終わりがけの会話
「電話の終わりがけには、そんな感じの話をするもんなんだよ」
私よりひとつ年上のその人はそう言った、
まだLINEやメッセンジャーが普及してなかった頃の事。
「果子の電話ってバイバイじゃあ切るね、ガチャって急に切っちゃうのな」
「普通はそろそろ切ろうかな?
時間も遅くなってきたし、明日早いし」
「って呟いてみたりそれ風の話をするんだよ」
「相手にそろそろ電話を終わりたいって事を認識してもらって、お互いに次の日の仕事とか学校の話をしたり」
「まだ話してたいし名残惜しいけどじゃあそろそろ切ろうか」
「って感じが普通だと思うよ」
言われた後、耳がカッと熱くなった。
自分の今までの恋愛観を全否定された気がした、それまでも付き合った人はいたし、電話で飽きるほどお喋りした事もある、
それは付き合っている人であれば恥ずかしくて、友達であれば恋の予感を感じさせないように、その照れくささと心のうちを見透かされたくなくてバタバタと電話をきっていた。
今までの私の通話記録を全て遡って検証したくなった、イヤ全てではない異性限定だ、そんな考えが頭の中に浮かぶ自分が嫌だった、媚びてる私を無理矢理認めているような気がして。
サバサバした性格の私を認めて欲しい&胸キュン展開希望、ってワガママだ。
自分の胸キュンは実現させたいのに、相手の気持ちを汲み取ってない。
優しく電話をきる事はお互いを幸せな気持ちにさせてくれると思うし、癒された気分でベッドに入れるだろう。
今なら王子さまはいないし、胸キュンの足りない部分は別腹で漫画やドラマや推しのタレントさんで何とかします、って思えるんだけど幼過ぎたんだよな20代の私は。
相手の好みは媚び媚びくねくねした女の人が好きなんだと決め付けて、責任転嫁。
あー青い青すぎる、だから青春って言うのか。
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