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【類推手帳】成功に不可欠な「押し」と「あるアイテム」の共通点とは?

英語のことわざに、こんなものがある。
「The door of opportunity is opened by pushing.」 
チャンスの扉は押すことによって開かれる
 -作者不明

中学生時代、私はよく授業中に上の空になっていた。
頭の中が宙に浮いていて、心ここにあらずの状態だ。

両親の都合で東京から千葉の中学校に転校してきて
間もない私は、うまくクラスメイトと馴染めず、
心を閉ざしがちだった。

そんなある日、体育の授業で跳び箱をやる機会があった。

かなり高めに積み上げられた跳び箱。
その跳び箱に苦戦するクラスメイト達。
そんな様子を見ながら
体育座りで自分の番が来るのを、上の空で待っていた。

密かに跳躍力には自信があった私は
自分の番が近づくと、クラスメイトにアピールしてやろうと気合を入れた。

そうこうしている内に私の番が来た。
勢いよく助走をつけ、踏み台を蹴り上げる。
跳び箱に手がついた瞬間、体育館の窓から差し込む光が
私の視界を覆った。

そのとき腰の辺りが、フワッと軽くなるのを感じた。
気がつくと、私は頭から飛び越えた状態(水平飛行するロケット、または飛行時のアイアンマンのよう)になっていた。「このままでは飛んでいってしまう…」そんな、ありえない危機感を感じたのを覚えている。

そして私はマットの上にうつ伏せで着地した。

起き上がると、クラスメイトが沢山駆け寄ってきて
驚きと賞賛の声に包まれた。

どうやら頭から(水平飛行で)飛び越えた人間は
私が始めてだったらしい…

それから異様に滞空時間が長かったらしい。
「このままでは飛んでいってしまう…」と感じた
あの時がそうだったのかもしれない。

宙に浮いているのは、頭の中だけではなかったようだ。

完全に失敗したと思った飛び方だったが
体育の教師曰く、ああいう特殊な飛び方もあるらしい。
それを聞いたクラスメイト達の間で、さらに驚きの声が飛び交う。

この一件以来、約2週間くらいは
黙っていても、クラスの人気者でいられた。
すこしだけ打ち解けることもできた。

それから体育の教師からは、跳躍力を買われ
陸上部の顧問に対して、私の入部の推薦もしていただいた。(結局、陸上部へは入らずに軽音楽部に入部して、その後18歳までギター少年になったが)

クラスメイトと打ち解けることができたり
陸上部に推薦してもらえるという道が開けたのも

思い返せばあのとき、跳び箱に向かって
躊躇することなく「自分の身体を押し上げる」
という行動を取ったからだ。

社会人になってからも、仕事の面接で採用されたり
ライターの職を得たときも、自分自身をアピールする(押す)
という行動をしたからこそ、チャンスを掴み取ってこれた。

何かをアピールしたり、行動することが
自分を押し出すことにもなるし、それを見た誰かが
押し出してくれることもある。
そうやって道が開けることを何度も経験した。


今日、朝日新聞と読売新聞を読んだ。(2022年6月12日)
一面コラムの「天声人語」と「編集手帳」では
梅雨の始まりの季節だからか、両方とも「傘」をテーマにしていた。

傘と聞くと雨傘をイメージする人も多いかもしれないが
歴史的には日傘としての使用が先で、さらにウィキペディアには次のように書かれている。

傘が使われ出したのは約4000年ほど前と言われ、エジプト、ペルシャなどの彫刻画や壁画に残っている。ギリシャでは祭礼のときに神の威光を表すしるしとして神像の上にかざしていた。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%82%98

つまり、もともと傘は宗教的なアイテムであり
権力の象徴でもあったのだ。

そんな傘の構造はというと

・傘を握るための、フック状の手元(ハンドル)
・手元の延長の中棒(シャフト)
・傘を手動で広げる際に、中棒に沿って押し上げるつまみが下ろくろ
広げた際、布やビニールでドーム状になる部分の骨組みが親骨

主にこういったパーツからなるそうだ。

そして、傘を広げる際は
手元を握りながら、もう片方の手で
下ろくろを中棒に沿って押し上げることで
ドーム状の傘が開く。

こういった仕組みだ。

親指でポチッとボタンを押して
自動で開く傘もあるが、

手動の場合は、下ろくろを押し上げることで
傘が開くというわけだ。

傘を開くことで、日差しや雨を避け
屋外でも快適な日常を送れるようになる。

または

自分が開いた傘で
誰かを快適にしてあげられるかもしれない。

「物は試し」という江戸時代のことわざがある。
何事もやる前から躊躇したりせず、とくかくやってみることの
大切さを説いた、江戸時代から伝わる言葉だ。

何か叶えたい夢や目標があるときは
まずは小さくても良いので、まずはやってみる。
自分自身を押し出してみる。

その先にこそ、新たな可能性が開けるのだろう。

押すと開く傘のように。

「The door of opportunity is opened by pushing.」 
チャンスの扉は押すことによって開かれる

梅雨の季節。傘を手にするたびに
そう思い合わせてみる。

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