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朝の読み聞かせ

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小学校での朝の読み聞かせの時間に読んだ絵本や昔話(ストーリーテリング)の紹介をしています。
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記事一覧

【朝の読み聞かせ】「春になれば、またいいこともある」という言葉が胸に沁みる日本の昔話

【朝の読み聞かせ】「春になれば、またいいこともある」という言葉が胸に沁みる日本の昔話

突然の「休校」にざわつく教室で コロナウイルス対策で「全国小中高休校要請」のニュースが発表された翌日の朝、いつも担当している5年生の教室に朝の読み聞かせをしに行きました。突然のことに、学校はなんとなくざわついた雰囲気……いつも朝の読み聞かせでは机を後ろに下げて、子どもたちは床に座って聴くのですが、今日はその余裕がなかったのか、子どもたちはそれぞれの席についたまま。距離も遠くなるし、語るときの視線も

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どうしても読みたかったアフガニスタンの絵本

どうしても読みたかったアフガニスタンの絵本

中村哲先生とアフガニスタンのこと 私が初めてアフガニスタン料理と出会ったのは1999年、アメリカ東海岸の都市ボルティモアのレストランでのことでした。その美味しさに驚くと共に、アメリカの主要都市にはアフガニスタンからの難民・移民が開いたレストランがごく普通に存在していることを知りました。世界中のグルメが食べられると思っていた東京で食べられない料理があること、しかも、その料理が本当に美味しいことは、私

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【朝の読み聞かせ】ラグビーワールドカップと稲をテーマに選んだ昔話

【朝の読み聞かせ】ラグビーワールドカップと稲をテーマに選んだ昔話

 近所に個人経営の小さな本屋さんがあります。あるとき、やはり近所にある八百屋さんで買い物をしていたとき、その本屋さんの話になり、「あそこに行くと、読みたい本がぱっと目に入ってくる」と意気投合しました。同じ本でも、並べ方によって、本が発するオーラが全然違うもので、その本屋さんに行くと「あれも」「これも」と次々に手に取りたくなってしまうのです。

 本やおはなしも、出会うべきタイミングに出会うことで、

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【朝の読み聞かせ】身近な食べ物が気づかせてくれること

【朝の読み聞かせ】身近な食べ物が気づかせてくれること

 高学年ともなると、朝の読み聞かせの時間になっても遅れてくる子が数人いるので、スタートがどうしても遅くなります。高学年ならではの読み応えのある本を読みたい気持ちもあるのですが、実質10分、しかもバタバタ&ザワザワした空気の中では、それもなかなか難しい……でも、短くても、高学年だからこそ深く読める本をできるだけ選びたいと思っています。

食べ物の本は朝にぴったり 朝だけではなく、どんな時間でも食べ物

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【朝の読み聞かせ】お月見の日の朝の読み聞かせ

【朝の読み聞かせ】お月見の日の朝の読み聞かせ

 二学期初めての、5年生のクラスへの朝の読み聞かせ。ひとつは、アンデルセンの「豆の上に寝たお姫さま」(『子どもに語るアンデルセンのお話』松岡享子編 こぐま社)のストーリーテリングに決めていました。これは5分もかからない短いおはなしなので、あとひとつはどうするか? いろいろ考えましたが、ちょうどお月見の日の朝ということで、「月をつろうとしたロー」(ソロモン諸島の昔話)を読むことにしました。

アンデ

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【朝の読み聞かせ】家庭科の裁縫が始まった5年生に

【朝の読み聞かせ】家庭科の裁縫が始まった5年生に

どんなときに読んでもぴたっとはまる本もあれば、「今このときでなくちゃ!」という本もあります。『あかてぬぐいのおくさんと7人のなかま』(イ ヨンギョン ぶん・え かみや にじ やく 福音館書店)は、家庭科で裁縫の授業が始まったばかりの5年生に絶対に読みたかった絵本でした。

出版社のサイトには、「読んであげるなら3歳から、自分で読むなら小学校低学年から」とあります。確かに文章は難しくないし、文字の量

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【朝の読み聞かせ】新学期最初の読み聞かせにおすすめの本

【朝の読み聞かせ】新学期最初の読み聞かせにおすすめの本

転入生を迎えたクラスに4月になり、1年生のときから朝の読み聞かせの時間を共にしてきた子どもたちももう5年生! クラス替えがあったので、初めての子もちらほらいますが、新学期最初の読み聞かせに何を読もうか、5年生ともなるとけっこう選書に悩みます。この時期、『さくら』(長谷川摂子文 矢間芳子絵・構成 福音館書店)なんてどうかなあ、と思ったのですが、文章がもう幼い子向けと感じられてしまうなど、彼らが読み聞

