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かじの「つれづれnote」

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五十路間近の中年♂カウンセラーです。つれづれなるままに100日間noteを書き綴ってみます。
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記事一覧

PERFECT DAYS  56/100

PERFECT DAYS 56/100

ヴィム・ヴェンダース監督の『PERFECT DAYS』を観た。

役所広司演じるトイレ清掃人・平山の、言葉少なに流れるミニマルな日常を、全身で眺める。

美しく、淡々と、寂しく、静けき、理想的な環世界
揺らぎを最小化しつつも、揺れつづく

三度、涙出た

今の自分の身体が、なにを「大切」と感知するのか
気づかせてもらえた

カーステから流れる Nina Simone “Feeling Good”

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幸福ではなく歓喜 55/100

幸福ではなく歓喜 55/100

丸々一ヶ月、noteの更新をサボった。

「もう、そんな経った!?」

意識的に継続してた記録をなんとなく止めてしまった後の時間の流れは、異様に速く感じる。

印象的な出来事や、ああでもないこうでもないと考えた事柄、あるいは何かしらの変化が、ほぼすべて洗い流され、なんの痕跡も残ってないからだろう。

本来的には無意味でしかない日々の時間の流れに、区切りをつけ、タイトルを付け、何か特別な意味があった

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遊ぶ人 54/100

遊ぶ人 54/100

みうらじゅん氏の『さよなら私』(2009)を再読し、氏が五年間かけて完成したという「アウトドア般若心経」に、改めて心惹かれた。

全国津々浦々の街中に溢れる看板の文字から、般若心経を構成する全278文字を探し出し、全文を完成させるという試みだ。

なんという無意味!
なんという遊び心!

楽しそすぎる・・・

とは言え、コレを自力で完成させる性根はない

でも、やってみたい

というわけで、かなり

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母2 53/100

母2 53/100

この週末は、九州の実家に帰っていた。

父が亡くなって三週間が経つ。

母は一見いつも通りだ。穏やかな笑顔で、テキパキと世話を焼いてくれる。

「お疲れさま。お茶淹れるけんね」
「寒かろう?これ着らんね」
「お腹空いたろう?鍋でもしようかね」
「風呂がぬるいかもしれんけんね。お湯足して入らなんよ」

ただ、時折、寂しげな表情でボンヤリしている。

しばらくやりとりするとチグハグさがあちこちに垣間見

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好著再読01|みうらじゅん『さよなら私』(2009)  52/100

好著再読01|みうらじゅん『さよなら私』(2009) 52/100

50回の折り返しを過ぎたあたりから、100日noteが停滞しはじめた。

最近、ややこしいことを考えたり、ハードな本を読んだり、自分が読みたいと思える文章を書き綴ったりする余力がない、と言い訳をしておく。

ただ、停滞がつづくのはなんかイヤなので、過去に読んだお気に入り本のうち、軽く楽しく読めるものを再読し、メモ書き程度の感想を書き留めることで、お茶を濁すことにする

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一冊

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丁寧 51/100

丁寧 51/100

「丁寧」という言葉が好きだ。

目の前の人あるいは対象にピタッとチューニングを合わせ、ホントに大切な求め(目的)だけにフォーカスした、スローで、ミニマルで、穏やかで、親密なやりとり。

丁寧は、そんなイメージだ。

小さなこと(僕の場合は"話を聴くこと")を、丁寧に、日々淡々とやりつづけることで満たされるライフが、最近の望みだ。

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実用日本語表現辞典によれば、「丁寧

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父の往生を言い訳にサボりグセが再発中... 本日よりリスタートの構え

カウンセラーとAI(1)  49/100

カウンセラーとAI(1) 49/100

あと1ヶ月ほどで2023年が終わる。

今年、最大のインパクトは「ChatGPTのリリース」だろう。

プログラミングやコンピューターに関する一切の知識がなくとも使える。ヒトを相手にするのと変わらない言葉のやりとりで、ネット上にある膨大な情報の海から参照できそうな情報をピックアップし、要約し、わかりやすく瞬時に伝えてくれる。

ヒト相手ならワガママとか怠惰とか文句を言われ「ちっとはテメェで考えろ」

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死と天国 48/100

死と天国 48/100

父が逝って、一週間が経つ。

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僕は四九歳なのだけれど、幸運なことにこの歳になるまで、家族や親友などごく身近でリアルに大切な人を亡くすという経験をしたことがなかった。

親しく付き合いのあった人、お世話になった人を亡くした経験はもちろんある。

病院勤務が長かったこともあり、人の死に接する機会は一般の方より多いと言えるかもしれない。

だけど「ごく身近でリアルに大切」

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通夜 47/100

通夜 47/100

父の通夜。

以前から父が希望していたとおり、ごく身近な者だけが集って、こぢんまりと執り行った。

初めのことばかりの忙しない一日だった。

ご臨終の儀式
清拭と死化粧
葬儀の打合せ
参加者への連絡
納棺の儀式
通夜
参加者への挨拶

そんなあれこれの中、個人的に叶えたい望みが一つだけあった。

久しぶりに集まった甥っ子や姪っ子たち(大学4年生から小3まで計5人)の記憶に「メチャ寂しいけどメチャ楽

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オヤジ6 45/100

オヤジ6 45/100

生まれてはじめて

身近な人が刻々と死に逝く様を

ジッと間近で見ている

おやすみなっせ

オヤジ5 44/100

オヤジ5 44/100

父に会いにいくことにした。

仕事を終えて、一旦自宅に戻る。

明日以降のスケジュールを調整するため、
三件ほど電話をかける。

妻と子どもたちに状況を説明する。

急いで準備を整え、駅へと向かう。

20:20 広島駅発
新幹線みずほ613号・鹿児島中央行

今日中に、父の入院する病院に着けるはずだ。
母が昨日から病棟に泊まり込んでいる。

明日は母の誕生日だ。

小さなケーキを買っていこうと

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オヤジ4 43/100

オヤジ4 43/100

母と毎日、電話で話している。

父の身体の各所から、あるべき働きが着々と失わつつあるらしい。とても、とても苦しそうだと。

「生命」には、外部からの有害な圧力や侵入者を駆逐し、自らを更新しつづけることで崩壊に抗う働きが備わっている。生命の生命たる左証とも言えるその働きが徐々に失われていくことを、老いと呼ぶ。

老いは「生命」を、人の手でメンテナンスしてやらないと自律的に機能できない、旧式の使い古し

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