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サンアントニオ交響楽団の終焉 オーケストラが消える時

サンアントニオ交響楽団。

アメリカ・テキサス州の大都市を拠点とするこのオーケストラは、1939年に設立され、芸術的にも高い評価を得てきた。

日本のwikipediaでは、現在も存続しているように立項されている(4月11日時点)。


しかし、このオーケストラはもう存在しない。

英語版のwikipedeiaで、その「終焉 demise」の経緯が記されている。


公式には、サンアントニオ交響楽団(San Antonio Symphony)は、昨年の時点で消滅した。


現在は、元楽団員たちが「サンアントニオ・フィルハーモニック(San Antonio Philharmonic)」として活動を始めている。


消滅の原因は、もちろん資金ショートである。



余談だが。

私は、この楽団消滅の記事を3月30日に読んで、3月31日にnoteにアップしようとしたのだが、いったん取りやめた。

なぜなら、偶然だが、3月31日は、「オーケストラの日」だと気づいたからだ。

もっとも、日本だけの記念日である。「み(3)み(3)にいい(1)」という語呂合わせらしい。

それにしても、オーケストラの日に、オーケストラの破綻の話をするのは、嫌味な行為ではないか。まあ、誰も読んでないとしても。だから延期した。



今年の2月には、ウィーン放送交響楽団(Radiosymphonieorchester Wien)が存亡の危機に陥り、首席指揮者のマリン・オールソップがツイッターで支援を呼びかけていた。




現在、全土でデモが吹き荒れているフランスでも、4月7日、フランス放送フィル(Orchestre Philharmonique de Radio France)がストライキを決行した。


それについて、山根悟郎氏が論評していた。



クラシック界がパンデミックで追い詰められたのは間違いないが、オーケストラは、そのはるか以前から、どこの国でも安泰ではない。

上のサンアントニオ交響楽団の記事にも書かれているが、コンサート収入だけで運営できているオーケストラは、たぶん1つもない。ほとんどは寄付と援助金で何とかやっている状態だ。

日本でも、「レコード芸術」の休刊に象徴されるように、クラシック音楽やコンサート興行の行く末は明るくない。


オーケストラは、たぶん、滅びつつある文化の1つだ。

アマチュアとしては続くだろうが、プロ団体が存続できるかどうかは危うい。

そして、オーケストラは、プロの音楽家を集めれば、いつでもすぐ成り立つわけではない。いったん演奏の伝統が途絶えれば、再生は難しい。

それが存続できるかどうかは、ここ数年にかかっているような気がする。

政府の少子化対策といい勝負の、細い可能性しかないとしても、今、何もしないわけにはいかないのではないか。

どうすべきか。

私にもアイデアはあり、いずれこのnoteで書きたい(が、大したものではないです)。

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