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会計検査院への不満 説明します!
ここ2年くらいでしょうか。政権に不満を持っている人が会計検査院に対して怒りの矛先を向けるようになったのは。
元会計検査院調査官が真正面からご説明します。
政策の是非は指摘できない
人によって判断の分かれる論点は、そもそも会計検査院が指摘できるもではありません。政策が良かったのか悪かったのか、これは、国民自身が判断し、政治を通じて解決すべきものです。
官僚発案であれ議員立法であれ、政策の前提となる法律は、国民の皆さんが選んだ国会議員によって成立しています。
それを直接的に国民の負託を受けていない一行政機関が断罪することは民主主義の否定であって許されません。
例えば、緊急時に国民の生命を守るために多額の税金を使った場合を考えてみましょう。もちろん法律に則って手続きは行われています。
ある人は税金の無駄遣いだと思うかもしれません。また、ある人はこれで命が救われたと思うかもしれません。
後者の人がどこの馬の骨とも分からない会計検査院に無駄遣いと言われたらどうでしょうか。とても悲しいですよね。
こういった場合は、当事者同士が議論を尽くすべきなんです。物理的に無理なので、国会議員という国民の代表にやってもらっているに過ぎないんですね。
会計検査院が指摘できるもの
国民の皆さんが選んだ国会議員を通じて制定された法律と、その法律の委任を受けて制定された政省令、さらにそれらを実務に落とし込むために策定された各種ガイドラインやマニュアル類、これらに則って事物を見た場合に、何らかの違反があり、さらにその違反を金額的に表現できるときに、会計検査院は指摘を行います。違反がない場合でも指摘を行うこともありますが、これは誰が見たってこっちの方がいいよねってレベルじゃないと指摘はできません。民主主義の問題があるからです。
ここから言えること。公文書改竄そのものは、会計検査院が指摘するものではありません。確かに法令に違反していますが、これ単体では、何ら税金の支出がないからです。ただし、公文書改竄を起因として、本来よりも税金が多く使われたという因果関係があれば、会計検査院は指摘します。
役に立たない会計検査院なんて要らない
最近よく目にするようになりましたね。これは、
”借金を返さないあいつを警察が逮捕しないのはけしからん。役に立たない警察なんか要らない”
と言っているのに似ています。刑法上債務不履行そのものは不可罰とされているから警察は逮捕しないのです(詐欺の構成要件に該当する場合を除く)。同様に、会計検査院は、会計検査院法に従って指摘を行っており、会計検査院法に従わない指摘をすることはできません。指摘自体が法令違反となります。
そんな狭いところしか指摘できないなら、やっぱり要らない? 検査報告を読んでください。バラエティ豊かな指摘が書いてありますよ。あなたが知らないだけかもしれません。
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繰り返しになりますが、会計検査院は行政機関です。会計検査院法も皆さんが選んだ国会議員が制定や改正に関与しています。それを逸脱した指摘は民主主義の否定です。
政権に忖度してるじゃないか
筆者自身は1ミリたりとも忖度したことはないし、周りでもそんな話は聞いたことがありません。確かに国会議員やその秘書がこれ検査しろなど言ってきますし、実際に検査もしていましたが、会計検査院法に従った検査では対応できないものもあります。それを捉えて忖度だなどと言われてもどうしようもないです。
筆者は、ある意味国策でもある東京電力の原子力損害賠償等の検査を担当していました。検査報告は300ページを超えます。
この1ページ1ページの全てについて、経済産業省の官僚や東京電力の方とガチンコで議論を尽くしました(勿論チームで)。福島第一原発で放射線を浴びながら検査もしました。忖度なんて一切ありません。
関連記事(上記東電検査報告の後日談あり)
なので、こんな↓おちゃらけた批判はとても残念です。
おわりに
会計検査院はとても熱い仕事ができます。筆者は会計検査院で過ごした3年7か月を誇りに思っています。公務員試験の受験生は、是非チャレンジしてください!
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