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【読書】『エベレストの空』(上田優紀・著)

 2023年5月5円(金)、新書の『エベレストの空』を読み終わりました。著者は上田優紀さんで、上田さんはネイチャーフォトグラファーです。

■はじめに:調布市の写真展

 調布市文化会館たづくりにて、上田さんの写真展「上田優紀 写真展 2860-8848」が開催されています。開催期間は、2023年4月15日(土)〜同年7月2日(日)です。
 また、新宿区市ヶ谷のDNPプラザでも、7月14日(金)まで、上田さんの写真展が開かれているようです。

 私は今回の写真展に合わせて、上田さんの本を読みました。そして、本日5月5日(金)に調布市で開かれたトークイベントにも参加して来ました。以下、メモを残します。

■本を読んで

(1)上田優紀さんについて

 上田さんは1988年生まれ、冒頭にも書きましたようにネイチャーフォトグラファーです。24歳のときに世界一周旅行をし、そのとき、初めてカメラを手にしたそうです。
 2018年アマ・ダブラム(6856m)、2019年マナスル(8163m)、2021年エベレスト(8848m)に登頂されました。

(2)感想

 本書は、上田さんの経験のうち、題名にもあるようにエベレスト登山について(絞って)、書かれていました。第一章:準備、第二章:街道、第三章:順応、第四章:停滞、第五章:頂上と、順に話は進んで行きます。
 ノンフィクションであり、事実を切り取る写真家の方が書かれた本でもあり、感動を訴えかけるというよりは、事実をもとに等身大の上田さんが語る感じがしました。文章表現も感覚的表現は少ない一方、若者らしい感じもして、ノンフィクションをあまり読まない私でも読みやすかったと思います。

 一箇所だけ引用します。上田さんが、外から自然を見るだけでなく、内に分け入っていく姿が見て取れます。

写真を生業にする者としてあくまで個人的な意見だけど、本当の意味で自然の美しさや厳しさを撮影したいのであれば、外から眺めているだけでは絶対に不可能だと思っている。<中略>もしエベレストを「撮る」というのであれば、自分自身の足で氷河を歩き、寒さに耐え、薄い酸素に苦しみ、全身を使って山を感じ、登頂しなければならない。そうしてようやくこのエベレストが持つ本当の姿を記録できるといえるのではないだろうか。

本書16ページより

■トークイベントに参加して

 トークイベントで、実際に上田さん本人にお会いし、話を聞けて良かったです。
 イベントでは、エベレスト登頂以外に、プロフィールや写真家になろうとしたきっかけ、これまで訪れた場所(ウユニ塩湖やパタゴニア)、これから行きたい場所などの話も聞けました。
 また、「動画」と違った「写真」の面白みや、シェルパと二人だけのチームで登頂したのは何故か、などの話も聞けました。

 あまり「自然」の写真に自分の思いを織り交ぜたくない、といったような話があり、上田さんのスタンスを踏まえ、もう一度、写真展や本を見返してみたいと思いました。

■最後に

 私は写真について門外漢で、容量的にもそこまで手が回らないというのが、正直なところです。
 初め、写真展を見たときも、どのように捉えればよいか、掴みどころや入口がよく分かりませんでした。今回の場合でいうと、上田さんの本を読んだり、トークイベントに参加して肉付けしていった感じがします。新しい分野には、知識の面から入るのも一つの手かな、と思いました。もう少しノンフィクションにも強くなりたいです。
 最後に、ネイチャーフォトグラファーということで、世界各国、ヒマラヤから海中まで色々な所に行かれる上田さん、危険を伴うことも多いと思いますが、旅のご無事を祈念しております。

以上です。

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