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[朝の読み聞かせ]月がきれいな季節に

[朝の読み聞かせ]月がきれいな季節に

月がきれいな季節です。

朝の時間の読み聞かせをしている小学校4年生のクラスでは、ちょうど今、月の観察を学習していることもあり、月に関する本を探しました。

1冊目は月にまつわる昔話絵本1冊目は、『グリム童話より 月はどうしてできたか』(ジェームズ・リーブズ文 エドワード・アーディゾーニ絵 矢川澄子訳)。タイトル通り、月の由来を語る昔話です。

昔は月がなくて、夜、ランプを持たずに外に出れば真っ暗

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【朝の読み聞かせ】これぞ理想のお姫さま

【朝の読み聞かせ】これぞ理想のお姫さま

ストーリーテリング(おはなしを覚えて語る)を始めて7年ほどが経ちます。正直とても大変ですが、やればやるほど奥が深く、何より聴いている子どもたちの反応が直に伝わり、語り手と聞き手が一緒におはなしの世界に入っていける感覚は、絵本の読み聞かせではなかなか味わえないものです。語り手としてまだ未熟な私は、そこまで至ることも少ないのですが、一度でも体験すると、その深い充足感から離れられなくなってしまいます。

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[朝の読み聞かせ]高学年でも楽しめるアルファベットの絵本

[朝の読み聞かせ]高学年でも楽しめるアルファベットの絵本

小学校の英語教育には色々な意見がありますし、現状のままでは現場の先生の負担が大きすぎると個人的には思っています。ただ、どうせやるなら、ちょっと「英語に親しむ」だけでほとんど実にならないというのではなく、中学の英語学習につながるような授業をしてほしい。わざわざ貴重な時間を割くわけですからね。

うちの長男の場合、小学校でアルファベットを使って英語を書くという授業がまったくなかったため、中学入学後、か

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[朝の読み聞かせ]寒い季節に体がぽかぽかしてくる絵本

[朝の読み聞かせ]寒い季節に体がぽかぽかしてくる絵本

ここのところ、ぐっと寒さが体にこたえるようになりました。そんな季節の読み聞かせにぴったりなのは『きつね森の山男』(馬場のぼる こぐま社)です。

この絵本、初版が1974年ですが、私も子どもの頃、大好きだったのを覚えています。40年以上経った今でもまったく古びず、子どもたちの心をとらえます。

読む時間は10分強、朝の読み聞かせ(15分)にもちょうどいい長さです。幼稚園年長ぐらいから高学年まで、幅

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[朝の読み聞かせ]サンタを信じなくなった年頃の子どもたちに

[朝の読み聞かせ]サンタを信じなくなった年頃の子どもたちに

読み聞かせでは季節感を大切にしたいと思っています。ということで、今の時期は、やっぱりクリスマスの本!

ただ、「クリスマスの本」と言っても、それこそ山のようにあります。読み聞かせる相手は小学校4年生の子どもたち。「あれもいいな」「これも読んであげたい」とあれこれ迷った末、『急行「北極号」』(絵と文 C・V・オールズバーグ、訳 村上春樹 あすなろ書房)を選びました。

まず、なんと言っても絵が素敵!

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【朝の読み聞かせ】からっとした晴れの日が続く季節に

【朝の読み聞かせ】からっとした晴れの日が続く季節に

今年の東京の冬はカラカラ天気が続いています。「うるおいが欲しい!!」と思わずにいられない年頃の私ですが、せっかくなので、この天気にちなんだ写真絵本『干したから・・・』(写真・文 森枝卓士 フレーベル館)を読むことにしました。

けっこう子どもは知っているこの絵本、読書感想文の選定図書になっているので、書名を紹介すると「知ってる!」という声がいくつも上がりました。後で、担任の先生から「授業で読み聞か

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[朝の読み聞かせ]朝起きるのがつらい!季節に

[朝の読み聞かせ]朝起きるのがつらい!季節に

立春も過ぎ、少しずつ日が延びてきたとはいえ、まだまだ夜明けが遅い季節です。目覚ましが鳴っても、なかなか布団から出る気になれず、特に雨が降っていたりすると、よけい目が覚めません。

目覚ましがない時代にどうやって早起きできた?ということで、今朝の学校での読み聞かせは『メアリー・スミス』(アンドレア・ユーレン作 千葉茂樹訳 光村教育図書)を選びました。表紙に描かれたインパクトのある女性は実在の人物で、

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