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【歌舞伎】極付印度伝 マハーバーラタ戦記

 2023年11月12日(日)、歌舞伎座に『極付印度伝 マハーバーラタ戦記』を見に行きました。同舞台は11月25日(土)まで上演されています。
 メモを残します。

■11月の歌舞伎

 11月の歌舞伎座は江戸時代の名残もあり、「顔見世」の名前がついた興行となっております。
 午前の部は「マハーバーラタ戦記」、午後の部は「松浦の太鼓」「鎌倉三代記」「顔見世季花姿繪(かおみせづきはなのすがたえ)」です。
 私は予算の都合もあり、歌舞伎座にはあまり行かないのですが、今回少し思うところがあって(後述)、午前の部をみました。

■古典歌舞伎と新作歌舞伎

 最近は歌舞伎役者の方の名前も少しずつ頭に入ってきましたが、私は、まだまだ歌舞伎の初心者です。しかも、頭の固いところがあって、オーソドックスな作品や、「義経千本桜」のような(三大)名作物・古典歌舞伎から入りたいという気持ちがあり、「歌舞伎鑑賞教室」などを優先してきました。
 そのため、「ナウシカ歌舞伎」や「ファイナルファンタジー」はもちろん、「スーパー歌舞伎」なるものも見たことがありません。(宙乗りは一度だけ見たことがあります。)

 今回、①SNSなどで「マハーバーラタ」の広告や感想を何度か見かけたこと、②最近「棟方志功展」でインドの神様の世界に触れたこと、③国立劇場などで、新作を作ろうとする流れを感じる場面があったこと、④(私は)割と身近なことから考えがちなので、視野を広げてみたかったことなどから、新作歌舞伎の世界に飛び込んでみました。
※歌舞伎「マハーバーラタ」は、2017年が初演で、今回が2回目の上演です。

■作品のあらすじ

 インドの『マハーバーラタ』は、ギリシャの『イリアス』『オデュッセイア』と並んで、世界の三大叙事詩と呼ばれているようです。

幕が開くとそこは荘厳な神々の世界。那羅延天、シヴァ神、梵天、大黒天らが、人間が始める争いのために、この世が終わると嘆いています。これに対して太陽神が、「慈愛に満ちた迦楼奈(かるな)を生み出してそれを止める」と言えば、軍神である帝釈天は、「無敵の子阿龍樹雷(あるじゅら)を生み出し、力に拠って争いを止める」と譲りません。慈愛と力のどちらが争いを止めるのか、迦楼奈は自らの使命に迷い翻弄されながら、遂には宿敵、阿龍樹雷との戦いへと向います。

『筋書』の解説より一部抜粋

■作品についての感想

  • 迦楼奈(尾上菊之助)と阿龍樹雷(中村隼人)の二つの陣営の戦いとなる訳ですが、一方が善で他方が悪という勧善懲悪劇でなく、様々な登場人物の視点から物語を捉えられるような作品でした。また、二陣営ということで仮花道もあり、豪華でした。

  • 迦楼奈(尾上菊之助)は、弓を使いますが、割と物語の世界に入って見る私は、矢が放たれたときに、放たれた方向に、「ひゅっ」と目が行ってしまいました(後半は慣れましたが)。戦の場面や民の踊りの場面など、臨場感が溢れていて良かったです。

  • 他には、(迦楼奈と阿龍樹雷の母親である)汲手姫を中村米吉さんが演じられていましたが、若い頃と年月を経てからでは、雰囲気が変わるのだな、と思いました。また、妖艶な鶴妖朶役の中村芝のぶさんも印象的でした。そして、今回、尾上丑之助さんは、我斗風鬼写・ガネーシャ役でしたが、菊之助さんは父親としてどんな視点を持つのかな、など考えたりしました。

■最後に

 今回舞台を見て、もう少し「アジア」に目を向けてみたいと思いました。また、世界では、争い・戦争が続いている地域もあり、そうした「時勢」についても、アジア的な視点を含めて、考える必要があるように思いました。

 最後は少し短くなりましたが、本日は以上です。読んで頂き、ありがとうございました!

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