通夜 47/100
父の通夜。
以前から父が希望していたとおり、ごく身近な者だけが集って、こぢんまりと執り行った。
初めのことばかりの忙しない一日だった。
ご臨終の儀式
清拭と死化粧
葬儀の打合せ
参加者への連絡
納棺の儀式
通夜
参加者への挨拶
そんなあれこれの中、個人的に叶えたい望みが一つだけあった。
久しぶりに集まった甥っ子や姪っ子たち(大学4年生から小3まで計5人)の記憶に「メチャ寂しいけどメチャ楽しかった非日常な一日」として刻まれるような時間にしたいという望みだ。
父の見守りは母と妹たちに任せて、甥っ子と姪っ子たちを連れて実家に戻った。
いつも孫たちに旨いものを食わせてやりたいと願っていた父の意を汲み、地元の名店のトンカツ弁当をガッつく。
精進料理ってなんですか?仏の教えと孫の笑顔。どちらを優先するかと父に問えば、後者が圧勝するだろう。
数時間前まで父の遺体が安置されていた部屋に、キャンプで使う寝袋を人数分持ち込み、大量のお菓子とジュースを買い込み、トランプをしたり、お喋りをしたり、ワイワイガヤガヤと笑いの絶えない時間を過ごす。
0時を回ったあたりで、「そろそろ寝ろよー」と子どもたちを寝袋に押し込み、電気を消す。
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今僕は、大量の洗濯物を抱えてコインランドリーに出向き、回転する巨大な乾燥機の前で、これを書いている。
12時間後には、父とのホントの別れの瞬間がやってくる。
皆が、これからもずっと仲良く笑顔でやってけますように...
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