じいちゃんの話

私の名前の話をするにあたって、避けては通れない人そんなじいちゃんの話。

台風が過ぎ去ったある日 テレビの写りが悪くなった、電気屋さんにアンテナの修理を頼んだそのはずだった。

その日は高校の同じクラスの友達が遊びに来る事になっていて、彼女は訪れたそうそう息を切らしこう行った。

「屋根にカラスが止まってて、縁起が悪いと思って教えてあげなくちゃと思ってさー、急いで自転車を漕いで来たんだよ、近づいてみたら武田ん家のじいちゃんが屋根の上にいたわー、危なくない?大丈夫?」

「えっ!そうなの?知らなかった」

「おじいちゃーん、危ないから屋根から降りてよ」

台風が来るたびに同じ事が繰り広げられ、なおせなくなるとアンテナを買ってくるまでにエスカレート、家族に注意されても全く聞き入れるはずもなく、程なく我が家はケーブルテレビとなりました。

手先の器用さと身のこなしに自信があったんだろうし、テレビが大好きな人だったから待ち切れなかったんだろうけど、88歳屋根に登ってアンテナ修理って危なすぎだと思うもの。

子供達に命名する際にも、字に込めた意味ばかりでなくバランスの取れた人になれるようにと左右対称な字を好んで付けている。京子、尚子、晶子、娘だけでは飽き足らず私の名前もじいちゃんの意向が強かったらしい、父親は優子と名付けたかったらしいがどうやら押し切られたみたい、ちなみに弟も同じように押し切られた、アゲイン。

じいちゃんの歳を重ねても屋根から落ちる事のない身体のバランス感覚と、名前に込められたバランスのとれた人になれるようにとの願い、同じところからきているとは、甚だ疑問だ。だけどそんな人々があって今の私がいる。

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