【読書】源氏物語・紫の結び1(荻原規子訳)
年が明け、2024年になりました。
元日に石川県能登半島で地震が起き、noteの記事投稿も迷いましたが、日常と同じ生活を心がけようとも思い、投稿することにしました。
『源氏物語・紫の結び1』の読書記録です。
■『源氏物語』について
(1)原作
『源氏物語』は、平安時代中期、紫式部が書いた長編の物語です。主人公の光源氏と多くの女性たちの恋愛模様が描かれています。全54帖から成り、3部に分けて説明されることが多いようです。
※手元にあった田口榮一監修『すぐわかる源氏物語の絵画』にも、同様の分類がありました。
第1部:「桐壺」〜「藤裏葉」(33帖。光源氏誕生から青年期の恋の遍歴)
第2部:「若菜上」〜「幻」(8帖。光源氏壮年期の物語)
第3部:「匂宮」〜「夢浮橋」(13帖。源氏の子・薫の宇治での恋の物語)
(2)現代語訳
古典文学作品の1つとして、古文で読むのは難しいにしても、現代語訳で一度は通読してみたいと思って来た作品です。与謝野晶子や谷崎潤一郎など多くの小説家によって、訳されています。
しかし、長編で登場人物が多いことなどもあり、私は過去に与謝野晶子訳で挫折したことがあります。(漫画『あさきゆめみし』も途中から混乱して挫折しました。)
そして、その後はずっと、図書館で見かけた荻原規子訳で読みたいと考えて来ました。
荻原さんは『空色勾玉』や『白鳥異伝』など、日本の神話を題材としたファンタジー小説を書く作家です。私は、荻原さんの作品を中学時代に読んでいたこともあり、読みやすさなど手に取ることに安心感がありました。
そして何より、荻原さんが54帖を3つの結びに分類し、構成し直している点に面白さを感じました。3つの結びは、以下のとおりです。
紫の結び:「桐壺」〜「雲隠」を抜粋(「雲隠」を除くと24帖。光源氏の誕生から亡くなるまでの間、藤壺や紫の上を中心とした主軸の物語)
宇治の結び:「匂宮」+宇治十帖(11帖。光源氏没後、薫や匂宮を中心とした宇治の地での物語)
つる花の結び:「掃木」から始め「空蝉」「夕顔」「末摘花」などを抜粋(19帖。光源氏と関係をもった「中の品」の女性たちの物語)
『紫の結び』では、挿入される「中の品」の女性たちの話が外されているので、源氏の生涯を骨太におさえることが出来ます。荻原さんの解説によると、色調が変わる「若菜」まで読者が挫折することなく辿り着いてほしいという希望から分類した面もあるようです。
■「紫の結び1」の感想
荻原訳はハードカバーで全7巻。『紫の結び』が3巻、『宇治の結び』が2巻、『つる花の結び』が2巻あてられています。
今回私が読了したのは『紫の結び』の1巻目です。「桐壺」での光源氏誕生から、都落ちした「須磨」「明石」の生活まで描かれていました。
荻原訳は逐語訳ではなく、間延びする部分は省略したともあり、読みやすかったです。他方、丁寧な日本語で書かれ、登場人物たちの造形や四季の描写など、読み進めるのに思ったより時間がかかりました。
急いで読むと、それぞれの登場人物(女性たち)の人物像を十分に捉え切れず、見失いそうになりますが、じっくり読むことで、藤壺、葵の上、紫の上、朧月夜、六条御息所、明石の君など、それぞれの個性や魅力を感じることが出来たように思います。
そして、登場人物に関し、読む前とイメージが変わった部分があります。例えば、六条御息所です。私はこれまで、能や歌舞伎を観て、彼女を鬼のように激しいイメージで捉えていたところがありました。それが、少し静かなイメージに変わったように思います。もっともこの巻では、葵の上のくだりはあるものの、夕顔のくだりはまだ載っていないので、その部分も含めて後日考えてみたいと思います。他には、若紫(紫の上)の幼さ、明石の君の地方性なども、伝わって来ました。
また、「伊勢の斎宮」と「賀茂の斎院」の違いなど、混同しがちな部分も理解することが出来ました。
■終わりに
まだ読み始めたばかりですが、荻原さんの解説にあったように、テンポよく早めに「若菜」まで辿り着きたいものです。この記事を書いている現在、年末年始の休み中ですが、仕事が始まった後は会社帰りに喫茶店などに寄って読み進めた方がよいかもしれないなと思いました。
今回、冒頭の画像は、meguruさんの明石海峡大橋の写真を使用させて頂きました。ありがとうございます。
間隔があくかもしれませんが、読み進めていきたいと思います。本日は以上です。
<ご参考>
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