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「アースリングコミュニティ」とは?~地球に住む者たち~

温泉地への移住が推進されているというニュースを見た。

コロナにより、会社の業種によってはリモートワークが増え、外出することが少なくなり、家での滞在時間が増え、また会社までの通勤時間を気にせずに働けるようになった。

かたや温泉地では観光客が減り、また別荘を手放す人も多く、空き家が増えた。老朽化する別荘をリノベーションし、またその移住を誘致する市からは移住者に家賃への補助金を出すという。

自宅での仕事が増えた人びとにとっては、家賃も安く、都内で住むよりも広い家に住め、温泉にも入れるし、自然が何よりも癒しとなる。需要と供給が合った状態だ。

こういう生き方もあるんだなあ。そんなことを考えながら、スタジオに入った。

「この本、不思議だけど、いいこと書いてあるよ」
と友人が本を貸してくれた。
「宇宙学校」〜アースリングコミュニティ〜(滝沢泰平著)だ。

宇宙学校?あやしい雰囲気…?アースリング?

「アースリング」とは「地球に住む者たち」の意味だそうだ。

これまでにつくられてきたすべての境界線を越えて、新しく創るのは宇宙船地球号という船の舵を取る、地球人によるコミュニティなのです、と綴られる。

確かに、地球を宇宙から見れば、国境線が見えるわけもなく、境界線が引かれているわけでもない。人びとが勝手に土地に、心に境界線を描いているだけだろう。

筆者は3.11の震災をきっかけに、都会の有事の際の脆弱さ(食料自給率1%ともいわれる)、この文明自体の脆弱さに疑問を持つようになったと言う。次第に今まで普通に慣れ親しんでいた都会から心が離れていったそうだ。

彼はこれからどう生きていけばいいのか?
自分に何ができるのか?
と自答自問した。その答えは、

今の都会で、もしそのような被害があった時に田舎から食べ物の支援ができるようにと、八ヶ岳に新天地を求め、今まで鍬さえも握ったことがない、農業にも携わったこともない、まったくのゼロベースから始めた。

日本ではコンビニに行けば、スーパーへ行けばたくさん食べ物はある。 
食糧危機など世界を見れば飢餓とは無縁の国である。
明日食べるものがない・・ということがあるとしたら、それはお金がなくて買えない、という時だろう。
食べ物自体は、お店にはある。

またさらに世界に目を向ければ、コロナで物流の流れが止まったり、また温暖化による異常気象、干ばつであったり洪水であったり、被害・災害にあっている国々では、お金以前に、食糧、物資自体がない国も多く存在する。

滝沢氏は、これら世界で起きていること、それらは他人事ではなく、特に地震大国の日本、その中で、もし地震災害などが起きれば瞬く間に特に食料自給率の低い都会ならば、最初は豊富なものが揃っている都会でも危機的状況である状態が続けば、いくらお金があったとしても人びとの食糧難の危機が迫るだろうと言う。

確かに災害が起こった場合、流通やインフラが止まり、あっという間に機能しなくなる可能性は高い。
電気が止まっただけでも都会の機能が止まるだろう。まずは彼は八ヶ岳から開墾から始め、井戸を掘り、そしてドームハウスを作った。


科学や文明が発展してきたことで、地球や自然を破壊・汚染してきたことは事実としてあり、解決されていない問題は山積みだ。

科学としての姿勢が、人びとが思いあがった思いで地球を管理している、という振る舞いなら、それは明らかに人びとの心の退化に繋がるだろう。

けれども、これまで科学が、文明が発展したことは、人びとの暮らし、人びとの心の発展へ繋がることとして必要だったとも思う。

今はSDGsでも謳われるように、徐々に今までの人びとの起こしてきたことを反省し、自らを省みる時代になってきた。まだ解決できていないことも多くあるけれど。

ただそれらを憂い、自然の中で原始的に生きる生き方を選ぶ人もいるかもしれないけれど、それが人類の未来として正しいのか、私には正直分からない。

私達が今後目指すのは、誰かを、何かを支配する生き方ではなく、人びとが手をつなぎ合い、科学と自然が融合した世界で生きる、ということができないだろうか?と考えた。

「支配」というのはつまり人よりも地球環境よりもお金を優先にした世界。それはそろそろ卒業しないといけないのかもしれない。

昔に回帰するような、ただ自然と暮らす、というものではなく、さらに自然と科学を発展させたハイブリッドな世界を今後は目指していくのが今後の未来にあるのではないか、とこの本を読み進めていくうちに思った。

確かに自然の中にいれば心は安まるし、癒される。けれどもその中で原始的に生きることよりも、便利も求めるのは私のわがままだろうか。

便利で地球に優しい、そんな未来が人びとの進化の先にある、と希望を持っている。

つづく




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