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コロナへの政府のサポートなし!?それでも諦めない若者たちを追う

コロナ対策は国によって様々ですが、ニュースではめったに取り上げられないパレスチナではどうでしょうか。
そもそも超脆弱なパレスチナの体制では、感染症の蔓延に対応できる医療資源がありません。コロナ対策の肝―――それはとにかく絶対に感染を広げないことなのです。
しかし、政府には力も資金もありません。長年の占領と領土の縮小で経済基盤は崩壊状態、元々高い失業率に拍車をかけるこのコロナ危機と観光業のピンチ…さらに危機の最中でも目の前に迫るイスラエルへの併合案。

嘘でしょと言いたくなるくらいとんでもない状況なのですが、タイトルにあるように今回記事で取り上げられているのは諦めないで行動する若者たちです。

エルサレムでは80近くのボランティア団体が集まって、コロナ対策と市民のコミュニティの力を高めるために連合が組まれました。数百人の若者からボランティアの申し出があり、それぞれの居住地と専門性を活かして働いています。連合ではSNSのハブを作り、オンラインの医療相談や心の悩み、予防のいろはについて対応、正しい情報の発信に努めています。ICUや呼吸機器が不足しているため、医者がいようが感染の蔓延には対応できないーそうした認識から、ワクチンができるまでは予防を日常化するように人々に呼び掛けるのは若者が中心です。

ナブルスのニュー・アスカル難民キャンプは西岸地区でも最も過密な場所で、1平方キロメートルのなかに7000人が暮らしています。普段から粗末な家屋に住み、高い失業率を抱えているこの場所では社会活動が根付いています。日頃からサマーキャンプやダプケ(伝統の踊り)のワークショップ、語学教室などが開催されるこの地域で、何よりも手厚いのが若者による障がい者支援。責任者の男性は

コロナの今とりわけ障がい者はリスクにさらされている。我々は他のNGOー彼らは絵のトレーニングやコンクールを主催しているーに協力して物資面の支援を続けたりしているが、何よりも精神面のサポートに力を注いでいる。彼らが孤立を感じないよう家庭訪問をし、あなたがたもこの社会の一部なのだとメッセージを送るようにしている

と話しています。
 外出禁止と移動制限により困難な状況にあるキャンプの若者たち。彼らに役割を提供するのがこのNGOの役目です。若者は衛生教育に携わったり、寄付を募ってフードバスケットを作り困窮家庭に届ける取り組みも行っています(600世帯が助かったとか)。あるいはキャンプを掃除して環境を保ったり、高齢者が医療を受けられるようにするといったこともなされています。

ラマッラー近郊のアルアマリ難民キャンプでは、同様の過密状態のなか80%以上が若者(40代以下)という状態です。失業率と貧困が高まる中、若者によって緊急コミュニティが組織され、キャンプの衛生状況の改善などに活躍しています。

各地で若者の行動力に期待が集まる中でも、やはり恒常的な寄付への依存と資金不足、政府のサポートの欠如、日々の生活に事欠く状況は変わりません。ジェリコで乗馬教室を営む26歳のアフマド・ハワーシさんは2月から一度も収入を得られていないと話し、それでいて30頭いる馬の餌代や土地の賃料でお金が出ていくのだと言っています。「恵まれた家の出でなければ、とっくに馬を路上に捨てていただろう」と。給料は今は払えないものの従業員は留まって彼を手伝っています。

コロナがこの世代を変えてもいる。学校はオンライン化し、オンラインショッピングも広がりを見せている。勿論家のサポートや従業員の助けがなければとてもどうなっていたかわからないが(アフマドさん)

ヘブロンで若者の支援を行う33歳のアナス・サラプタさんは、政府が公的機関などをすべて閉鎖するなかで、日頃から彼らの支援をしている自身のセンターが継続して支援してくれる場所だと思ってもらえるようにオンラインのサービスに移行しています。

テクノロジー畑で育ってきたから、それを活用してすぐにオンラインのトレーニングやバーチャルワークを取り入れた。ドナーにもオンラインでのサービス継続を説明してお金を払い続けてもらい、今まで以上のサービスを提供することに繋がった(アナスさん)

自身も若者に近いことから共感を鍵に活動するアナスさん。家にいて不安を感じる若者がリラックスでき、前向きな思考を持てるよう、自身の経験や自宅での過ごし方・働き方と家族とのやり取りなどを伝えているそうです。

彼のサポートを受けているサアド・ガーネムさんは29歳で英語の先生をしながら自営業のレザー製品店を営んでいます。コロナの直前に結婚し、借金も抱えていた彼は、オンラインショップで収入を確保したりしながら、皮でマスクを作って販売、人々の関心を呼び、今では生産の拡大を考えています。地域への社会活動もしていて、イブラヒムモスク(ヘブロンの名所でありコミュニティセンター)での食料の寄付に参加しています。

ヘブロンでおなかを空かせた人はいないと皆いっているよ。でも私はもっとビジネスを安定させて収益を上げたい。そうしてそのお金で人々の役に立ちたいんだ(サアドさん)

コミュニティのため、パレスチナのため、周りの人のため。
パレスチナの若者たちは自分の居場所に対する責任を感じて、行動に移しているのです。日本と比べると、コミュニティ=地域と、パレスチナ=国全体を同じ土俵で語ることが多く、地域のため、ひいてはパレスチナのためと思っている人が多いことに驚きます。

もし、何か寄付をされたいという方がいらっしゃいましたら、この記事を書いた雑誌編集部に詳細を確認しますので、その際はご連絡ください。

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架け箸はこれからも継続的にパレスチナを訪れ、日本に出回らない生の情報を発信したいと思っています。いただいたサポートは渡航費用や現地経費に当てさせていただきます。