商店街のお肉屋さんがかける魔法
夕方、とは言っても16時くらいだが、家のインターホンの音で目が覚めた。
この前の土曜日から早めのお盆休みに入り、東北の地元にも諸事情で帰れずにいたため、大阪でのんびりしている。15時くらいからの昼寝が板につくのにもそう時間はかからず、今日も僕はそのルーティーンをこなしていた。
インターホンの先が誰であったかというと、ヤマト運輸であった。
そういえば、実家や友人に贈るものの集荷を頼んでいた。14時から16時の時間で集荷を頼んでいて、時間きっかりにきてくれた。荷物3個をお願いしたのだが意外と安く済み、ヤマトの「にゃんにゃんっ」というかわいい精算の音に癒されながら、また少しだけ横になった。
ちょっとだけ、気分が悪い。
原因はすぐに分かった。15時に食べたセブンイレブンのソフトクリームだ。
久々にコンビニにある生クリームがそのまま固まったようなソフトクリームを食べたくなって、午前中の買い物のついでに買ってきた。お昼を食べて、おやつにそのソフトを食べたのだが、後味は後悔の味しか残っていなかった。
パートナーはおいしいと言って食べていたので、美味しさはあるのだろう。
ただ、僕の舌には合わなかったようだ。
こうなると、僕はいわゆる「リアルフード」を食べたくなる。
つまり、お菓子でもなんでもない、純粋に身体の栄養になるような食べ物。頭に真っ先に思いついたのが豚汁だった。僕が「豚汁を食べたい」というと、僕のパートナーもそのアイディアに賛成した。
ということで、僕は自転車で商店街のお肉屋さんに向かうことに。
***
商店街のお肉屋さんまでそう遠くはないが、暑さもあって自転車で向かう。
多くの商店街のお店がお休みをするなか、お肉屋さんは今日も営業していた。向かってくる自転車を避けながら、お肉屋さんの目の前に自転車を無事に停め、ショーケースに並ぶお肉を眺めた。
お肉屋さんのお肉は、いつも輝いている。
東北とは違って関西は牛を食べる習慣があるようで、こちらにきた時にお肉の並び方が違うなというのが、今でも印象に残っている。今日の目的はもちろん豚ではあるが、一通り目を通すだけ通して、お目当ての豚肉に目をやる。
豚肩ロースの切り落とし、100gで198円。
今日は特売日でこの値段。
そう安い値段ではない。
そこらへんのスーパーで買えばもっと安いのだが、お肉屋さんのお肉はどうしてかおいしいし、こういう商店街にお金を落としたい気持ちもあるので、たまに今日のようにお肉屋さんでお肉を買う。
そして何よりも、お肉屋さんで買い物をすると、そのお店の女将さんの暖かみに触れられる。僕はその女将さんがいつも気になっていて、今日もちょっとわくわくした。
女将さんは買い物をするといつもgピッタリにお肉をはかってくれて、僕はその技術に驚かされる。
今日は100gだけ買ったので、値段は198円。僕が200円を出そうとすると、女将さんはいつものように値段の端数分を切ってくれて、僕は10円のお釣りをいただいた。
最後に女将さんはいつもの「おおきに」の優しい言葉と素敵な笑顔をくれて、お肉をそっと渡してくれた。
お肉は今日も、折りたたむ包みに入っていた。
2分もかからない、このお肉屋さんでのやり取り。
なのにどうしてここまで心がほっとするのだろうか。
おかげさまで、晩御飯の豚汁は普段の倍以上に美味しく感じられた。
商店街のお肉屋さんには、いつも魔法をかけられている気がする。
だから、また買いに行きたいなと思うのだ。
もっとそこにお金を落とせるように、大きくなりたいものだ。
2022.08.09
書きかけの手帳
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