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正宗白鳥「雨」 朗読/開運小天 HakuchouMasamune/Rain 著作権フリー

政宗白鳥/開運小天
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正宗白鳥「雨」 朗読/開運小天 HakuchouMasamune/Rain 著作権フリー

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政宗白鳥は岡山県出身。先祖代々地元の名士のお家柄の長男だったため、平民よりは裕福な家庭環境に育ったものの、幼少期から体が弱く、いつ死がおとずれるやもしれないという恐怖がつきまとっていたらしい。

欧米からも、新しい文学や思想が怒涛の如く流れ込んできていた時代、政宗白鳥は創作物よりも現実的な作品のなかに素晴らしさを見出していたらしい。
自然主義の代表作家と呼ばれる。
作品の優劣についても独自の考えを堂々と述べるので、対立関係となる作家もいたようだ。晩年には文芸界のご意見番のような存在となった。
83年という長寿を全うした。

「雨」という作品は、いくつかの構成からなる、政宗白鳥自身の回想録だ。
ワシントン・アーヴィングの作品を、はなから「小品」だと言い切るところも評価の厳しい政宗白鳥らしくて面白い。青空文庫を探したが、アーヴィングの「肥大紳士」は見つからなかった。
外国の小説を読んでいながら、その物語の中の風景を想像するとき、生まれ育った日本の風景を思い浮かべてしまうことは当然よくあることだけれど、それを改めてこうして文章で書かれてみると、「あぁ本当だ、自分もそうしていた」と共感する。そうこうしているうちに、次から次へとエピソードが繋がってゆく。
この、細かいエピソードの繋げ方、いきなり見聞きした声がセリフとして入ってくる感覚、ラストの怪談を話し終え、さらにもう一言付け加えて文章をキリリと締めくくっている。
さすが、他の人の作品に厳しいことを言う人だけあって、なんとも面白い。
そして、美しい。

冒頭の、
「杜若の蔭に金魚が動いてゐる。五月の雨は絶え間なく降つて居る。」
この一文からして、その語呂の美しさに心がときめく。

短い文章ですが、きっと楽しんで頂けると思います。

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