フィリピンのQOLの改善のに関する調査結果
先日フィリピンで実施された調査によると、「昨年と比較し、自身の生活の質(Quality of Life)が改善された」と回答したフィリピン人は39%いたとのことです。
一方、「悪化した」と回答したのは23%、「変わらない」と回答したのは37%とのことでした。
なお、半年前に実施された同じ調査では、「改善された」30%、「悪化した」25%、「変わらない」45%でした。
この2回を比較しても、統計的に誤差の範囲内かと思いますので、大きな変化は半年前と比較してもないと言えます。
報道等によれば、コロナ前までは改善傾向が強かったものの、コロナ後に一気に悪化、その後緩やかに回復傾向にはあるとのことです。ただし、それはコロナ前にはまだ戻っていないようです。
経済的な貧困家庭にも調査をしているとのことで、ある程度フィリピン全体を網羅した調査のようです。調査対象は1200人の大人で、想定される誤差は全国で約±2.5%とのことです。*首都圏だけだともう少し高いとのこと。
個人的な所見
QOLが改善された人が4割弱いる一方、悪化した人も20%以上いるということは、やはり経済成長の恩恵がまだ国全体には届いていないということかと思います。
思い当たる理由はいくつかあります。フィリピンは平均人口が約25歳であり、若者、子どもが非常に多い国です。学校も教室数が足りず、多くの公立学校では3部制が導入されたりしております。
フィリピンは高校(18歳)まで義務教育ですが、卒業後多くの若者が職を探すことになりますので、雇う企業側の買い手市場になっています。「働きたい人」があふれる中で、給料も上がらず(企業としては働きたい人が多いので上げなくても雇用できるため)、結果、所得もQOLも上がらない・上がりにくいということにつながっていると推察できます。
また、政府の予算も限りがありますので、必要な教育・福祉政策なども十分とは言えず、日本よりもセーフティネットから漏れてしまう人たちも多数います。
とはいえ、経済成長率は東南アジアの中でも上位であり、ここ最近(2024年9月20日現在)、各種経済指標もよいせいか、株価もようやく上昇基調になってきていることを考えれば、少しずつではありますが、国民のQOLは上がっていくのだと思います。
もちろん貧困層にそれが届くにはかなりの時間を要しますが、15年以上前にフィリピンに住んでいた当時を考えれば、フィリピン人全体で見たQOLは着実に改善していると感じています。
本調査はまた発表などあれば、改めて記事を書いてみたいと思います。
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