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短歌

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夏片(自選短歌20首)

夏がきて 終わらない夏はないことを忘れて 日焼け止めをまた買う

ばあちゃんが「タカハシさん」って呼ぶ店は 今はコンビニ 夕焼け色の

ワイの青春の味、三ツ矢サイダー。いや、深夜2時に飲むレッドブル。

スリーストライクとかけるスリーアウトとかけるナインイニング、おわり

思い出をまた1つずつ取り出して笑ってられるし大丈夫だよ。

透明感見えるよ 君の底の方、薄灰色の影があるから。

傘を打つ雨音

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雨の川と地球歩行士(自選短歌16首)

雨の川と地球歩行士(自選短歌16首)

雨がふり地固まって虹が架かる ぼくのビニ傘へし折ったくせに

薄情な僕の大脳 登る陽に何度も感動できる程度の

寂しいと言ったら負けの人間ゲーム 勝利条件にデバッグ求む

初回以降巻頭カラーがもらえない人生でもまだ打ち切られない

走馬燈製作委員会からのアナウンスです「撮れ高足らず」

いつだっけ巨人になって見えなくなった たとえば手すりの向こうの冒険

君に見せたいもの拾ってて遅れたの リュック

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四分儀の恋

四分儀の恋

君が好き、そうなページを考えて栞を挟んでそのまま貸した

「あれ貸して」 愛かも恋かもまだ知らない気持ちが私のまつ毛をあげた

木漏れ日が短冊状に影を落とす草葉の布団は優しい牢獄

「眩しいよ!」笑えばいつもなくなる目「ごめん、」網膜にぼくが写りたい

恋をした 私のおでこがこの夏は日照権を主張している

カールした君の睫毛が受け皿のように雨粒蓄えている

丁度いい ずっとあつくても疲れるし あな

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