夏片(自選短歌20首)

夏がきて 終わらない夏はないことを忘れて 日焼け止めをまた買う

ばあちゃんが「タカハシさん」って呼ぶ店は 今はコンビニ 夕焼け色の

ワイの青春の味、三ツ矢サイダー。いや、深夜2時に飲むレッドブル。

スリーストライクとかけるスリーアウトとかけるナインイニング、おわり

思い出をまた1つずつ取り出して笑ってられるし大丈夫だよ。


透明感見えるよ 君の底の方、薄灰色の影があるから。

傘を打つ雨音ビートにくちずさむ ジンジャエールのとこからユニゾン

ぼく達は大人なんだしコンビニで缶ビール買って飲んでみたりする。

「かわいいしょ」と言われ何も訊けなくなる 貴方らしからぬLINEスタンプ

君がいた夏、ストローの二刀流、線香花火、夏がいた君。


まだ夏が始まるところだってのに俺に襲い来るフジファブリック

傘がない 愛に生きたい僕だけど 会いに行きたいあなたがいない

木漏れ日が短冊状に影を落とす草葉の布団は優しい牢獄

練習でわたしが泣いて、叱ってた。上手に弾けたしょ?なんで泣くのさ

廃園のジェットコースター、触れた指、冷たい。熱気を思い出したい。


懐かしむ気持ちに飽きが訪れて浮遊する心目指す春

五月雨を集めるならさぁ最上川、ぼくの怠惰も流しておいて。

蝉時雨降る間もずっと泣いていたので足下は死骸と薄氷

ラジオからRCサクセションの歌 なんだ清志郎もう死んでんじゃんか

今を懐かしむ未来が思いつく じゃあの青春 俺はもう行く

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