にしてもらったという事実です。
加害者は被害者に対して日の目の当たる機会を提供していました。被害者からすれば、メディアを牛耳っている人物を訴えることにリスクがあります。
さらにアメリカの価値観に照らし合わせたときに、ボスを訴えるという行為は「1度ボスを訴えた奴は他の会社でも同じことをする奴だと思われて、雇われないよ」と捉えられるようでした。
訴訟は起こしたら終わりじゃない
そこから紆余曲折を経て、ロジャーは訴訟されることになるんですが。それでも社内での権威性は変わらないんです。
それを象徴するのがTシャツを配られるシーン。「あなたはロジャーを支持するよね?」といった言葉とともに、社内で運動が始まるんです。そして被害者たちはますます居場所を失っていくことになります。
「上司を訴えたら他ではやっていけない」
「セクシャルハラスメントを受け入れられる人がスターになれる」
そんな歪んだ構造があったのではないかと思いました。会社のトップでありメディアのトップである加害者の権威性が、数々の被害者の訴訟を踏みとどまらせたのかもしれないなと。
--------ここからはネタバレを含んだ感想です。※セクシャルハラスメントについての具体的な表現を含みます。
ロジャーに罪の自覚はあったのか
――失礼を承知で質問させていただきたいのですが、鎌田さんの立場を、無理矢理にでも本作に当てはめるとするば...(聞き手:Erina)
鎌田 ...ロジャーですよね。
――はい、CEOという点だけですが。どのような気持ちで鑑賞されたのかを、どうしても伺いたくて。
まずはロジャーと奥さんのことが気になりました。
ずっと一緒にいるんです。やってないっていう前提なんだろうけど、よくそんなことできるなって思いました。弁護士と奥さんを同席させるなんて。最後には録音したデータが出てきて「さよなら」となってしまう訳ですが、ロジャーは罪の自覚はあっただろうにと。
例えば仕事でミスをしたとします。そのとき人って分かっていると思うんです、自分がミスをしたことを。でもロジャーの反応は違いました。訴訟が決まってからも彼は広報に対して「徹底的に戦え!」とか言っているんです。
自分に罪の意識があっても「戦え」って言えるんだなと。
どういう感情なのかが僕には分からなかったです。隠し通せると思ったのか、攻撃したら勝てると思ったのか。僕は仕事においてトップであっても、自分が悪いときは謝ります。
そこのズレを感じました。僕には、変なプライドがないからかもしれません。
――それはすごいですね。
よくそう言われるんですけど社長の前に人間だし、ごく普通のことなんじゃないかなと思っちゃいます。
すべてはリスクヘッジ
あとは、社長の立場として言えることがあるとすれば...
社員の女性と2人で食事に行くとか、もうアウトだと思うんです。例えその場は「楽しかったですね」って終わったとしても、後から「実は無理やり連れて行かれて」と言われてしまえば、それまでなので。
相手の受け取り方次第ですから。
なので、後から何かを言われてしまうような可能性のあるシチュエーションは作りません。これはSlackやメッセージも同じです。リスクヘッジをします。
満員電車も同じですね。電車の中で3人の方から「痴漢です!」と言われてしまえば、冤罪だとしても覆らないと言われています。そこで「僕はやっていません!」と言うくらいなら、そもそも電車に乗るなと。なので上場する少し前から僕は電車に乗っていません。
それだけリスクヘッジが大切なんです、本当に。
僕に対して「健康診断に行け!」って言うのと同じですね。僕が倒れたらリスクが高いので。さっき社長の前に個人なのでって言ったんですけど、それ以前に公人なんです。上場している会社の社長なので。
僕の会社じゃなくてみんなの会社なんですよね。
your companyってよく言いますけど。なので、そういう立場をもって生きていくっていうことに対して、改めて身を正す思いで観させられたなと。こんなところでしょうか。
――切り込みすぎかなと思いましたが杞憂でした。
なかなか綺麗な話になっちゃいましたね(笑)
嫌がらせの濃度
これは癖の問題なので、人それぞれですよと前置きをさせてもらうんですけど。
ロジャーが、セクシャルハラスメントである行為を強要するシーンがあるんですよ。「キスをしろって」
――ああああぁぁぁ
いや「キスをしろ」とは言わないんだった。ロジャーはいつも「忠誠心」っていう言葉を使うんです。「あなたの忠誠心を見せなさい」みたいな。
――うわあああああ
自分からは何も言っていないんです。それも、社長室の密室で2人きりのときにです。これはアウトだと思うんですけど。
他にも女性に対して、「もう少し短いスカートを履け」とか言うんです。
――ううううううう
で、今度は視聴率のために画角を引き気味にして、脚を見せろって指示するんです。それで数字が上がるからって。もちろん聞いた人がどう思うかでセクシャルハラスメントは認定されると思うんですけど、嫌がらせの濃度にもいろいろあったなと思っています。
トップがメッセージを発信することの大切さ
そこから思い出しことがあって。
立場的なものの使い方が間違っているとは思うんですけど、今、政府は学校に対して休校を要請していますよね。僕は「やるならやってほしい」「要請ではなく決定を」と思うんです。もちろん各地方自治体を含めると、一律にはできないと理解はしているんですけど。
時には、トップが強い言葉でちゃんと言うことの方が伝わるものも多いんじゃないかなと思っています。
さっきの「脚を見せたら視聴率が上がる」というのは、セクシャルハラスメントなので間違っていると思います。ただそこにもう少しきめ細やかな言葉が添えられていたら、とも考えてしまうんです。
「トップの一言から部下が何かを感じ取る」という仕組み自体が、違うんじゃないかと思います。
以前に書いた「言葉数が少ないことに怒り狂っている」という話と同じです。トップほど忙しいですけどちゃんと言葉に出さないと。セクシャルハラスメントが絡んでしまっている以上、その行為が悪いのは絶対なのですが。
トップがしっかりメッセージを出すってことが、大切だと改めて思いました。声明や仕事の指示1つをとっても同じことです。指示に関してはCOOのように任せられる人がいればそれでいいとは思うんですけど。
それだけではなく、トップがしっかり発信していくことは非常に大切なことなんじゃないか、とスキャンダルから学びました。
また綺麗にまとめてしまいましたね(笑)
――テーマがテーマだけに心がざわざわしてしまったんですが、しっかり締めていただけて何よりです。
ああ、なるほど。実は僕、#MeTooとかも遅かったところがあって。男性かつ社長という立場からこの映画を観ていて、気づけていないところもあると思います。人によっては受け入れ難いというか、ざわざわするものはあるのかもしれませんね。
色々と今回も話しました。そしてボリュームも多かった。冒頭全く関係ない映画マナー書いてるんで。笑
読んで頂きありがとうございました!それではまた明日。
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